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令和の日本型学校教育をあらためて考える【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】

3/20に開催されたアスクネットのENGINEで、
基調講演で登壇された上智大学の奈須先生。

私もイベントの企画にも参加していたのですが、
奈須先生にぜひ登壇してほしいと提案したのは、
これからの学校教育がどう変化していくかを知るには
「個別最適な学びと協働的な学び」について
学ばねばならないと考えたからでした。

令和3年(2021年)、
「令和の日本型学校教育」の構築を目指して
 ~全ての子供たちの可能性を引き出す,
 個別最適な学びと,協働的な学びの実現~」

という中央教育審議会の答申が出されています。

2020年度から新学習指導要領がスタートしていますが、
この答申は、
新学習指導要領を円滑に進めるためのもの、なのだそうです。
コロナ禍によりGIGAスクール構想が前倒されるなど、
新学習指導要領の告示以降の変化もあり、
改訂を進める中で見えてきた必要性に対応するためです。
ポイントとなるのは、ICTの進化もありますが、
「子ども多様化への対応」が挙げられています。

キーワードとしてもよく聞かれるのは、
「正解主義」や「同調圧力」の克服という言葉。
高度経済成長期に対応する学校教育は、
言われたことを言われた通りにできる人材の大量生産、
というような言われ方もされますが、
もはやそれでは対応できないということなのだと思います。

ゆえに出てきた「個別最適な学び」という言葉。

個別最適な学びとは、
「指導の個別化」と「学習の個性化」に整理されており、
それぞれ、次のように解説がされています。

「指導の個別化」
 子供一人一人の特性や学習進度、学習到達度等に応じ、
 指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行うことなど

「学習の個性化」
 教師が子供一人一人に応じた学習活動や
 学習課題に取り組む機会を提供することで、
 子供自身が学習が最適となるよう調整する

さて、ENGINEでの奈須先生のご講演では、
個別最適な学びに関して、
上記のような基本的な背景の解説に加え、
山形県天童市での具体的な事例についても
映像も交えながらお話を聞くことができました。
(例えば、このような事例

お話の中でちょっとびっくりしたのは、
この個別最適な学びは、
いま新たに出てきた新しいものなのではなく、
日本でも100年前にすでに行われていた、という点。

「日本は決して遅れていないんですよ」と
繰り返しおっしゃられていました。

お話を聞きながら思ったことは、
私たちが考えるべきは、
その根底にある「思想」なのだろうなと。

講演の最後の方で、
「子どもと相談しましょう」ということを
おっしゃられていました。
先生が教えないと学ばない現状があるのは、
「知識」と「子どもたち」のあいだに
教員が介在しているから、
その構造を変えていこう、と。
(そしてそこにはICTは有効な手段である)

根底にあるのは、
子どもたちは(というか「人」は)
自ら学ぶ力を持っているのだ、ということを
信じられるかどうか、
ということなのだと思いました。

日本の多くの学校の現状とは
大きく異なるようにも見える話なのですが、
向かう方向としては、
学ぶことが楽しくなりそうな未来だなと感じています。
大人も同様。
自ら学び続けねばなりませんね。


松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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