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車椅子生活の本音

どうも、イマニシです。
11月半ばから外出時に電動車椅子を使うようになりました。

障害者手帳があるからと言って、みんながみんな車椅子を支給されるわけじゃありません。
正直、手元に来るまでにいろいろ面倒だった!

というわけで、私が電動車椅子を申請したときの流れをざっと説明しようと思います。
あくまでも東京都の場合なので、自治体によって変わる部分があるのであしからず。

STEP1:役所に相談する

障害者手帳を持っている人は、車椅子の購入にかかる費用の一部もしくは全額を支給してもらえます。

身体障害者、身体障害児および難病患者等に対し、自立と社会参加の促進を図ることを目的として、電動車椅子の購入にかかる費用の一部または全部を市町村が支給する制度です。支給決定に至るまでには身体障害者更生相談所の判定があり、身体状況、年齢、職業、学校教育、生活環境等の諸条件を考慮し、是非を判断します。

電動車椅子における補装具費支給制度とは

ちなみに、介護保険を使う場合は割安な料金で「レンタル」できるのですが、39歳の私はまだ介護保険が使えないので「購入」することになります。
電動車椅子は何十万もするので自分で買うとなるとハードルが高いですが、この制度を使えば1割負担で済むのです!

まずは区役所の障害者支援課(身体障害者の窓口)に行き、電動車椅子を申請したい旨を伝えます。

私の場合は
・歩行はもちろん、電車移動もいまは不安がある
・通勤はないが、足が悪いからとこれまで諦めていた取材にも出かけたい(仕事で使う)
・家の前が坂道&握力が弱いので自走式車椅子は無理
・取材でどこに行くかわからないので、傾斜に弱い簡易型電動車椅子では不安がある
・体重が重いので普通型電動車椅子がいい
という点を職員に伝えました。

「仕事に使いたい」というのはたぶん重要なポイントで、自走式or簡易型電動or普通型電動に関しても、どうして普通型電動車椅子が必要なのかをはっきり説明できたほうがいいと思います。
私はすでに乗りたい車椅子の目星を付けていたので、申請理由はここを参考にしました。

その場で職員が東京都心身障害者福祉センターに確認の電話をしてくれて、「おそらくそうした利用なら問題なく補装具費が支給される」と言われました。

STEP2:電動車椅子の試乗をする

続いて、自分が使用したい車椅子を決め、業者に試乗予約をします。
このとき、役所はどこか業者を紹介してくれるわけではないので要注意。

私は事前に調べてメーカーとモデルを絞り込んでいましたが、そうじゃないならかなり困るのではないかと。
一応、役所で福祉機器の大手メーカーを2つほど教えてもらい、自分で営業所に問い合わせましたが、満足いく電動車椅子は見つからす……。

電動車椅子ユーザー自体が少なく、選択肢がかなり限られるというのが現状なようです。
たしかに、車椅子に乗るお年寄りが多いとはいえ、みんな介助者がいますからね。
とはいえ、ぶっちゃけかっこよくないデザインが多いし、病人だけど病人ですって感じの車椅子は嫌なんですよ!

で、そんな私が選択したのは、近距離モビリティ「WHILL(ウィル)」です。

見た目が車椅子っぽくないのが一番気に入った!

サイトから試乗予約をすると、近くの販売店から指定した日時にサンプル機を持ってきてもらえます。
私は最上位モデルの「Model C2」と折り畳み可能な「Model F」で悩んでいたので両方持ってきてもらい、アームが跳ね上げ可能なModel C2に決定!
私自身が立ち上がりやすいのはもちろん、これなら室内で使うようになったときも、ベッドへの移乗がしやすそうなので長く使えそうです。

私が車椅子を選ぶ際に意識したのが
・デザイン
・どれくらいの段差まで対応しているのか
・耐荷重
・バッテリー性能
・登坂力
・乗り降りのしやすさ

です。

WHILL Model C2だと
・デザインがかっこいい!
・5cmまでの段差が登れる
・115kgまでOK
・リチウムイオン電池なのでスタミナがある(ニッケル水素はすぐになくなると患者会で聞いた)
・10度の坂まで登れる
・アームが跳ね上げ式なので横から立てる

という感じで、私が電動車椅子に求める条件をほぼ満たしてくれていました。

車の免許すら持たない私にとって、公道を自転車以外の乗り物で走るのは初めての経験。
電動車椅子のスピードはかなりおっかない感じがしましたが、まぁそのうち慣れるかなと思い、大体の操作を把握して試乗は終了です。

STEP3:役所に連絡する

試乗を終えたら、役所に連絡します。
すると、東京都心身障害者福祉センターに連絡を取ってくれ、判定を受けに行く日程を決めてくれるのです。

そう、電動車椅子の場合、判定を受けに行ってOKをもらわないといけないんです。
当日は車椅子の運転テストがあるので、そのために試乗が必要となっています。

それと同時に、車椅子の業者に見積もりを発注します。
今回は、判定の日までに見積もりを役所に送付するよう言われました。

STEP4:判定を受ける

指定された日時に東京都心身障害者福祉センターまで判定を受けに行きます。
実際に判定でやったことは
・職員との面談
・医師の診察
・電動車椅子の走行テスト

です。

職員との面談では、役所と同じように、どうして電動車椅子を申請したのかや、この機種を選んだ理由などを伝えます。
まぁぶっちゃけWHILL Model C2の販売価格は48万7000円もするのでね。
もっと安い機種で事足りるなら、そちらにしてくださいとなるのは当然のことです。

続いては医師の診察。
といってもかなり簡単で、握力や膝の動きを見たり、体重をチェックされたりといった程度。
そもそも、車椅子の申請時に主治医の意見書は不要だったのですが、疾患によっては必要なのかもしれません。

最後は電動車椅子の走行テストです。
室内ではコーンを避けながらのスラローム走行と、エレベーターでの出入りを見られます。
というか、試乗でそんなことまったくやってねぇ(笑)!
職員に「一度でもコーンに乗り上げたら申請は通らないので慎重に……」と恐ろしいことを言われながら、なんとかクリアしました。

室内走行のあとは、屋外走行のテストです。
施設の建物から出て、職員と一緒に指示されたルートをぐるっと1周するのですが、試乗では信号も渡ってないし、人通りもなかったし、初めての環境すぎた……。
かなりガチガチになりながら、とりあえず屋外走行もクリア!

