Ayane Tanizaki (谷崎文音)

📖Women's Romance Fiction Author (Conte…

Ayane Tanizaki (谷崎文音)

📖Women's Romance Fiction Author (Contemporary・Fantasy・Historical・Mystery・Erotica・BDSM・Kinbaku) おまとめリンク:https://potofu.me/ayane-tanizaki

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【新刊】鈴のアンクレット

といっても販売する場所が増えた、ってことなんですが……(笑) これまでAmazonのみで販売していた電子書籍をそのほかの配信サイトからでも買えるようにしました。これもすべてブリック出版さまのお力添えのおかげです。この場で申し上げることではないのですが、昨年からずっとご指導いただきましたブリック出版さまに心より感謝申し上げます。 はじまりは「誘惑」 悠里(ゆうり)は仕事のかたわら大人の女性向け恋愛小説を書いてネット上で公開している。リアルではできない恋の駆け引きや情熱的な男性

    • 不可思議

      亡くなった母は、自ら商売をしていたこともあり、神様・仏様を大事にしていた。その背中を見続けていたからか、いるかどうかは分からないけれど、よりどころとして神様・仏様を祭るようになったのは自然な流れのような気がする。よりどころとあえて書いたのは、乗り越えるのが困難な壁を前にしても絶望しない気持ちを保つために、祭っているところがあるからだ。 30代のとき、実は死にかけた。手術中に心肺停止の状態になったらしい。どうりで目が覚めたとき、母が泣きながら喜んでいたわけだと納得したと同時に

      • そういう時期

        仕事を辞めることにした。 一番の理由は、母が亡くなり、仕事を頑張ってしなくても良くなったことだ。退職する理由に「一番」があるということは当然「二番」の理由がある。大まかに言えば、今までやりすごせた小さな「痛み」に耐えられなくなったからだが、そうなってしまったのも実は母の死が原因だったりする。 母が亡くなり明日で三週間が経つ。忌引き休暇で丸一週間休み、二週間目で職場に戻り、仕事をしたが、感情がどん底の状態なものだから、ちょっときつい言い方をされると簡単に心にヒビが入る。不運に

        • 不思議な感覚

          母が旅立ち二週間が過ぎた。 死亡確認、納棺、火葬、納骨と母の肉体が、もうこの世にないことは明確なのだが、魂はすぐ側にいるような気がしてならない。まあ、目に見えるところに写真を飾ったり、毎日水とご飯を供えたり、一週間おきに取り替えている花と菓子のことを考えているからだろうけれども、今まで味わったことがない不思議な感覚を覚えている。 仏教では、人は死んだあと三途の川を渡り、七日おきに裁かれるのだそう。ということは、今頃母は三人目の裁判官のもとへ向かっているなとカレンダーを眺めた

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        • なんだりかんだり
          31本
        • エンジョイ・ぽんこつ・ゴルファーのひとりごと
          19本
        • グアム&東京旅行の話
          2本
        • おしらせ
          10本
        • 元国家公務員のひとりごと
          10本
        • 12本のバラをあなたに
          37本

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          「仕事」

          忌引き休暇が終わり仕事に出た。 初日は、まあ、きつかった。母が亡くなる前の日までできていたことができなかったり、覚えていたものを忘れていることが多く、周りから注意や指摘を受けまくりの一日だった。 できていたことができなくなったり、覚えていたものを忘れてしまったりすることは一種のストレスだ。当然私自身も自分のふがいなさに歯がみすることもあったが、同時に母が死んだことが自分にとってかなりの衝撃であったことを痛感させられた。 記憶を映画のフィルムに見立てたなら、ポツポツと虫食い

          慰めてくれるもの

          「ひとなのか」が過ぎた。 過ぎてみると、この一週間、時間の感覚というものが全くなかった気がする。母が亡くなった当日、アラームが鳴り響く中顔を合わせた母は、もう亡くなっていたので、死亡確認するまでの短い時間くらいしか悲しむ時間がなかったと思う。実際、感情を御しきれず落涙したのは母と対面してから死亡確認する医師が来るまでだったし、その後葬儀屋に連絡したあとは、夫氏とともにこれからのスケジュールを確かめ合ったりととにかく忙しかった記憶しかない。帰宅したあとは、すぐ寝た。爆睡だった

          供養は「感謝状」

          もろもろの手続きをあらかた済ませた。あとは来週、一気に法的な手続きをするだけになった。それが終われば今度は仏壇やらなにやらと用意せねばならない。 喪明けとなる四十九日のあとに来る盆が新盆というので、今年の盆がそれにあたる。本音を言えばそれまでにちゃんとした仏壇をと思っているが、今年の盆は難しい。なので一周忌までにと目標を変えた。 供養は、結局のところ自己満足でしかないと思っていた。が、時間が経つごとに感謝状のように思えてきてならない。 仏壇といっても一昔前のようなうん十

          ひとなのか

          亡くなった日を「一日目」としたとき、今日が七日目である。 香典返しの手配をしたり、親族に挨拶回りしたりと多忙といえば多忙であった。それに家事もあったし、一人の時間がほぼなかった。 今日も夫氏を会社に送り出し、昨日の後片付けをする。全てやり終えてすぐ睡魔に襲われた。二時間ばかり横になっただろうか。すっきりはしない。だるい。もう少し眠かった、これ以上寝たら一日中倦怠感を抱くことになりそうだったし起きた。 来週から仕事なので、週末で気持ちを立て直さないとならない。とはいえ仕事モー

