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絵描きの万愚節2023 「はりぼての四月」





ひろ生にとって毎年四月一日は特別な四月馬鹿だ。
姉のようだった母が天に召された日だから。

先日探し物をしていたら、我楽多の中に古キャンが埋もれていた。
おや? と掘り出してみると、懐かしい絵が顔を出したのである。
ひろ生的には古い絵をそのまま保管しておくことは、ほぼ無いのである。
が、それは我が息子がこの世に登場するよりも前、小さな子供たちがひろ生のアトリエに絵を描きに集まっていた頃のタブローであった。
なぜ残っていたか。
描いた当時、病床の母が自身の四月の誕生日に「欲しい」と言ったからに尽きる。
そのひと言で、この絵は第一の消滅 (作者による塗り潰し攻撃) を免れたのであった。
母の旅立ちのあと、(無類の猫好きの) 息子がこの絵を気に入って、今は跡形も無き実家から持って来ていたために、リアルに実家の破壊に伴う第二の破壊をも免れた幸せな絵なのである。
少し意味深なので、ここはスルーして下されませ。

さて、今みても絵画的にはあり得ない構図ではあるが、悪くはないよなと自負しつつ、この絵が破壊されないきっかけを作ってくれた母に、特大なる感謝と果てしない慕情をあらためて感じてしまう。
そこで先日、構図も色味も変えずに、マチエールだけ整えて? いや、むしろ揺さぶって、作品の記憶の上塗りをしてみた。



「はりぼての四月」上塗りバージョン
F4油彩
母の好きだった絵
そのくせ我楽多に埋もれて……


こんな四月一日に、今年の万愚節も愚句を詠んでみようと思った次第で……




万愚節母の愛した絵がいとし


指切りは嘘じゃないよと万愚節


約束を果たさぬままの春の星


春月夜抱きしめたいのもう一度




お空の母に届くかしら。
一年毎に母の歳に近づいて、日増しにぎょっとするほど母の顔に似てくる。


空っぽの空へ





一年前の四月一日の詩と俳句
よかったら見てみて下さりませ♡




最後まで読んでいただいてありがとうございました。





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