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親愛なるジュンコへ 2/8話

2 魔性の女


前回の話はコチラ↓

純子と2人でいると、とにかくナンパされた。

昼間に繁華街で買い物をしている時、駅で待ち合わせをしている時、近所のコンビニにちょっと寄った時でもナンパされた。
純子は男を惹きつける何かがあった。
それはナンパだけに留まらなかった。


20歳の時、私は地元の男友達に純子を紹介した。
紹介と言っても小学生時代は同じ学校だったから久しぶりといった感じだけど、男子達は美人で明るくノリのいい純子に夢中になった。

一番びっくりしたのがその中の「イケ」という男子が純子を好きになった事だった。
イケにはそれまで私の友人を何人も紹介していたのだが、その中の誰の事も好きにならなかったのに、純子の事はすぐに「広田いい女だよね。俺、いっちゃおっかな」と言っていた。他にもイケメンのヒロミもアフロなカズヤも純子の事が好きだと言っていた。

そしてある日、純子から
「イケから告白されちゃった。付き合おうと思ってる」
と言われた。私は笑いながら「おめでとう、お似合いだよ」と返したが、一抹の不安を覚えた。聞く所によるとアフロカズヤからも告白されたがそれは断ったと言っていた。

私は少しモヤモヤしながら男友達の宮沢に電話をした。
私「イケとジュンコの事聞いた?」
宮沢「もちろん聞いたよ」
私「うーん、私は正直どうなのかな?と思ってる」
宮沢「おまえ、もしかしてまだイケの事好きだったの?」
私「やめてよ、バカな事言わないで。ただ、せっかく皆で仲良くなったのに・・・うーんって感じ」
宮沢「おまえさ、そういうのやめたら?
皆で仲良く!なんて小学生じゃないんだからさ。もう俺たちは20歳なのよ。愛する2人が愛し合って何が悪いんだよ。ここは温かく見守ろうぜ。な?だからお前も早くイケの事は忘れろよ」
私「いやだから違うっつーの」
宮沢「それにしてもさ、俺はわからねーんだよ。なんであんなに皆、広田の事いい女だいい女だって言うのかが。俺にはさっぱりわからねーんだよ。」
私「それってさー…アンタ同じアパートだったじゃん。ジュンコと同じアパートで、小さい頃よく遊んでたからじゃないの?」
宮沢「あー、そうか。そういえばそうだったな。だから俺は広田を女として見れないのか。なるほどそういうことか。ま、平山もイケの事はあきらめて、2人を応援してやれよ」
私「だから違うっつーの」

ほどなくして2人は付き合い始めた。これまで通り皆で会っていても、イケと純子はイチャイチャする事はなくその辺はわきまえていたようだった。
しばらくはうまく行っていた気がする。私もその時期に就職したりして忙しかったから、あまり2人の事は気にしていなかった。

そんな頃、私はイケから電話があり呼び出された。
イケの1人暮らしの部屋で2人で話をした。(こんな状況でも私とは何もないw)

イケ「実はジュ・・・広田のことなんだけど」
私「そうだろうと思った。電話じゃ言えない話なの?」
イケ「ちょっと聞きたいんだけどさ・・・アイツ、おかしくない?アイツって、変じゃない?」
私「え?どういう意味?」
イケ「俺、ジュ・・・広田から金をたかられてんだよ。平山、おまえにも言ってこない?金貸してくれって、言ってこない?」

聞く所によると、イケは純子からたびたびお金を貸して欲しいと言われているとの事。会ってる時に払うお金も全てイケ、それに毎回5000円位貸して欲しいと言われて、更に自分が新しいゲームを買ったりする事にも文句を言うようになったとの事。

イケ「おかしくない?俺のお金を俺が使って何が悪いの?俺だって安月給のなか一人暮らしして大変なんだよ。アイツはさ、何か理由付けてバイトサボってばっかりでさ、しまいには俺にタカって、不機嫌になって別れるとか言い出したりして。アイツおかしいよな?平山、アイツはおまえに金借りたりとかしてこないの?友達だろ?どうなの?」

愚痴と言えば愚痴だったけど、それは私の知らない純子だった。
純子は私には決してお金を借りたりはしてこないし、2人で出かけても毎回割り勘だし、たまにお菓子を買って来てくれたりもした。
私の前では、自分にお金が無い事を決して言う事は無かったしそんな素振りすらも見せなかった。
当時、純子はお父さんと弟と3人で小さなアパートに住んでいたが、アパレルと飲食店でバイトをしていたからそこまで生活に困っているようには見えなかった。

私は少し不安にはなったけど、イケとならうまく付き合っていけるだろうと思っていた。なんてったって元々友達なんだから。
しかし、それから2週間も経たないうちに私は宮沢から電話で報告を受けた。

「イケが広田にフラれて荒れている」

私はびっくりして純子に電話をかけたが、純子は誰かと一緒にいるのか、ザワザワとしている中で、あまりにもあっけらかんと言い放った。
「あー、イケのこと?他に好きな人が出来たから別れたわ。イケ、ちょっとしつこかったから別れるの大変だったわ」

純子の男遍歴を散々聞いてきた私にとって、それはあまりにも予想通りの展開過ぎて、あきれるしかなかった。

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