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夫が嘘をつく


夫が私のために嘘をついた。


今まで、何万回も「ちょっと口添えしてくれりゃいいのに。」と舌打ちをしたかしれない。


ただもう、そんな自分に都合の良い希望は抱かないに尽きると思い、諦めていた。


なんのことか。


お出かけである。


私が嫁いでから、今も継続して苦手にしているのが、自分の用事で外出することを、義母に伝える。ということである。


言葉にしてみたら、あまりに大したことなくて震えるが、私はこのような些細なことに震えるような人間である。


友達と会うとか、ライブに行くとか、母親という役割にある自分が、個人的な楽しみに金や時間を費やすことは贅沢だと刷り込まれている。


過去、言い出して嫌味を言われたり、あからさまに冷たくされたりしたことが拭えない。


本当のところ、義母がどう思っているかはわからないが、私は人に贅沢だと思われることが耐え難い貧乏人気質である。


そのため、テイの良い嘘をつくことが常態化した。


文フリ東京に自費出版で本を売りに行くなど、狂人の贅沢の極みである。
人がどうこうではなく、私にとっての今回の挑戦はそういう自覚がある。


私からしたら、このために3年間お金を貯めての自己投資である。


大きなお金を動かし、人の力を借り、贅沢でもわがままでも、やってみようという一大スペクタクルである。


ただ、これをこのまま義母には言えない。


義母に興味を持たれたくないし、バレたくない。note継続の可否にも関わる。


さて、どんな嘘をつくかな。と考えていたところ、コロナになった。


肩身狭く、隔離療養を過ごしていたある日


あのさ、文フリは俺の都合で東京行くことにしたってばあに伝えたから、ゆっくり療養しな。とLINEが来た。


愕然とした。夫が私のために初めて嘘をついた。


今まで、私がどんなにもやもやしていても助け舟を出すことなどなかった。


ちょっと、助けてくれてもいいのにな。と後方支援を期待してはスルーされてため息をついたり、無駄にイライラしたりした。


まあ、それもそうか。自分のケツは自分で拭かないと。


そう思って諦めていた頃になり、思いがけないプレゼントだった。


諦めて手に入るものはありますね。


おかげで、文フリ東京に向けて、余計な心配がなく、精神安定がはかられています。


嘘をついたら良くないよといいますが、


嘘も方便と言った人を私は支持します。


夫が嘘をつく。


ありがとうと喜ばれる嘘もあるという話です。


#日常
#こんな日が来る




お気持ちありがたく頂戴するタイプです。簡単に嬉しくなって調子に乗って頑張るタイプです。お金は大切にするタイプです。