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強い人。

弱さは見世物ではないから、
花びらを重ねて花の奥に潜めていた。
「強い人だね」と讃えられる度、
わたしはうれしげにそのばらを飾った。
何かの証、勲章のように。

とげを光らせているのは、
今の居場所をうばわれぬため。
そうして誰をも寄せつけず、
帰れないほど遠くなった。

ひしめく花びらのなかに
わたしは何を忘れてきたのか。

強くなることは、さみしいことだ。

あなたを守る
たったひとりの「わたし」を見抜いて。
わたしにとって
「わたし」はひとりきりだから。

あなたはあなたを
裁くことができますか。
自らのとげを
愛することができますか。

とげを愛してもらえなければ
花は花を生きられない。

刺して知らせる誰かの指が欲しかった。
かまわず摘み取って、終わらせてほしい。
けれどこの花の奥に育てた
わたしの弱さは終わらせないで。

何を祝うための花でもなく
咲きほこってしまったばらの強さを
わたしは自らの手の中に
生けてみせよう。

⁡***

ばらの花、文月悠光さんによる、僕の大好きな詩です。


強がって、無理して、我慢してしまうよね。

カッコ悪いところなんて、誰にも見せたくないよね。


でも、弱さを見せずに生きられることは、

全部あなたの強さだよ。誇っていいんだよ。


それを誇りに思いながら、弱さを見せられる人を見つけていくんだ。


本当は甘えたいよね、誰かを頼りたいよね、助けてほしいよね。

まだ出会ってないだけだよ。大丈夫。


だからね、もう少し頑張ってみよう。


強いあなたなら絶対、見つけられる。




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