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野村克也に聞きたい「頭の捻り方」と「野球の楽しみ方」

2024年2月1日から始まった東京ヤクルトスワローズ春季キャンプは今日、休養日も含め11日目を迎えた。

そしてこの日は、3年前から黙祷で始まる。

9時20分、グラウンドに選手、首脳陣、
「本日は野村克也監督の五回忌です。全員で黙祷を捧げます。黙祷」。

この場を共有したくて、私は毎年、2月11日にここ浦添に居ようと決め、今年もやってきた。

2024.2.11 sun. @ANA BALL PARK浦添

野村監督が亡くなってから、ヤクルトはセ・リーグ2連覇、日本一1回を勝ち取る強いチームになった。

私は、2022年2月1日、浦添球場のある光景を忘れられない。。
キャンプ初日、選手たちは今までなかった右腕の日本シリーズ優勝エンブレムをさわり、眺めながら集まってきた。
皆、誇らしげで、うれしそうだった。

そして、浦添球場の掲揚台を見るとそこには、「2021 NIPPON CHAMPION」と書かれた真紅のペナントが風にたなびいていた。

2022.2.1 tue. @ANA BALL PARK浦添

指揮官・高津臣吾が確信を持って「我々の野球」と言い切った、ヤクルトの全員野球。
選手たちはそれを理解し、「絶対大丈夫」と呟きながら、ときに合言葉に、グラウンドに立ち続けた。
「誰かのミスは全員で補えばいい」。
そうチームを牽引した中村悠平は、ヤクルトの正捕手の背番号「27」をようやく継承した。

ヤクルトらしさあふれる優勝の証が、あのチャンピオンフラッグだった。
野村監督は、見てくれているだろうか。
このチャンピオンフラッグ、もう絶対誰にも渡したくない。

2022年10月30日。危なげなく優勝し、日本シリーズに進出したヤクルトは、2勝1分からの4連敗で日本シリーズ連覇を逃した。
神宮球場で、私は2月のあの感動を思い起こしていた。

あのチャンピオンフラッグが人手に渡るなんて、なんでこんなことになってしまったんだ。
「NIPPON」が「CENTRAL LEAGUE」に変わっただけでも、私は不満だった。

やはり、日本一になりたい。全員で、優勝をつかみ取りたい。

そう誓って始まった2023年は、最下位とゲーム差0の5位に沈み、ペナントは浦添からも消えた。

やはり、足りない。

2024.2.11 sun. @ANA BALL PARK浦添

足りないと思ってしまうのだ。

◇◆◇

野村監督。
立て直しの年です。勝ちにこだわり、何が何でも勝って、私はまた、あの優勝の歓喜に浸りたいです。
ヤクルトが、ヤクルトらしく戦い、それが優勝にまでつながったことが、ファンにとっては誇りでした。
昨季は、「ヤクルトらしさ」を発揮できなかったことが、何より残念でした。
「ヤクルトらしさ」。
それは、野村監督がつくった「頭の野球」に、よく高津監督が言っている「仲間のつながりで勝ち進む野球」です。
昨季、選手はもちろん、高津監督も元気がありませんでした。
大型連敗もしましたし、気が滅入る日々だったと思います。
そんなとき、野村監督から高津監督へ、ぜひかけてほしい言葉があります。
「弱いチームを強くするのは楽しいよ」。*1
楽しんで野球をすることは、仕事である以上難しいことかもしれません。
でも、高津監督には、明るく強くあってほしいのです。
弱いチームを強くしてみろ! 頭を使え! 今なら何でもできるだろ!
そう、チームを鼓舞してもらいたいのです。
野村監督も、足りないと思うでしょう?
どうしても、取り返したいんです。力を貸してください。お願いします。

令和6年2月11日 田村あゆみ


*1



五回忌だから、この手紙も5本目になりましたよ、野村監督。

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