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10年思い続けたナザレの大波に出会う

Finally, I was able to meet the waves of Nazaré.

この動画を見たことがないでしょうか?
私がナザレの大波の動画に出会ったのは10年以上前。BBCかNational Geographicのおすすめで初めて見たことを記憶しています。

信じられないくらいの大波に果敢に挑むサーファーの姿。ブレイクした圧倒的な潮に飲み込まれる小さな人影。ぐっと息を呑みました。
あの頃は今ほど動画編集の技術が発達していなかったので、BGMもなく、カット割りもなく、淡々と大波に立ち向かうサーファーの小さな小さな姿が映し出されているだけでした。
それが、波の大きさを物語り、よりリアルさを持って引き込まれたことを思い出します。

今なら遠くから望遠レンズで撮影して、波を大きく見せるといった技術もあるので、それを知っていると、また違った見え方がしたかもしれません。
あの時は、ただただ壁のように迫る波の迫力が凄かったことが脳裏に焼き付いています。

ナザレに滞在するということ

ナザレビーチ

今回、ポルトガルに行くことを決めた時、どこに滞在するか悩みました。
定番のリスボンとポルトを半々にしようとプランを組みましたが、移動が多すぎてピンときませんでした。
その時に「あの、ナザレってどうだろう?」と思いついたのです。
ナザレは夏のビーチリゾートで、冬にクレイジーな大波目当てのサーファーが集まる以外、5月の初夏は何もありません。
でも、あの赤い灯台を見るためならナザレに立ち寄ってもいいと思い、Booking.comでナザレの宿を探してみました。
すると、リスボンよりも格安かつ良い条件で滞在できる場所がいくつも見つかりました。

物価が安いポルトガルでも、リスボンの宿泊費の高さは異常です。共同トイレの二段ベッドのドミトリーでも1泊1人1万円以上は覚悟をしなくてはなりません。
その点、シーズンオフのビーチリゾートなら、1泊1万円ちょっとで3名が泊まれる施設がポロポロと見つかりました。

BEIRA-MAR casinha da Graça

今回滞在したのはナザレビーチから石畳の小路を3分ほど入った平屋で、1階スペースを民泊用に改装してありました。
リンク:BEIRA-MAR casinha da Graça
オーナーのフェルナンドは常に即レスで、丁寧に対応してくれて非常に紳士的なナザレ在住のオジサマでした。

ナザレを観光してみる

Nazaré Funicular

ナザレには海辺の町と、崖の上の旧市街地に分かれています。その2つの新旧の街を「リフト」と呼ばれるケーブルカーがつないでいます。

ナザレのビーチタウン

ケーブルカーを降りると展望台があり、ナザレビーチの町並みが一望できます。
オレンジ色の屋根が可愛らしい町で、たっぷりとした砂浜と穏やかな海が印象的でした。

ナザレ大聖堂

旧市街地の広場にはナザレ大聖堂と、広場を取り囲むようにおみやげショップが立ち並んでいます。

ついに大波の灯台へ…

Forte de Sao Miguel

ナザレの大波に写っている場所はサン・ミゲル要塞と呼ばれた建物を、現在は灯台として使っている「ナザレ灯台(Farol da Nazaré)」です。

Farol da Nazaré

灯台の中にはナザレの大波にチャレンジしたサーファー達の資料が展示されていて、サーフボードがたくさん並んでいました。中には無惨にもぱっくりと折れたボードもあり、波の大きさを感じます。

ナザレの灯台

遂に動画に写っていた小さな赤い灯台を見つけました。
この時は驚くほど穏やかな波で、風は強いものの、あの大波がくるとは思えないほど凪いだ水面でした。
遂にあの動画の場所に自分が来たのだと思うと、感動もひとしおでした。

私はあまり広告や動画に強く気持ちを動かされることは少ないのですが、このナザレの動画は本当に心を揺さぶられました。
いつかポルトガルに行くなら、この場所に立ってみたいと思うほどに…
そして、実際にその場に立って、私は今この場所にいると体感できたことはが感動に繋がりました。
推しに会えた、に近いかもしれません。

こうした場所に疑問を持たずに付いてきてくれた家族にも感謝です。
普通なら、え?ナザレ?何それ?ですよね。

SNSで映える旅行は、自分にはあまり価値を感じません。
もちろん、それが大切だと感じる人が多い世の中だからこそ、映える場所に人が集まり、撮影大会が行われて、いいね合戦が始まります。
それ自体は否定しませんが、私の旅はそこにはあまり重きがありません。

今回なら、自分の心を揺さぶったものが何なのかを確かめるために、わざわざポルトガル中部のナザレに行き滞在する。
そして、その場所を見て感じたことを咀嚼する。それが、旅の醍醐味です。

誰かのために旅をするなんてお金の無駄。できれば、自分が楽しい、美しい、美味しいと思うことだけに時間とお金を使えるといいのだけれど…
正解かどうか解らないから、難しいですよね。
でも、海外旅行のような金額の大きな話ではなく、身近なところから、自分のために時間と労力を使うこともトライしてみてはいかがでしょうか?

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