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【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】 キャリア教育コーディネーター実践からわかる実務のポイント

キャリア教育コーディネーター実践コースが終わりました。
といっても、メンバーが集まっての最終回はおよそ2週間前。
 (効果測定がまだちょっと残っていますが)

今年度は2チーム7名ががっつり4ヶ月間の活動を行いました。
どちらのチームも時間をかけて深い議論ができており、
文字通り実践的・実務的な活動になったと思います。

そこで、今回は、今年度の活動からみえてくる、
キャリア教育コーディネーターの実務のポイントを
ふりかえってみたいと思います。

●授業のねらいを授業にどう反映させるのか
 授業のねらいを具体的に明確にすることはもちろんですが、
 設定した「ねらい」をどのような手法で実現するのか、
 この関係が明確になっていると再現性が高まります。
 今年度の2チームの授業は、いずれも生徒の評価が好評でしたが、
 「終わってよかったね」で終わらせることなく、
 なにがよかったからその結果になったのかの分析もしました。
 ゲスト講師に仕事や人生について話してもらう授業では
 具体的に「何を」「どのように」伝えるから伝わるのかを
 明確にしておく、ということになります。
 ゲスト講師を選定して依頼すればいいわけではないのです。

●単発で終わらせない「カリキュラム」にどう貢献するか
 年間通して関わるということもないわけではありませんが、
 多くのケースでは、1回の授業など単発の関わりになります。
 その授業のクオリティを高めることはもちろんですが、
   (これが最低限の条件としては必須)
 それだけでは「打ち上げ花火」になってしまいます。
 今回の2チームとも、事前学習・事後学習の提案まで
 がんばってやることができました。
 でも、どうしても、自分たちが関わる授業「だけ」に
 視野がいきがちです。
 ふだん先生がやっている授業はどのようなものなのか、
 1学期・2学期ではどんな活動をしていたのか、
 次の学年ではどんな学びが待っているのか、
 こんなところまで目を向けることで、
 キャリア教育コーディネーターが関わるのが単発だったとしても、
 長期的なストーリーを描けたり、
 先生と一緒に考えたり提案したりできる可能性が生まれます。

●先生との信頼関係をどうつくっていくのか
 2チームとも、ゲスト講師がこない事前学習・事後学習は
 先生に授業を運営してもらうというスタイルでした。
  (ちなみにゲスト講師の授業の「進行」も先生)
 でも、先生にうまく意図が伝わっていなくて、
 イメージしていたような授業にならなかった部分もありました。
 先生と、どのように同じものを共有していくのかは、
 とてもむずかしいポイントでもあります。
 「お願い」を「徹底」すればいいわけでもありません。
 それでは先生にとっても「やらされ感」にしかなりませんから。
 また、初めて学校に関わるキャリア教育コーディネーターも
 「どこまでふみこんでいいのか」という遠慮もありますが、
 実は先生の方のも「やってもらっているのだから」という
 遠慮があることも少なくありません。
 なんでも言ってもらえる関係、
 一緒にゴールを描いたり考えたりできる関係をめざすことが
 キャリア教育コーディネーターがめざす「北極星」の
 ひとつなのではないかと思っています。

●話が苦手な人に授業に来てもらうにはどうするか
 ゲスト講師としてどんな人に来てもらったらいいか・・・
 今回協力いただいたゲスト講師のみなさんは
 比較的、お話しすることに慣れている方が多かったように思います。
 子どもたちに伝わりやすい授業になりますから、
 これもとても大事な要素です。
 でも一方で、話が苦手なゲスト講師は登場しないということにも。
 これ、子どもが出会える職業や生き方の幅が
 広がらない可能性があるという点も要注意です。
 特に職人タイプの方がなかなか登場しずらくなってしまう。
 どんな授業をしたらいいのか、その内容づくりのサポートや
 わかりやすく話していただくためのサポートも、
 キャリア教育コーディネーターの重要な「授業づくり」です。
  (この部分はお仕事として成立する可能性も出てきます)

●学校が気になる「進学実績」とどうつなげるか
 キャリア教育・・・と言っても、
 特に高校の場合、学校も先生も気になる「進学実績」。
 関係のないことのように思えますが、
 実はすっごく関係があります。
 キャリア教育の成果を測る指標のひとつになりうるからです。
 (ただし、あくまで指標のひとつであり、すべてではありませんよ)
 特に、最近は総合型選抜を行う大学も増えてきていますから、
 注視しておく必要があります。
 キャリア教育としての授業と進学がどう関係するのか、
 キャリア教育コーディネーターはしっかり語れる必要があります。
 先生から「進学」という言葉が出てきたら、むしろチャンスかも。
 関心事項である「進学」を切り口にしながら
 どんなキャリア教育が必要なのかを一緒に考える、
 そんな入り口になるかもしれないからです。
 ※過去の記事もご参照ください。
 「あらたな大学入試とキャリア教育はつながっている」

松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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