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囲碁HotWeek(2023年7月22日)

囲碁界における今週の熱い対局やイベント事に関する事を記載するnoteです。

1.今週の井山 vs 一力

1-1.第78期本因坊戦7番勝負

第78期本因坊戦7番勝負の最終局が2023年7月19日、20日に実施されました。白番一力棋聖の白番中押し勝ちにより、井山本因坊の12連覇達成を阻止し、一力棋聖が本因坊のタイトルを初めて獲得した。

井山本因坊は、ここまで通算11連覇という前人未踏の記録をされており、最終局では通算12連覇という大記録に挑んでいた。

井山棋士は、二度の7冠達成や囲碁界初の国民栄誉賞受賞や七大タイトル獲得数は、57回という日本囲碁界の王者振りをみせている。その上で、本因坊戦は井山棋士が一番長く防衛をされてきたタイトルであり、歴史ある本因坊戦に対しての愛着も非常に有った棋戦であろう。

最終局を振り返ってみよう。

【本因坊戦1日目】 
黒17から井山本因坊が仕掛け、白30手目まで黒番井山本因坊が1本獲る形となる。白30まで白地10目程度と馬鹿にならない陣地を収めたように思えるが、17、19の黒石2目を捨て石にして、外からの効き筋が多くこの分れは黒が打ちやすく白が神経を使いやすい。

白36のハネに対して、黒37当て及び黒39つぎと白の根拠が奪われた上に白の2、34,32,38の石の形が効率悪く形をくずされる。
双方最前を尽くし、白70手まで形を作りにいくが、白の形が崩されており、黒は要所要所に確定時が形成されて、白がコミの優位が消し飛ぶ。

1日目の内容は、井山本因坊が圧巻の内容であり、ここ2~3年間の井山 vs 一力戦において、井山本因坊が大きくリードする展開は初めての事だと思います。

そして、黒番71手目が長考され、封じ手とされた。

【本因坊戦2日目】 
封じてを開示するとケイマにツケルという過激な手を打つと狙いの73と切るが76のコスミと最強に頑張られる。

参考図

10年近く井山棋士のタイトル戦の棋譜を視て感じたのが、昔の井山本因坊であれば、白の攻めを強調して隅にツケル手ではなく、多少地を損しても参考図の黒1打ち、先に切っている黒石1子を動き出しを強調していると思う。
逆に隅にツケたことにより、弱そうだった白石が一気に強い石かつ模様を形成するほぼ繋がった石となり上辺が雄大となりました。更に右上ハサミの絶好の好点も後手を踏んだことにより、白に回られてしまった。

ここから井山本因坊がリズムが狂い、逆に一力棋聖が1日目とは異なり冷静さと本来持つ読みの精度の高さで逆転した囲碁を寄せ切った。

この碁は、1日目の打たれた封じ手と2日目に打たれた77の整合性の無さがキレキレだった1日目の井山先生らしからぬ展開だった。
恐らく、黒77手目を打たせたのは、
・一力棋聖の白番76のコスミと堂々と受けた事
・難敵一力棋聖から1日目にして、コミ分をリードした事によって、井山本因坊の読みの波長が崩れた。

のだと思います。それにしても一力本因坊の秒読みに読まれてからの形勢判断と正しい受けの強さは素晴らしかったです。

お二人には、次の直接対決に備えて少しゆっくりと体調を労わって欲しいですね。

1-2.来週以降の井山 vs 一力戦
①第48期 名人戦リーグ 最終日 2023年7月24日(月)
 こちらは、一力棋聖が井山碁聖の全勝をストップし、井山碁聖6勝1敗そして一力棋聖も6勝1敗と並び、芝野虎丸名人への挑戦権を争う最終局です。

・井山碁聖(6-1) - 許 家元(キョ カゲン)九段(4-3)
・一力棋聖(6-1) - 余 正麒 (ヨ セイキ)八段(5-2)

この勝負に勝ち切った方が名人戦の挑戦者となります。但し、双方勝ち上がった場合と双方負けた場合には、井山碁聖と一力棋聖とのプレーオフが実施されます。ここでも間接的に双方負けられない棋戦となっています。

➁第48期 碁聖戦 第3局 2023年7月28日(金)
 井山碁聖が2勝と防衛に後1勝と迫っている碁聖戦です。
 ①の名人戦リーグの勝敗が両棋士の精神状況を左右します。

➂井山 vs 一力戦の今後
今回の本因坊戦では、一力新本因坊が誕生しましたが、両雄の戦いは名人戦リーグ、王座戦、棋聖戦リーグを確認しなければなりません。私の読みですが、来年の棋聖戦で激突しているような気がします。というか対戦して欲しいです。

2.気になる大会やイベント

今年の囲碁界は非常にアクティブで多くのイベントが開催されています。今から日本棋院のHPや棋士のツイッターを確認して、大きなイベントは逃さないようにしたいところです。

1.fuie 囲碁フェスティバル

 2023 年 8 月 19 日(土)
 総勢35名の棋士達と指導碁が楽しめたり、飲食が楽しめます。その上で抽選会が開かれて豪華賞品が運が良ければ当たります。この会が面白いのが、13,200円とちょっと参加費は値が張りますが指導碁を交代で数回色んな棋士を打てる所でしょう。

2.日本棋院ファン感謝囲碁まつり 2023
2023年9月24日(日)

棋士とのペア碁が面白そうですね。それと歴代の名棋士である張栩(チョウ ウ)九段と山下敬吾九段とのスペシャル指導碁が碁打ちにとって生涯の思い出作りに最高です。

ここで作者ならではの自己満な自慢を1つ、張栩先生と山下先生はある会で半径3m位まではお近づきになれたことがあります。お二方とも気配りのある良い先生です。

3.その他

将来、女流初の七大タイトル挑戦を期待されている仲邑菫女流棋聖が、囲碁の強い国韓国におけるリーグ戦に参戦中です。

日本中どこも暑くなってきました。
そんな暑い日は、囲碁のイベントや対局で厚い囲碁を実践して、頭をCoolにするのが正しい夏の過ごし方かも知れません。

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