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VRChatを1年続けて起こった変化を振り返る

最初は産まれた小鹿のようにぷるぷる震えるほど緊張しながら人と関わり始めたVR世界。今では顔なじみの友人も増え、高級な椅子にゆったり腰かけるような心地よい場所となった。

そして2月。VRChatを始めてから1年がすぎた。

1年前がはるか昔のように感じる。ここまで時間がすぎるのが遅かったのは学生時代以来かもしれない。天下一品のこってりスープ並みに濃厚な1年間だった。

今回は、VRChatを始めてから起こった変化を振り返ってみる。全部で8つ。


1. 視野が広がった

VRChatの世界に降り立ち、慣れない世界で交流が始まった。そこで出会ったのは、いつもの狭い日常では交わることのない人々だった。

職場だとどうしても似た考えかたで似た境遇の人が集まる。でも、VRChatはそうじゃない。

文系、理系、さらには学生、年上、年下。
職業ももちろん違う。
土日にがんばって働いている人。
レポートに追われる学生さん。
フリーで生計を立てようとがんばっている人もいる。
話を聞くたびに知らない世界がちらっと手を振ってくれる。

生活も様々だ。
一人暮らしをしている人。
実家にあえて戻った人。
バーチャル世界でお砂糖(VRChatでのパートナー関係)がいる人。
現実世界で同棲を始めようとしている人。
耳を傾けるたびに新しい世界が広がっていく。

いろいろな場所でそれぞれが別々に生活している。
VRChatに行かないと彼らと出会うことはなかった。
そう考えるとなんだか不思議なつながりだ。

その中で一番強く感じたことがある。それが、「人によって本当に考えかたが違う」ということだ。

話すのが好きな人と、声を発さなくても満足できる人。
計画を立ててから始める人と、手を動かしてから考える人。
学ぶ過程に楽しみを見出す人と、目標を達成することに楽しみを見出す人。人によってなりたい姿や楽しく感じる瞬間は違うんだ。

「自分が嫌がることは他人にするな」という言葉がある。でも、それでは不十分だ。「自分が良いと思うことも他人とっては嫌かもしれない」という想像力を持つこと。これが大事なんだ。そんなことを前以上に強く思うようになった。

何が言いたいかというと、交流が広がって多様性をちょっとは知ることができたかなと。

2. 自分に少し自信がつく

人は思った以上に、人によって違う。表層を見て勝手に理解したつもりになっていると、徐々に小さい摩擦が生じていく。その摩擦は徐々に熱を帯び、やがて煙となりくすぶっていく。

ここ1年間で、人間関係で逆風が吹いたときがあった。VRChatではよくあることだ。でも、自分に火の粉が降りかかったら自分で消さないといけない。

いろいろあって乗り越えて残ったのは温かで熱い心だった。自分でもこういうことに巻きこまれるぐらいには他人に影響を与えられる人間だったのか。そしてしっかりと問題にも向き合うことができた。たぶん。

また同じことは起こるだろう。でもきっと大丈夫。今までも乗り越えてきたから。そんな風に前向きに思えるようになった。

3. 自己理解が深まる

いろいろな人を知り、問題にも突き当たった。その果てに自然とわいてきたのが、「もうちょっと自分について知りたい」という思いだ。原因が自分にもあるのなら、もっと自分を知っておかないと。

ふと思い出した。そういえば、1年前に何となく受けた能力テスト(ストレングスファインダー)があったな。ぱらりと広げた紙を見て思わず手が震えた。めっちゃよくわかる。前は読んでもここまで心に響かなかったのに。

「あなたは、流れにまかせて行動することを好みます。」
たしかにVRChatで交流しているとき、予想外の展開を楽しんでいるときあるな。

「あなたは、互いにとって誠実で意義のある真の1対1の人間関係を自然に作ります。」
たしかに1対1の関係性が心地よいと思うこと、よくある。

VRChatを始めたからこそ見えてきた自分の内面がそこには書かれていた。今まで何となく見ていた自分の能力を、VRChatによってさらに深めることができた。

自分はただどこにでもいる一人でなく、価値のある一人の人間なんだ。YOASOBIがいう「ありのままのかけがえの無い僕だ」ってこういうことだったのか。

4. 前向きになる

VRChatは「現実よりもやさしい世界」だ。何より自分の姿がかわいい。服を変えたり髪型を変えると「かわいい」って言ってもらえる。そしてかわいい人に囲まれていると自然と言葉が前向きになっていく。

