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バスターミナルの子ども

突然の発病

 私には4つ下の妹がいます。その妹が幼稚園の頃、突然、右足のくるぶし付近が痛いと泣き出したことがありました。
 見ると赤く腫れ上がっていて、特に何かをぶつけたり怪我をした覚えはないそうなのです。親は慌てて妹を抱えて小児科に連れていきました。
 私は怖くて神棚の前で、怖い病気でありませんようにと泣きながら祈っていました。

 しばらくして親が妹を連れて帰ってきました。大きな総合病院を紹介されて、そこで診てもらうことになったと。妹は痛いと泣いています。家族全員が暗い雰囲気で数日過ごしていたのを覚えています。

 数日後、紹介された病院で診察になり、診察の結果、原因不明の紫斑病であるとわかりました。身体の毛細血管が内出血してしまう病気。血小板の減少が原因な場合もありますが、妹の場合はそうではなく原因不明と。ただ、毛細血管が集中している腎臓で内出血を起こすと大事に至る場合もあることから、入院することが決まりました。

 入院はいつまでになるかわからず、妹はまだまだ幼いため、母親が付き添うことになりました。家の中は私と父親の二人。がらんとした空気の中、私と父親で日常を過ごし始めました。そもそも、私も父も無口なタイプで、家にいても会話はあまりないのですが、その期間は、割と明るく会話していた記憶があります。何を話していたかは覚えていないのですが、不安を打ち消したかったのだと思います。

あの写真が気になる・・・

 その頃、我が家の電話の前には、妹を写した大きな白黒の写真のパネルが飾ってありました。それは、私と妹が習い事に通っていた帰りにバスターミナルで、カメラを持った男性が「写真を撮らせてください」と声をかけてきて、撮ってくれたものでした。母も一緒だったので、連絡先をやりとりし、撮影者の方が写真を大きく引き伸ばしてパネルに入れたものをご厚意で送ってくれたのです。
 バスの後ろに立って写った写真。愛らしい笑顔で立っている妹の写真でしたが、父はその写真が白黒だったことから、縁起が悪いと外してしまいました。

 それから数ヶ月、妹の状況は変わらず。悪化もしていないけど、良くもなっていない、そんな状況が続いていました。母方の祖母があの白黒の写真を霊能者に見てもらおうと言いだしました。祖母もあの写真がなんか嫌というのです。私の家族は、霊だとか不思議な世界に、親和性がある人たちで、その地方で有名な霊能者のところに行くことをすぐに決めて、写真を持って、でかけていきました。

 私は子どもだったので、連れて行ってもらうことはなく、帰ってくるのを待っていて、霊能者が話していたことを教えてもらいました。

写っているね、ここに

 その写真をみて、霊能者の方は
 「あぁ・・・写っているね、ここに。事故で亡くなった子だろうね。」
とバスの後部の広告が張り付いている部分を指しました。そういわれてみると、そこにはなんと広告ではなく、担架に子どものような存在が寝ているものが写っていました。私達家族は誰も気づかなかったのですが、そう指摘されたら確かにそうなのです。。。広告パネルではないものが写っていました。
 「この子(妹)は、好かれやすいんだね。だから寄せ付けてしまう。亡くなった子が、寄ってきてそして写り込んでしまったんだね。この写真は私がお焚き上げするから。もうそれ以上は悪いことは起きないと思うよ」と。

 両親と祖母は、その写真を一旦、持ち帰った後、霊能者に再度、送りました。それから、ほどまもなくして、妹は、寛解して退院することができました。退院後も再発することなく、今では、二人の子のお母さんとして毎日、元気に過ごしています。

 怖い話が好きで、霊やお化けの存在も信じていた私ですが、実際に身内に不思議なことが起こって、やはり、そういうものが存在するのだなと確信しました。

原因不明の体調不良の時は・・・

 霊に悪気がなくても、そういうものが近づくと人間の身体は体調を崩すということが実際にあり、原因不明で体調が悪い時にはそういう原因も疑うようになったのは、この体験もあります。

 霊能者の方がお焚き上げをしてくれた結果、その子どもが成仏したのかは定かではありませんが、できれば、上に上がって、輪廻転生の輪に入ってくれているといいな・・・と思います。

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