見出し画像

「妨げられない大きなかたまりとしての時間」が必要なんだ。#読書の秋2022

松岡享子さん。

石井桃子さんとともに「東京こども図書館」を設立され、長く理事長をされていた方。
また、自身も絵本の創作や翻訳など、多くの絵本に携わる執筆活動をされておられる。

「東京子ども図書館」は、以前住んでいたまちのすぐそばに在ったのに、その存在を知ったのは住む場所が変わった後。
いつか訪れたい、と思いながらまだ叶っていない場所なのだ。

わたしは絵本が好きだ。
いつか自宅で、小さな家庭文庫を開くのが夢。
誰にでも開かれた場所。
ほっと落ち着く場所。
一人でも気軽にふらりと足の向く場所。
おとなも、こどもも。


その、松岡享子さんのインタビュー本
「子どもたちの心に届ける 自然・ことば・遊び」という本を読んだ。

その中でとても印象的だった言葉。

普通の子どもというのは、精神的な自由と妨げられない時間と、何かのきっかけになるちょっとした情報と知識、そういうものを持っていたら、自分でクリエイティブになることができるんです。

そして、自身が訳した本の中でこう書いてあると語っていた言葉がこちら。

クリエイティヴになる種は子どもの中に全部あるの。それは特別な人でなければだめなのではないと、この本にも書いてあります。

誰でもが知っていることを、ちょっと違った形で組み合わせることが創造性ということなのであって、それは特別な才能のある芸術家だけが持っているものではなく、誰でもがもっているものなんだ、と。

それを発揮させるためには、いくつかの条件があって、その中の一番大事な条件は「妨げられない大きなかたまりとしての時間」ということなんです。

それを今私たちは子どもに与えることができているかどうか。私たちが子どもの生活に、なんというか、指を突っ込んでゴチャゴチャひねくり回してないだろうか。

「ぼーっとしていたらだめ。何かしなさい」というのではなく、「あー、ぼーとしているって、いいこと」って思ってくれる大人を増やさないと。
というのは、「ぼーっとしている」と見えるときには、意識の下ではものすごくいろんな神経細胞がつながることが行われるんです。その時間を持っていなかったら、その子らしい面白いことを思いついて楽しく遊ぶことができなくなる。それには、大人がそのことの大切さを知っているということが大事だと思います。

子どもたちのそばで過ごしていると、本当に「種」はすべて彼らの中にあると感じる。そしてそれが、日々の出来事、きっかけを介して表出してくる。それが遊びであり、表現であり、そして創造だと思う。

そして、それらがまた、彼らの内なる「種」となり、
またいつの日か、彼ら自身から芽吹いてくるように、私には見える。

本当に現代の子どもたちは、分刻みのスケジュールをこなしている。
こなせてしまう彼らだけれど、本当にそれでよいのか、いまいちど立ち止まらねばいけないフェーズにいる。


大人の心持ちを変えていこう。

大人にも「妨げられない大きなかたまりとしての時間」を。

大人も、ただただ「ぼーっとする時間」大切にしたいものです。

時々ゆるんで、時々ゆるめて、また歩こう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?