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とんとんとん。


おかあさんよ、開けてちょうだい。


おかあさんかどうかわからないから、どうか手を見せて。


お留守番の子供達は、自分のお家を守るため、どこまでも用心深く慎重です。


そう。みんなが玄関を開けることには臆病になります。


居心地の良い空間を侵害されたり、乱されたりすることに、不安に思うのは当然。


そして、玄関を外側から開けられることは、不快以外の何ものでもありません。


別に、それは子供も大人も同じこと。


歳を重ねても同じです。


自分の意思に反して、こじ開けられた玄関から入ってくる風も人も気持ちの良いものではないのです。


仕事での学びをみなさんにシェア。


たまには人のいいところをチラ見せ。


コメントを沢山いただきました。


私のこんなうるぬぎ(うるぬぐという方言。程よく適当、スカスカ)知識のnoteを楽しんでいただきありがとうございました😊


そこでいただいた秋峰さんのコメントは、秋峰さんだけの特別な悩みではないように思います。

玄関、開かないですよね🐰


私の仕事の根っこには、申請があります。


私は、支援を仕事にしていますが基本として


助けて欲しい人を助ける


ということがあります。


どんなに助けが必要と周りが判断しても、その人本人が必要ないと考えていたら、私達は何もできません。


ガスも水道も止められた。電気も程なくどうなるか。そんな環境でも、おまえさん達に来てもらう必要はないよ。ということもあります。


人にはそれぞれの大丈夫があります。


こんな生活をして。


こんな身体なのに。


私から見たら、不安しかない。


ただ、私が思うこんな。がその人には日常でかけがえのないものであることを、沢山目にしてきました。


そのうちに、どうにかしたいとか、早めに対応とか、こうすべきとかは、徐々に緩やかに変質していきました。


人には人のビオフェルミンがあるように


人には人の日常や生活やあたりまえがあります。


それを、こちらのものさしで判断したり意見したところで、決して説き伏せることなどはできません。


それが、正しさと呼ばれるものだとこちらが思っていればいるほどに、話せば話すほどに、導きたい結論からは離れていきます。


圧の強い人から、気に入らない意見を言われて、素直にそうだね。と頷けますか?


それが正論だとしてもいかがでしょう。


私は、そっぽを向きます。そういうことです。


親の面倒はみなければならない。


生活の不足が気になって仕方ない。


本当にどうにかなる前に手をうちたい。


真っ当で健全な気持ちです。


優しさと思いやりがなければ、そうはなりません。


ただし、それは、あなたの気持ちでしかない。ということを忘れてはなりません。


あなたが誰かを思う気持ちを、誰かに押し付けてはいけない。


あなたはそう思っているからといって、相手がそれを受け入れるかどうかは、相手の気持ち次第です。


優しくて温かい心配だから、それが相手の必要なもので求めているものとは限らないのです。


秋峰さんは書いています。


玄関を開けようとすると、鍵をかけられる。と。


たとえ、愛する子供達だとしても玄関を開けたら、今の生活が変わってしまうという不安に襲われたら、鍵をかけて拒否してしまう。


そのぐらいに老いとは、受け入れ難いものです。


歳を重ねるとは常に喪失と伴走しています。


自分が大事に増やしてきた価値や記憶や技術が、ゆっくりと時間に奪われていくことを「仕方ないよ」と言われることです。


お年寄りが1番嫌うのが環境の変化です。


ですから、玄関を閉めておきたいのはあたりまえです。


また、何か溢れてしまう。逃げてしまう。必死になるのは当然なんです。


私たちは、それを全部わかっていて、おじゃまします。と伺います。


ありがとうございます。と言います。


勇気を出して、玄関を開けてくださり、電話をかけてくださり、ありがとうございます。と言います。


それしか思いつきません。


両親が言うことをきかなくて。


がんこばばあで困ったもんだ。


大丈夫。私たちも必ずや、言うことを聞かないがんこババアになる確率が高めです。


あなたが今向き合っているのは、玄関の向こうで鍵をかけているのは、未来のあなたです。


とんとんとん。


どんなノックなら気になりますか?


優しくて軽快なノックならどうですか?


おかあさん、開けてよ。お土産持ってきたよ。


そんな風に言われたらどうですか。


老人ホームのパンフレットより、美味しいお饅頭なら、お孫さんの写真なら。


少し気になりますよね。


介護とは、実は未来の自分と向き合うことでもあります。


あなたが手を焼くその人は、あなたでもあり、先生でもあり、そして、老いと向き合うその人自身です。


玄関は中から開けるものです。


申請には早いも遅いもありません。


自分で玄関を開けたその時がベストです。


とんとんとん。


すぐには開かなくても。


鍵が何個もかかっていても。


ノックを続けることが大切です。


それは、未来のあなたにも繋がっています。

#note
#介護




お気持ちありがたく頂戴するタイプです。簡単に嬉しくなって調子に乗って頑張るタイプです。お金は大切にするタイプです。