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絵描きから、かけがえのない大切な友への手紙 5


大切な友へ 今

クリスマスはおうちだよ



「おはよう、行ってくるわ」
パートの面接にでも行くのかと思わせるテンション
そこから伺われる、隠された不安と緊張感
それを自らで包んでいるのがわかる

オペ前の点滴を受けながらのLINE
きみはあとわずかでオペ室に向かう
こんな直前まで連絡をしてくれるのがありがたい
「がんばってたっぷり眠っておいで」
文字で見送る

「不思議と今は落ち着いてるわ」
きみの心が水平線になった

長い長い手術時間
あたしは仕事の合間ちらちら時計を見てしまう
今頃まだきみは深い眠りの中
ドクターと神に身を任せている
どのくらいで目が覚めるのだろう

目が覚めたきみはきっと今までよりももっと強くなってる
きみが命を育んだそれらは役目を終えただけなんだ
日増しに傷は癒えるはずだよ


目覚めてから数日経った
「眠れないから詩を作ったのよ」
きみから詩が送られてきた
きみらしいきみならではの詩
日常の中の非日常の切り取り方が絶妙だ
余分なものが何もない

きっと今、きみの感性は冴え渡っているのかもしれない

やっぱり文芸の世界にいられることって精神的強みだ
苦しい時救ってくれるのが自分の創作だったりもするよね

これから始まる静かな戦いに備えてちゃんと眠るんだよ

順調に無事退院することを祈ってるよ
クリスマスはおうちがいいね




はじまり

はじまる

更なる

覚悟


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