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平日の昼間、ガチで薔薇を撮る勢の話

2024年5月、GWが終わったくらいの時期。
そう、薔薇の時期である。

春と秋、薔薇の開花時期がくる。

行かなければならない。

朝10時半に目が覚めて思った。
薔薇を撮りに行かなければと。

花の命は短いので、ぼーっとしてたらあっという間に終わってしまうのだ。

旧古河庭園。

狙っている薔薇スポット。
何日か前にSNSで見かけたスポットだ。

身支度して外にでる。
今日は午後、晴れなはず。

11時ごろ、駒込駅に降り立った。

駒込駅前(スマホ)

なんていう素敵な商店街。ここを抜けるのか。帰りになにか食べて帰ろうとすでに花より団子気分で道を歩く。今日も全身モンベルだ。靴以外は。帽子にインナー、Tシャツ、ウインドシェル、ズボン、靴下。
山歩きでモンベルの良さを知ってしまって以来、普段着もモンベルで過ごしがちなのである。
あ、バックパックもこの日はモンベルのガラナパック30でした。日帰りハイキングにピッタリの使いやすさ。

今日は絶対に高齢者しかいない。
その予感は庭園に近づくにつれ確信に変わった。すこしずつ、増えていくおじいちゃん、おばあちゃん達。

これだよこれ。平日の昼間って私と高齢者しかいないんだよ。そう。だから写真が撮りやすい。

旧古河庭園に到着した。
入園料がべらぼうに安い。ありがたい。昨今はなにもかも値上がり気味だから。

旧古河庭園にはいってすぐのあたり(スマホ)


券売機で入園料を払い、入場するともう直ぐにバラ園が見えた。
石造りの古い洋館の周りを取り囲むようにバラが咲き、そして、庭園の前にイングリッシュガーデン?風なバラ園がさらに広がっていた。

曇っていて霧雨ぎみ


晴れた後の全景の一部、スマホで撮影。

もう、夢中。
霧雨が降ってきたが、カメラは防水防塵なのでへっちゃらだ。えーと最初はマクロレンズでよいな。
バックパックからカメラを取り出し、薔薇に構える。曇り空で見る薔薇は花びらの痛み具合が目立つ。あぁ、もしかして、開花から時間が経ちすぎてしまったかも・・・

花びらの痛み具合が目立つ。けど、やはり美しい


そう思いつつも、スマホ撮影の群れに混じってカメラを構えるとなぜか、スマホの人がすっと離れていくのだ。気を使わせてしまったみたい。確かに、駅のホームでスマホで列車撮ってるところに、ガチの望遠つけた撮り鉄さんが来たら、どうぞどうぞと場所を譲るのでその気持ちはわかる。鉄道にかける情熱が伝わるから。

全身モンベルスタイルに霧雨でも傘もささずに、ミラーレス一眼にマクロレンズで薔薇を狙う姿はやはり、ちょっと浮いていたのかもしれない、悪い意味で。

そして予想通り、いらっしゃった。
ガチ勢カメラ爺や達だ。絶対にいると思っていた。
彼らはミラーレスなんて存在しない時代から重くてでかいカメラを構えていただろうレジェンド達だ、多分・・・。

私のような新参カメラ勢は、バリアングルの液晶をタッチして焦点を合わせて撮影したりするが、彼らは絶対ファインダーだ。そして、すぐにシャッターを押したりしないので、じっくり構えてシャッターを押す。

それはフィルム時代の名残なのだ。あの時代は現像にお金が掛かっていたのだ。なので、迂闊にシャッターを押すことなんてできない。

しかし、時代はデジタル。現像は自宅のPCでRAWデータをJpegにする時代だ。私が通ったカメラ講座の先生は、60代後半で山岳ガイドをしつつ、雑誌のフォトグラファーも経験した熟練のカメラマンだったが、デジタルの時代なのだから、ひたすらシャッターを切れという教えを布教していた。

その通りだと思う。
未熟者は、数、シャッターを押すしかないのだ。
この未熟者の私も昔は、随分ともったいつけてデジタルカメラのシャッターを押していたのだ。
だから、どこかいってもほんの数枚。帰ってきてデータをみるとイマイチなのだ。どれもよくない。なぜ、いっぱい撮ってこなかったんだろう。

そう圧倒的に足りないのだ。教えを伝授された後、私は構えてすぐにシャッターを押すを実践するようになり、一度でかければ、100枚くらいは撮るようになった。
そうすると、ピントがずれていることもあるけど、ベストショットが必ずあるのだ。

あと、レンズね。
レンズ、超大事ね。私のカメラはOlympus E-M10という入門機で10年前にカメラ好きな客先の新人の男の子におすすめされたものだった。

「カメラを趣味にしてみたいのだけどおすすめある?」
「あ、それならOlympusですよ。僕はE-M1というのを使っているのですけど、初心者ならE-M10でいいと思います。いつか一緒に撮りにいきましょう」
(約束が叶うことはなかった)

私は割と素直なのでそれを鵜呑みにして買った。素人があれこれ考えてもようわからんし、YAMADAに行って、そのまま買った。レンズキットで。
その頃はセンサーサイズなんてわかってなくて、Olympusはマイクロフォーサーズというセンサーサイズで、これは今、ミラーレス一眼の主流となっているフルサイズよりかなり小さいセンサーサイズだそう。センサーサイズの違いは画素に現れるそうだけど、デジタルで見る分には私にはマイクロフォーサーズで全然、十分美しく撮れる感じがしている。

