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『ねねこグラフィカル』ネタバレ皆無 絵描きの毒入り炭酸水的感想


いきなり


玉ねぎってどこまでが皮なの


玉ねぎの皮を剥いてたらどこまで剥いていいのかわからなくなって、おやまあ手の中の玉ねぎがなくなった。
そしたら『ねねこグラフィカル』を思い出したんだ。
消滅した玉ねぎがさらに今夜のおやつのドーナッツの穴に繋がって、ねねこの世界を垣間見た気がしたんだよ。


『ねねこグラフィカル』ってね


言わずと知れたマルチアーティストアポロが、小説家アポロとしてその才能の一端である絵だったり俳句だったり歌だったりを封印して、大好きなおやつもそこそこに心血注いで描いた究極の文芸愛万物愛炸裂の文芸作品であると思ったんだ。
気晴らしに読むつもりが気晴らしでは済まなくなる。
読者を困らせつつ楽しませる策士アポロの手中にくやしいけどはまる。


まずは読了した時感じた妙な心地よさ。
作者もあとがきで言及している『揺らぎ』が隠されていたみたい。
やられたね。
でも正直に言うと私が感じたのは、変なたとえだけど体内の血液が送り出される時のざぶんという音。
そしてその音を感じながら頭痛がするのに眠ってしまう感じ。
その音が夢の中で映像になった感じと似ている。
感じる音の視覚化。
それを言語化してると。


ああ、冒頭序章から怪しくも妖しい奇しさ満載の謎を見え隠れさせて、いきなりわくわくを植え付けられて。
玉ねぎのどの部分を今読んでるのかなって混乱する。いぢわる。
でもドーナッツの穴を食べられるかも知れないという期待感。


パズルじゃないよ、立体切り嵌め


作品の展開は美しい切り嵌めみたいだ。立体の切り嵌め。
パズルみたいにカチッと合わさって決まった正解を唱えるのではなくて、いろんな時間やいろんな空間やいろんな世界やいろんな感情やいろんな悪戯を繋ぎ合わせて何層にも重ねてく。
そこにはズレや摩擦が生じたり穴が空いてたり。
だから愛しい。だから知りたくなる。
そこに読者の入り込める隙間がある。
するりと入り込めた時そのたび後頭部から頭頂に向かって炭酸水の泡が這い上がるんだ。
受け入れられて受け入れる。愛されて愛する。逆もまた然り。
そんなお話を揺ら揺らしながら、本当はすごいことをメッセージしてる。
こんなかたち、読者を信頼してるから思い切れてる。
だからこそ挑戦。物質的小道具なしの大挑戦。


すごい未来へのメッセージ



多分だけど作者の計り知れない多分万物芸術論詰め詰めの脳みそに、多分ずっと棲みついている、ひとつの壮大な案件が込められてる。訴えてる。
その訴えは共感者は続出すると思うし共犯者を立候補する共感者がいるかもしれない。

生み出された愛すべきキャラたち、ひとりひとりが際立って奇しくて。
それぞればかみたいに個性的なのに、私にはそれらが元のひとりからそれぞれの分かれたキャラのような気がして。たとえば作者の理想とするかたちの人格を切り分けたキャラ。
それが立体切り嵌めみたいに縫い合わされて、理想的多角的な無敵なキャラになるのではないかと妄想気味。

何度読んでも面白いのは言うまでもがな。
読むたびに発見すること山盛り。
本文内の散りばめられた言葉を使った感想したかったけど、うっかりネタバレの危険を孕むので、そこは敢えて避けて。

この立体小説は、日頃からゆるゆるのんびりかわい子ぶりぶりしてるふりして、ストイックにして、おやつさえ食べるの忘れて取り組んだだけではなくて。
元々の創造性と文才の天才っぷりと、絵を描き俳句を詠み詩を書き音楽を奏でる多角的に創作する作者から、自然に出てきたような気もしないでもないんだ。わからんけど。

とにかく未来に希望が持てたんだ。
世界は終わらない!
ラブあんどピース!!!
ありがとう。

支離滅裂の変てこ感想だけど玉ねぎ一個消滅させたから。
玉ねぎで涙。

ドーナッツの穴と炭酸水の泡の先には消滅した玉ねぎがちゃっかりいるんだよ。なんのこっちゃ。




おわり。


勝手にねねこ笑

太陽の眼鏡



前回、さりげなさを意識しておまけみたいに書いた(笑)『ねねこグラフィカル』のさりげなき読んでね攻撃の記事、いっぱいスキくれてありがとうございました。涙



ありがと
ありがと


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