テスト後は職員と医師が相談して、その場で支給の可否を検討します。
私の申請は無事に通り、「電動車椅子マスターカード」が発行されました。

STEP5:業者に発注する

申請が通ったら、次は業者にその旨を伝えて、見積もり通りに車椅子を発注します。
役所からは車椅子を受け取るときに渡す書類が送られてくるので、車椅子が届いたら業者にその書類と自己負担金を渡しましょう。
今回、私の自己負担金は3万7200円でした。福祉サービス、ありがたや!!!

我が家に来たWHILL Model C2はこちら。

アームカバーは全10色から選べます

役所に相談した日から私の手元に電動車椅子が届くのに要した期間は丸2か月
たぶんこれはかなり早い方だと思います。
早く済んだのは「あらかじめ申請理由を考えていた」ことと、「欲しいモデルがすぐに決まった」からかと。
あと、23区は比較的福祉サービスに強いようなので(とくに私が暮らす目黒区は充実している)、それもスピーディーに進んだ理由かもしれません。

【2023.12.16追記】
電動車椅子の場合、耐用年数は6年とされています。
この期間は新たな車椅子は支給されず、修理して使いなさいということらしい。
ただし、病状が進行していまの車椅子では使いづらいとなった場合は、再度申請できるそうです。

私の場合は体幹から遠い場所の筋肉から弱ると言うものの、やがて体幹も弱ると思うので、最初から背もたれが大きいタイプのWHILLにしようとしたところ、「いまは必要ないなら、普通のWHILLしか支給できない」と言われました。
あとから背もたれだけ付け替えたりはできないので、最初からそっちを支給したほうが、行政のコストが抑えられそうなのにねぇ……。
あと、乗り換えが必要になってからでも再申請に2か月かかるとかなら泣く!

WHILLに乗り始めた感想

私が実際にWHILLに乗り始めて感じたのは「安心して外出できるよろこび」です。
これまでは杖で外出していましたが、それで何度も転倒したし、転倒すると周囲の助けがないと立ち上がれず、それが情けなくて泣きそうになったことが多々ありました。
あと、本当は行きたくても、家族や友人に迷惑をかけるといけないから外出を諦めたこともあります。
そういうネガティブな感情なしで外を出歩けるというのが、本当にうれしい!!!

車椅子が邪魔に思われたり、嫌な目にあったりするんだろうなと思っていたのですが、実際に街に出たこのひと月で、そんな経験は皆無です。
むしろ、いろんな人が「大丈夫ですか?」とか「手伝いましょうか?」とひと声かけてくれて、そのたびに私は嬉しくて胸がいっぱいになります。
きっとこれから先、車椅子だからこその嫌な経験もすると思うけど、ちゃんと親切な人もいることを忘れないようにしたいです。

不便なことも考えてみたのですが、家族4人で外出する際に大きめのレンタカーが必要になったことくらいかと。
WHILLは分解できるので乗用車のトランクに入ります。
車に乗るのが3人ならコンパクトカーでもなんとかなりそうなのですが、4人乗るとなると厳しくて、大きな車を近場のカーシェアで探すのが結構苦戦しました。

あと、公共交通機関はスロープを出してもらうので、駅員さんの手配が必要になります。
なので必然的に移動にかかる時間が増えました。
とはいえ、東急電鉄は前日17時までなら乗車予約ができるようになったので、かなり利便性は上がっています。

車椅子で入れる飲食店や観光地、ホテルを探すというのは、杖歩行のときから段差なし&ユニバーサルトイレを必要とした私にとっては日常なので、あまり大きな変化ではなく。
外出してからがっかりしたくないという思いが強いからこそ、多少の情報を入手してからでないと出かけづらいというのはあるかもしれません。

もし「車椅子なんて乗りたくない」と思っている人がいるなら、ほんともったいない!
私は外でWHILLをまじまじと見られることが多いですが、「みんなこんな電動車椅子知らないでしょ!?かっこよくない?」と、ちょっと誇らしい気持ちで外に出ています。

と言いつつ、私も病気だとわかる前は「いつか治るし障害じゃないから!」と母に強く当たっていた経験があります。
私の場合は「いまは治せる見込みがない病気です」とわかったことで、無駄にあがらうことにエネルギーを使う必要がなくなり、きちんと医療や福祉と繋がったことで前向きになれました。
あと、いまの状況でどう楽しんで生きていくかと考えられるようになったと思います。

私にとっては電動車椅子がQOLを大きく向上させてくれたし、乗るようになって良かったです。
これからもWHILLと一緒にいろんな世界を見ていこうと思っています。

最近の1枚

先週はオープンして間もない麻布台ヒルズに行きました。館内はバリアフリーなので移動しやすく、WHILLの貸出もしているそうです。たぶんいまは我が家で私が一番お出かけを楽しんでいます!

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