ふいにバイオリンの音がして/エッセイ
近所に川に沿って伸びる公園がある。それほど大きい川ではないけれど、何キロも続いて、春はさくらで染まる公園だ。その色もとても綺麗だけれど、今は若葉の緑が鮮やかで目が潤う景色なっている。ベンチもたくさんある。ゆったりと幅の広い遊歩道には、小さい子の手を引いて散歩するお母さんやジョギングする人や足早に歩くスーツの人、風を切って自転車で駆け抜けてゆく人、それぞれの日常がいつも行き交っている。
うちから真っ直ぐ歩いていって、左が川上で右が川下だ。いつも左に曲がって川上へ歩くことが多か