さらに、VRChatはクリエイター目線の人が多い。VRChatのキャッチコピーは "Create, Share, Play" だ。そのせいか、絵だったり3Dモデリングだったり頑張っている人が意外と身近にいる。すごい。

その目線の人は、創作している人にやさしい。僕が文章の話をすると継続力を評価してくれることもある。ときには感想ももらえたり、互いの苦労を言い合ったりもできてとにかく前向きになれる。

そしてVRゴーグルを頭から外しながら思うのだ。現実でもがんばろう、と。

5. 精神が安定する

VRゴーグルをかぶれば友達に会える。そんな環境にいれば、多少嫌なことがあってもVR世界に潜れば癒すことができるようになる。

一般的に、楽しく安定した生活を送るためには「居場所を複数作る」のが大事だと言われている。その一つをVRChatに作ることができた。

疲れたらVRに行く。なんなら友達と会わなくても自分のかわいい姿を見ているだけでちょっとはマシになる。そんな居場所と考えるだけでも、始めて良かったと思う。

6. 精神が不安定になる(ときも増える)

さっきと言ってることが違うって思った人。それは正しい。うんうんってうなずいた人。あなたはVRChatへの適性があります。ようこそ。

VRゴーグルをかぶれば友達と会える。ただしそれは相手がいる場合だ。フレンドがみんな別のことで忙しいこともある。あとは見知らぬ人ばかりの場所にフレンドがいるとためらってしまう。突撃する勇気はない……。こうして会いに行こうとしたけど会えず悲しみを背負って現実にすぐ戻る、なんてときもある。

さらにVRChatのHPを開くと、フレンドが何をしているか大まかに見ることができる。時によっては自分がログインできないタイミングで仲良くしているのが見えてしまったり。

こういうのを積み重ねるとつい思ってしまう。フレンドは僕のことをどう考えているんだろう。

こういうときは大人しく寝ましょう。明日になれば前向きになれるから。

7. アウトプットが減り気味

VRChatに入ると、異常に居心地がよくて気をつけないと掃除機のごとく時間が吸い込まれていく。

その結果、VRChat以外に費やす時間が減ってしまう。

例えば、すごく面白いってほどでもない小説を何となく読んでいた時間。
例えば、変なものが見つからないかなと何となくふらふらさまよう散歩。
例えば、図書館を適当に回って心に刺さる本がないか探し回る時間。

こういう「なんとなく」やっていた時間、これらがオセロのように全部VRChatの時間にひっくり返った。

文章を書く上でのネタは意外とこういう「なんとなく」の行動から見つかることがある。実は大事な時間だ。たぶん。

バーチャルと現実の両立、言うのは簡単だけどなかなか難しい。バランスを模索し続けた1年間だった。そして今でも最適解を探している最中だ。

8. 一人暮らしを始めた

今まで「一人暮らししたいな」と思いつつ、慎重な性格もあり一歩が踏み出せず数年がたっていた。

一番のネックは「一人ですごし続けてメンタルが大丈夫なのか」という点だった。VRChatを始める前は、友人と話すの機会は2ヶ月に一回ぐらいだった。つまり、一人暮らしをするとずっと一人ですごすことになる。これでメンタルを崩すのがこわい。

でも、その悩みはVRChatによってあっけなく解決した。さびしかったらVRゴーグルをかぶればいい。なんならVRじゃなくても、時間さえ合えば通話してくれるフレンドもいる。

ということで、ようやく重い腰を上げて今年から賃貸暮らしとなった。今も自分で整えた部屋でキーボードをたたいている。まだ2ヶ月だが、なかなかいい環境で満足している。

背中を押してくれたVRChatに感謝だ。


全体的には圧倒的にプラス

人と会い、新たな刺激を受け自分を深めることができた1年間だった。現在のプレイ時間は約400時間。VRChatのチュートリアルと言われている1000時間はまだまだ遠い。つまり、まだまだ見えてない景色があるってことだ。

今年は何が起こるのだろう。願わくば、さらに新しい自分になれていますように。

最近はフルトラ始めました!


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