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【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】キャリア教育入門編「キャリア教育はニート対策?」

キャリア教育入門編の第2弾は
「キャリア教育はニート対策?」を切り口に考えてみたいと思います。

日本の教育行政の中で
「キャリア教育」という言葉が初めて登場したのは、
平成11年の中央教育審議会答申でした。

キャリア教育が必要だ、
と言われるきっかけになった社会的背景のひとつには、
ニート・フリーターの増加という問題がありました。
これらは複雑な問題が絡み合っている課題ですから、
キャリア教育だけがニート・フリーター対策ではありません。

ですが、いろいろある要因の中には、
次のような背景がありました。

産業構造が大きく変化し、
「いい学校にいけば、いい職場に就職でき、
 定年退職するまで生活が守られる」

というような時代ではなくなってきたこと。
正社員になるハードルの高さが上がったとも言えます。

その一方で、子供や若者が、「働く」ことに触れる機会や
地域や異年齢と交流する機会も少なくなってきており、
厳しい社会の中で生きる力を、身につける機会が奪われている・・・

こうしたことが、
ニート・フリーターの増加のひとつの要因ではないか、
という文脈だったのだと考えられます。
将来的に社会や産業が立ち行かなくなるという
国としての危機感があったことも確かです。

そこで、学校から社会への移行をスムーズにする施策が必要、
というのがキャリア教育が必要と言われた背景でした。
それゆえに、キャリア教育といえば、
「就職するための教育」「職業観を醸成する教育」
という偏った誤解がうまれてしまった側面もありました。

こうした誤解もあり、
平成23年に出された中央教育審議会の答申では、
キャリア教育と職業教育の違いが明確に定義されたり、
「キャリア教育」「キャリア発達」についても整理されました。
  (キャリア教育に関わりたい方は、
   この点についてはもっと詳しく学んでいただきたいと思います。)

ざっくりと言うなら、

「ひとりひとりが生涯を通して
 人生を自ら切り拓けるようにするための基礎的な力を
 学校段階で養うのがキャリア教育」

ということが提示されたととらえています。
ポイントとなるのは、
就職や働くことがゴールではなく、
人生全体にフォーカスしており、
生涯にわたるものである、と言及された点。

きっかけは、ニート・フリーター問題ではありましたが、
キャリア教育の本質的な部分は、
「ひとりひとりがどう生きるか、
 その生き方を自らの力で手に入れる」

ということなのだと考えています。
そして、そのための学びは、
学校の先生だけでなく、地域や企業など、
いろいろな大人の関わりもとても大切になるのです。


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松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部社会学科卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。
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