厳しい生徒会長は裏で意外すぎるバイトをしていました
俺の学校にはとても厳しい生徒会長がいる
「はぁ…こんなもの持ってきて…没収ね…!!」
「ちょっと…! そこの貴方スカートの丈が短いっ!」
これだけ口うるさく言ってれば
普通は他の生徒から嫌われるはずなのだが……
「ふむふむ…こうやってこれが出来るのか……」
成績は優秀だし…
スポーツも万能
そのうえ容姿も良いので
ほぼ全校生徒から慕われている存在。
本当に大したものだ…と尊敬するレベル
「○○!また制服着崩して…いい加減直しなさいっ!!」
可愛い顔で睨んでくる生徒会長
○○:分かったって…直しますよ……?
「うんうん、分かればよろし……」
○○:"しおちゃん"の頼み事だからね
断る訳にはいかないでしょ〜!
「ち、ちょ…!! その名で呼ぶなっ…!!」
○○:あっ…ごめんごめん。秘密にしてたもんね?
「くっ…わざとやってるだろ…!」
○○:ん〜?なんの話〜?
これは俺しか知らない会長の秘密のお話。
────────────────
私はある学校で生徒会長を務めている。
そこそこ評判はいいと自負していた
ただそれはあくまで幻想の姿にすぎない
本当の私を知ったらきっと皆が離れていくだろう…
"いらっしゃいませっ、ご主人様っ!"
そう
私はバイト禁止の学校に通学しているのにも関わらず
影で隠れてバイトをしている。しかもメイド喫茶で。
ただこれには訳があり……
うちの家はとても貧乏なのだ……
少しでも親に楽をさせたあげたいと思い
こっそりとバイトを始めた。
なぜメイド喫茶なのかというと…
「しおちゃん!あなた今日も可愛いわよー!」
史緒里:あ、ありがとうございます…美月さん…!
ここのお店は時給も良く、
その上待遇がものすごく神がかっているのだ…!
休憩時間には
勉強のお供に飲み物とお菓子を出してくれたり…
バイトが終わればまかないで無料のご飯をいただける
こんな好条件のお店…絶対他には無い!
そう思い、すぐに私はここに決めたんだ!
そしてついでに…
「お姉ちゃん!今日も可愛いねっ!」
史緒里:んー!ありがとね彩〜!!
私の妹までここで働き始めたのだ
純粋で可愛い彩に変な虫がつかないよう
観察するためにも……
私はこの似合っていないメイド服を着ているという訳だ。
彩:あ、お姉ちゃんお客さん来たよ!
史緒里:よし… いらっしゃいませご主人様……
ってなんでまた来ているんだ! ○○!
○○:えーだって会長の可愛い姿みたいもんっ
史緒里:もう来るなとあれ程言ったのに…!!
○○:早く席案内してよ会長ー!
史緒里:なっ…! いいから早く帰れ……
彩:あっ、○○さんだー!また来れられたんですねっ!
○○:おっ、彩ちゃん〜! 元気?
彩:うんっ!彩すごい元気ですっ!!
○○:ふふっ、それなら良かった
じゃあ席案内してもらってもいい?
彩:はい、こちらの席どうぞー!!
史緒里:おいっ!彩と馴れ馴れしく喋るなっ!
○○:いいじゃん会長〜それくらい許してよ?
ね、彩ちゃん?
彩:うん!彩○○さんの事好きだよ?
○○:ほら〜!!
史緒里:はぁ……ご注文は?
○○:いつもので!
史緒里: ……かしこまりました
あの茶髪のちょっとチャラい男は
○○という学校の問題児の1人
ルックスが良いので女の子達が寄り付き
毎回輪を乱しているとても悪いやつだ!
はぁ…
なんでよりにもよってアイツにばれてしまったんだろう…
・・・・・・・・
遡ること1週間前
いつものようにフロアに出て接客をしていたら…
史緒里:いらっしゃいませ!ご主人様!
……えっ?
○○:あれ、会長じゃん。
なんでこんな所にいるの?しかもメイド服着ちゃってさ?
史緒里:こ、これはあの…その……
○○:うちの学校バイト禁止だよね〜?
なのになんでメイド服なんか着ちゃってるのかな?
史緒里:くっ……何をしたら見逃してもらえる……?
○○:ん、別に? 言いふらしたりなんかしないよ?
史緒里:う、嘘をつけっ!