それになにより、フルサイズ機は高い、、、レンズも。

でレンズキットの話に戻る。

私はカメラの購入時、14-42mm F3.5-5.6 というズームレンズも一緒にセットになっているのを選んだ。ミラーレス一眼は大抵ボディだけか、レンズもセットになったもののどちらかで売られている。ボディだけ買うとレンズも買わないと撮影できないのだが、そのレンズの高さに初心者は怯んでしまうのだ。

が、これはよくない選択だったらしい。それを実感したのは10年後の今。

カメラを買ったものの、写りに満足できず少しずつ、持ち出す頻度が減っていったのだ。

しかし、山歩きを始めた私。山岳Youtuberの写真がとんでもなく素晴らしく安直にすぐ影響をうける私は、自分でも撮りたい!!!と予想通り思うようになった。

そうだよ。カメラもってるんだから。
と思い、モンベルのフォトトレッキング講座に行って、上記の師匠からカメラと撮影について教えを請うたのだ。撮影時はAモードにして絞り優先で撮るのがデジタルミラーレスの撮影の基本、そして、レンズの画角の大切さを知った。

山岳写真では広角レンズが必要だ(講座を聞いててそう思った)

自分のレンズを確認するとどうも広角としても望遠としても微妙な画角らしい。
一般的にフルサイズのレンズの規格では、画角30mmm未満が広角と言われている。
マイクロフォーサーズの場合は、レンズの規格は2倍して考える。
そうすると私のレンズはフルサイズ換算で28-84で非常に微妙な画角の範囲なのだ。しかも絞り値もF3.5-5.6でボケ感を出すのはあまり得意じゃなさそう。

あ、だめじゃね?レンズ買わないとと10年たって気づいた。遅すぎる。

広角レンズ、値段をみたら20万くらいする。無理じゃね?と思った。

しかし、急に空から「レンタルがあるじゃん」って声が降ってきた。

レンタルレンズの広告をその数日前に何かで見ていた。

広角ズームを1ヶ月のサブスクで借りても1万円くらい。あまり安くないけど。
買うよりは安い。試しに借りてみよう・・・と思った。
ダメなら返せる。
OM SYSTEM(OLYMPUS) M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO

一緒に望遠も借りてみよう。
これが月3000円なのだ。めっちゃ安い・・・
OM SYSTEM(OLYMPUS) M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II

結論、レンズだね、カメラは。
そして低い絞り値が設定できると値段が跳ね上がることもわかった。

レンズが違うだけで撮影がめちゃめちゃ面白い。近所の花々を夢中で撮影した。ちょうど時期は桜の時期、望遠と広角を使ってたくさん撮った。

望遠で撮った桜


ハナカイドウ。美しすぎる。


F値が低い広角で椿に焦点をあてると後ろの背景のボケ感がとても綺麗にでた

あぁ、、、これ、これなんだよ。求めていたのは。
私はすっかり撮影に夢中になった。

日本橋の夜桜も撮りにいった。広角ズームはF値が低いので夜でも明るく撮れる


陣馬山山頂での富士山も広角レンズで撮った
御嶽山の参道、上記の広角ズームで


カメラ売り場で働いていた女子によると
「あぁ、そうなんですよ。レンズキットのレンズはイマイチなんですよね」とのこと。。それはカメラガチ勢では常識らしい。。。

そうだったのか。。。確かにレンズ、バカ高いからレンズキットに手をだしがちなんだよな。。。

そして、1ヶ月後私はマクロレンズも借りることにした。
そう花を撮るならマクロレンズなのだ。
OM SYSTEM(OLYMPUS) M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro

これも月3000円で借りられるのだ。安い。
マクロレンズで風景を撮ってもいい味がでる。
山に行く際に私はレンズをいくつか持ち歩くようになった(重すぎる)。

小仏から小仏城山へ向かう山中に咲いてたニリンソウ。マクロレンズで。


マクロレンズで撮った小仏城山頂上の茶屋の雰囲気

そして、この日の薔薇撮影では広角ズームとマクロレンズを持っていった。

庭の全景、洋館と薔薇を一緒にとるには広角。花単体を美しく撮るにはマクロ。

二つのレンズを取り替えながら撮影した。

最初は霧雨の庭園がみるみるうちに晴れ、あっという間に薔薇に太陽の光が注ぎ出した。

太陽の光を浴びると薔薇が比喩ではなくキラキラ光だすんですね。
雨粒で花や葉がキラキラしているだけでなく、太陽の光で花びらの痛み具合も見えなくなった。これは本当に驚いた。

薔薇というのは晴天で撮るのに限るという経験値を得た。

晴れ間が広がっていくと花がいきいきしだした。
豪華な花束みたいに咲いている
洋館の正面(入り口と反対側)この左側に下の写真のようなバラ園が広がる
洋館を遠目に
美味しそう
この日、私が一番、好きだった薔薇。スプニールドゥアンネフランク。
アップで撮ったもの
スマホで撮ったもの、めちゃめちゃ空が綺麗に補正される
花びらに水滴がついていてそれがまた美しい
洋館と薔薇


スマホの広角が優秀すぎる
鮮やかな黄色い薔薇


薔薇タワーと洋館
バラ園を上からみたところ


めっちゃ艶やかな薔薇

という感じで1時間くらい。
おじいちゃんカメラマンとは、全く会話することなくそれぞれ薔薇に向かい合った。
私は少し話してみたかったのだけど、彼らの興味は薔薇にしかなかった。

まだ他にもたくさんあるけど、インスタに少しずつアップする予定。
写真たのしいね。また、お爺ちゃんたちにまじって撮影したい。


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