見出し画像

囲碁に土日祝の入門コースが無い理由

先日、ナマズ釣り@点5で全ツおじさん さんのnoteが話題になった。

子供や学生からではなく、社会人から囲碁を学ぼうとされている貴重なご意見であり、非常に的を得た問題提起をされていました。

囲碁人口が団塊の世代が現役時代の約1000万人囲碁人時代から、気が付けば囲碁人は、150万人前後とされている。ナマズ釣りさんのように社会人から囲碁を嗜んで頂く方は囲碁界で大切にしなければならないと思う。

1.土日祝に入門が無い理由

団塊の世代が現役だった時代から、土日祝は大会などの大型イベントを置く文化になっていたからです。

「団塊の世代」といわれる昭和22(1947)~24(1949)年に生まれた者は、出生数で約806万人。現在、77歳~79歳位の高齢者が20歳~30歳頃の時代と日本棋院の運営との歴史に関係しています。

1982年頃、即ち団塊の世代が35歳の働き盛りで嫁と結婚して、子供を最低2人以上養って頑張っている頃は、囲碁人口は団塊の世代を中心に1千万人前後いたとされている。

この当時は、今のようにスマホ・携帯・大容量インターネット回線・動画・ゲーム機・オンラインゲーム・ソシャゲのような現代的なインターネット時代に適したエンターテインメントが有りませんでした。

団塊の世代が好んで遊びとしていたのが、

  • 囲碁

  • 将棋

  • 麻雀(博打)

  • 競馬、競艇、競輪などの博打

  • パチンコ(羽ねもの)

  • お酒

  • ディスコ

  • 女遊び(不倫、風俗など)

という感じだったでしょう。団塊の世代の多くが上記遊びに関して、複数嗜まれている方が多かった印象を受けます。

団塊の世代が現役バリバリ35歳の頃に、囲碁人口が総人口の10人1人は囲碁を嗜んでいるという囲碁黄金時代がありました。団塊の世代がいつどこで囲碁を学ぶかといえば、その多くは学校・職場でした。

学校や職場で『囲碁面白いし、知的で深いし、社交的だからお前もやってみろよ。俺が教えてやるからよ』という事が当たり前のように起きていました。

小学校・中学校・大学には、多くに囲碁部が存在し、職場にも休憩所に碁盤がおいてあり、大手企業には囲碁部も多く存在した時代です。

私の幼少の記憶では、父親の交友関係であった政治家・弁護士・不動産屋社員・歯医者・サラリーマンなど有とあらゆる職種の方と父親に付き添いお会いさせて頂きましたが、挨拶・商談変わりに囲碁を昼過ぎから打っていた時代です。

勿論、この時代にも日本棋院がありましたし、日本棋院の教室にも入門・初級コースは存在しました。ですが、この当時から入門・初級コースは、平日のお昼過ぎとか良くて18時開催が定番でした。

その理由は、囲碁の入門・初級までの学びは学校や職場で誰かに教わってくるのが当たり前の時代だったのです。逆に囲碁人1千万人時代にニーズが高かったのが、土日祝の段級位認定大会、社会人大会、企業別団体戦などの大会を実施されています。

囲碁人1千万人時代の1985年頃から、ナマズ釣りさんのように社会人から囲碁を学ぶ方々は、入門・初級の学びの多くは残念ながら独学や周囲の知人から教えを乞うスタイルだったのです。

その文化が、囲碁人1千万人時代から囲碁人150万人時代になっても継続してしまっているのが、日本棋院を中心として囲碁界の現実です。

2.浮き彫りになる大きな問題

ナマズ釣りさんの貴重なご意見ともう一つ囲碁界の大きな問題点が浮き彫りになってきます。

囲碁界のプロ棋士やアマチュア普及員は、自分達が囲碁という狭い世界で先生という立場を貫く事や自分達の都合の良い稼ぎ方を維持してきたので、学びを受ける方に寄り添う仕事の確立が未だ出来ていません。

即ち、先生は自分主体のスケジュール通りのカリキュラムや時間を設定する。生徒は、先生の講義を聞くために時間を合わせて受講しに行くという価値感で来ています。

これでは、いつどこでも自由に学べる・遊べるマルチメディアの世界や土日祝に入門・初級者への窓口を開いている業種に圧倒されるのは、当たり前です。

3.大きなヒントもある

実は、ナマズ釣りさんのご意見には、非常に優れた貴重な意見が有ります。

即ち、今まで囲碁のプロ棋士もアマチュア普及員も、自分達の生活や都合だけで時間や囲碁講座を設定していたのを、プロ棋士とアマチュア普及員が分担して土日祝で学びの窓口を増やせば、少しでも普及の可能性が増える事を示唆しています。

結論としては、日本棋院に所属する棋士で手分けして、土日祝に社会人やご家族、学生の学びが出来る場を各種用意するだけでも、囲碁人が増やせるという事を意味しています。

即ち、450名いる棋士達が手弁当で土日祝の入門・初級者コースを数年間やり切るだけでも囲碁は普及するのです。

でも、囲碁の棋士達は自分達が危機的状況に置かれているのにも関わらず、入門・初級者コースの無料化やサービスの奉仕に発想が向いていないんですね。

私は、IT業界で長く従事させて頂きましたが、20~30歳の頃のGW、長期休暇の多くは自分の年収を上げるために、仕事場に自ら出勤(サービス残業)していたか自宅にいても顧客のための調べ事をやっていました。

そのような事を最低5年継続していたら、案件取得率も非常に高かったし、結果として収入も倍・倍と増えていきました。

囲碁棋士450名がお家にいて、将来への不安を抱えながら家で悶々としているならば、棋士全員が近場の碁会所や棋院に自ら出向いて、土日祝の無料入門・初級コースを数年間やりきるべきだろう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?