後で私の事をばら撒くつもりなんだろっ…!!
○○:あーじゃあ1個お願いしようかな〜?
私の人生は終わった…
そう思っていると
○○:会長の事もっと教えてよ。
家族のこととか…学校外で何してるかとか……
史緒里:そ、それだけでいいの…?
○○:うん、俺会長の事もっと知りたいしね〜!
不意に自分に向けられた笑顔に少しドキッとしてしまう
い、いやいや……
こんな奴にときめくはずがない!
頭をブンブンと振り、理性を取り戻す
○○:あ、会長。俺この"しおちゃん特製ドリンク"1つ!
史緒里:なっ!ここに居座るつもりか!?
話なら別に学校でも…!
○○:ううん、会長がメイドさんになってる今話したいの。
史緒里:くっ…しおちゃん特製ドリンク1つ入りますっ…
・・・・・・・・
それ以来こいつはここの常連客となっている
彩とも美月さんとも仲良くなり…
完全に外堀を埋められているような気分だ
史緒里:お待たせしました…しおちゃん特製ドリンクです…
○○:あ、待って会長!
いつものやつやってくれないと美味しく飲めないなぁ〜?
うざったらしい顔をしているため
今すぐ頬をはたいてやりたいが……ぐっと堪える。
史緒里: ……しおちゃんの愛をいっぱい入れますっ
萌え萌えきゅん……はい、終わり!
○○:えーもっと感情込めてくれなきゃやだなぁー?
史緒里:お前っ…!!
そんな雑談をしていると
カランカランと入口のベルが鳴る。
史緒里:い、いらっしゃいませーっ!!
"早く案内しろや"
史緒里:か…かしこまりました…ご主人様っ?
○○: ・・・・・
今来たお客さんは大柄な男で少し態度が悪い。
こういう客が1番嫌いなんだよな…
女だからといって舐めてるようなやつが……
史緒里:お決まりになりましたらお呼びくださいっ!
"なぁ、姉ちゃん。ちょっと俺と遊ばね?"
史緒里:そういうサービスはやっていませんので…
"なんだよ態度悪ぃな…ちょっとのお触りくらいいいだろ?"
私の腰付近に手を回してくる男。
こいつ……!
でも帰るまでの辛抱…我慢我慢……
ただ我慢すると決めた矢先にどんどんと手を下げてくる
流石に私も
史緒里:やめてください。そういうお店ではございません
と言ってしまった
"あ?なんだ?こっちは客だぞ?"
彩:お、お姉ちゃん大丈夫…!?
彩が異変に気づき駆けつけてくる
"お、この子も可愛いじゃん。俺と遊ぼうぜ?"
彩に手を出そうとする男
流石に我慢できなくなり、やってやろうと思った瞬間
○○:なぁ…しおちゃんも彩ちゃんも俺の大事な人なんだけど。 気持ち悪い手で触んないでくんね?
いつもヘラヘラしている○○が真剣な顔になって
態度の悪い男を睨みつけている
"なんだ兄ちゃん? やんのか!!?"
男が手を出した時
予想外のことが起こった
"いってぇ…な、何すんだよっ!"
○○:正当防衛だろ?
子供に負けて恥ずかしいね〜? おっさんの癖にさ。
○○が思い切り大柄な男を投げ飛ばしたのだ
"ぐっ…お前…覚えてろよ…!"
男は顔を真っ赤にしながら去っていった。
○○:会長、彩ちゃん怪我ない?
彩:うん!○○さんのおかげで彩は平気!!
史緒里:わ、私も…大丈夫……
○○:そっか…良かった…
なんか目立ってるみたいだし今日は帰るね〜!
周りを見るとお客さんの視線が○○に集中していた
彩:ねぇ、お姉ちゃん!○○さんかっこよかったね!
史緒里: ……○…○
彩:お姉ちゃん…?
史緒里:あっ、ごめん!ちょっとボーッとしちゃって…
彩:もう…まだお仕事続くんだから集中しないとだよ!!
史緒里:あぁ…そうだね…!
なんでか分からないが……
奴の笑顔を見た時…
鼓動がありえないスピードで脈打っていた。
私…まさかあいつの事を……
そ、そんな訳ないよね!!
さて…仕事に集中しないと……!!
美月:しおちゃんもしかして…ふふっ…青春だねぇ〜♪
続くかも?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?