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zakiさん、ピアノ買うってよ

電子ピアノだっていいじゃないか

2021年3月にKAWAI CA79(通称しげる)を購入した。

SK-EXの響きや共鳴音を忠実に再現した音源、グランドピアノに限りなく近いタッチの木製鍵盤を採用した上級機種、ブルグミュラー25の練習曲〜ソナチネと練習を続けてきた私の大事な相棒。


練習再開と同時にTwitterでピアノに関する話題を追うようになった。

多くは楽しい内容だが、「電子ピアノ否定論」を幾度となく目にした。

いろいろ思うことはあるが、電子ピアノよりもアコースティックピアノ、可能ならばグランドピアノで練習することがより良いという意見には同意する。

だから「アップライトピアノを買った」「グランドピアノに入れ替えた」というツイートを見ると、「おめでとう」という気持ちとともに「うらやましい」「いつか私も」という気持ちが湧いてくる。

欲しい熱が高まってピアノの価格を調べたこともあったが、その度に自分の生活環境では電子ピアノが最適という考えに落ちつく。

趣味として音楽を楽しむだけなら電子ピアノでも十分だし、そのつもりで「しげる」を購入した。

実際のところ、なんの不足も感じてはいなかった。



ピアノの音が見えた

ピアノを再開し3年目に入った2022年の6月、北海道東川町にある「小西健二音楽堂」でベーゼンドルファー170を弾いた。

小西健二音楽堂

ふくよかで艷やのある音色がポーンと室内に広がる。

それはまるで一本の音の矢が放物線を描いて飛び出し、拡散しながら消えていくのが目に見えるようだった。

小西健二音楽堂


N先生から「ピアノの響きに耳を済ませること、響きとは空間に広がる音のこと、出した後の音で時間の芸術が表現できる」と言われたことがある。

だからヘッドフォンで練習するだけでなく、たまにはスピーカーでもいいから音を出し、空間に広がる響きをイメージして練習して欲しいと。


スピーカーから音を出して演奏したことはあったが、こんな感覚になったことは一度もない。

知らなかった、これがピアノの響きというものなのか?



響きを感じられるようになりたい

私はオンラインレッスンのみなので、グランドピアノを弾くにはスタジオレンタルしかなく、その機会は限られている。

これまでグランドピアノで演奏しても音が見えるどころか、弾くことに必死過ぎて、自分が出した音を聞いていなかったことに改めて気づかされた。

同時に、素敵だと思っていた「しげる」の音も少し嘘く感じるようになった。


ピアノの響きを感じられるようになりたい、もっとその機会を増やしたい、そしてもっともっと上手くなりたいという気持ちが次第に強くなった。


しかし、電子ピアノだけでは限界がある。

レンタルスタジオの利用、対面レッスンを受ける・・・いろいろ検討したが、自分の生活環境や都合とマッチしない。

買うのが一番手っ取り早いのではないか?



本当にアコースティックピアノが必要なのか?

我が家は戸建。

隣家への配慮がほとんど必要のない立地だが、練習はヘッドフォンをしても21時までと決めている。

なぜなら、我が家には電子ピアノの打鍵音にも過敏になる「家庭内抵抗勢力」がいるからだ。

家族とはいえ相手に配慮し、いらぬ衝突を避けるのは、自分が気持ちよくピアノを続けていくため。

スピーカーから極力音は出さず、ヘッドフォンで練習するのが一番平和、これこそが「電子ピアノでいいじゃないか」と考える最大の理由だ。


そんな環境でアコースティックピアノを買うことに意味があるのか?

買ったとしても音を出せる時間は限られている、タイミングが合わなければ音を出せない日が続くことも予想される。

そして、ピアノを買い替えたからといって、ピアノが上達するとも限らない。


何度も何度も、長い時間をかけて考えた。


行き着いた答えは自己満足でもよいから今よりもワンステップ上の環境でピアノに取り組みたい、ただそれだけ。

決めた、ピアノを買おう!

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