          火葬を終えて

          火葬→納骨と忙しかった午前中。帰宅してすぐ昼食そして寝てしまった。自分では疲れていないと思っていたがそうではなかったらしい。 今朝はいつもと同じ時間に起きた。ちなみに母が亡くなった日の夜から眠れないということはなく爆睡なので、めざめはすっきりだった。ただ、その日やらねばならないことを頭の中で整理しながらコーヒーを飲んでいるうちに気持ちがどんどん重くなるだけ。 今朝は気合いが入っていた。母の古くからの友人を迎えに行き、それから葬儀屋さんへ。そこで母と対面したとたん体の奥からこ

          墓掃除

          晴天のした、墓掃除をしてきた。およそ10年ぶりに墓に行き、せっせと雑草を取り除いて、母を収める場所を綺麗にしてきた。一緒に掃除してくれた従兄弟とその奥さんといろいろな話をしながらやったところものの30分で終わった。 従兄弟の奥さんから聞いた話だと、母が死んだ日は、月こそ違えど母の姉の夫が旅立った日らしい。それに火葬にする日も、同じく月違いだが母の姉の命日だという。不思議なこともあるもんだと心の中で思いつつ、従兄弟夫婦と別れて、私と夫氏は帰宅した。 今から20年前、私は不思

          墓掃除、前夜

          母が亡くなった翌日は、葬儀屋との打ち合わせから一日が始まった。 青森市では、死亡診断書を提出する前に火葬場の仮予約をする。打ち合わせに入る前に火葬場にスケジュールを聞いてくれていたようで、そのなかで一番早い日にした。 昔むかし、遺族年金やら年金受給者の死亡届に添付されている死亡届の写しを見飽きるほど見たものだった。仕事なので「資料」としてしか見えていなかったものだが、母の死亡診断書はそれらとはまるで違うものに見えたし、ペラペラの紙なのにずしりと重く感じたものだった。 30

          一悶着

          もともと朝が弱いのに、仕事についたおかげで早起きになってしまった。そしてそれは休みの日も、今もである。夫氏が起きるまでコーヒーを飲みつつボーっとする30分のあいだ、寝床へ向かうハムスターを眺めていることが多い。 母が亡くなって二日目の朝はいつもどおりだ。昨日だってそうだ。昨夜は大変だったなあと振り返りつつ、ふだんと変わらぬ朝を迎えた。 母が亡くなった当日の夜は爆睡、そして昨日も爆睡。昨日は葬儀屋さんと打ち合わせし、火葬の日程を決め、それを親戚に伝えていたのだが、やっぱり一悶

          臨終

          母が亡くなった。かぞえ81才、長生きと言われれば長生きだろう。 「そのとき」うろたえたり動揺するかもしれない、と思っていたが、自分でも驚くほど冷静だった。 金曜日、仕事を終えて帰宅したあと病院から電話が来た。呼吸が苦しくなったようで酸素吸入を始めたが、午前中はまだ会話ができていたが午後からはできなくなったという。意識レベルも低下しており、覚悟をしてくださいとのこと。このとき思ったことは、覚悟などとうにできている、だった。 一昨年、年の瀬迫るころ直腸がんではないかと、検査を

          たぶん、さいご

          6月後半グアムに行く。たぶん最期の海外旅行になるだろうから、夫氏はグアムでゴルフ三昧を計画しているようだ。 夫氏が勤務している会社に連なる福祉厚生グループでは、数年に一度全社の人間とその家族を対象に海外旅行を企画している。ここで「あw」と思った方はお口にチャックな。で、結婚してから何度かこの旅行に参加していたりする。 最初に参加したのはラスベガスだった。奇しくも新婚旅行で行った場所だ。で、ハネムーンの際にお世話になった現地ガイドさんと再会を果たした。 二回目はハワイ。この

          「先」を知っているだけに……

          シーズン3見終えました、バビロン・ベルリン。最終話は世界大恐慌襲来。 ドイツの歴史に詳しくない私でも知っている「ナチスドイツの台頭」からの第二次世界大戦、ドイツ分割……と、これから起きる出来事に登場人物たちがどう絡んでくるのか気になるけれど見るのが怖い。 シーズン1から駆け足で見てきて、なんとなくですが、ドラマで描かれるヴァイマル共和国が現在の日本と重なっている気がします。心に潜む未来への漠然とした不安ばかりが募ったドラマだった(私的には)のですが、ラート警部とシャルロッテ

          「先」を知っているだけに……

          近代ドイツの光と影

          ミステリー作品が好きです。特に海外の、歴史を絡めた謎解きが好きです。そういう意味では【バビロン・ベルリン】は、謎解きしながら近代ドイツの歴史を学べるいい作品と言える気がします。 Zu Asche, zu Staub. -灰へ、塵へ-でも書きましたが、第一次世界大戦後のドイツ・ベルリンが舞台。 歴史に詳しい方は分かると思いますが、第一次世界大戦時はまだ専制国家だったドイツが敗戦で共和制になります。この共和制を守ろうとする勢力と、専制国家だったドイツを取り戻そうとする勢力、そこ

          近代ドイツの光と影