バラッコ古代彫刻美術館にある古代ギリシャのレリーフ
ローマにあるバラッコ古代彫刻美術館(イタリア語ではMuseo di sculatura antica givanni barracco)は入館料を取っておらず寄付金を受け付けている。
初めて訪れたのは2017年で小規模な博物館程度にしか感じなかった。
現在通っている語学学校に近いこともあり時間がある時は寄るようにしている。
今日は観る事をメインにこの美術館にやってきたのだが、展示されているレリーフ彫刻に特に関心を抱いた。
というのもあまりにもレベルが高く彫りも繊細で立体的な彫り分けやドレープの強弱の付け方、人物のリズミカルな動きなどがかなり高い完成度で表現されているからである。
3人の女性像がそれぞれに分断された子鹿であろうか、動物の身体を持っており、もう片方の手にはナイフのようなものを持っている。
そこの描写だけを切り抜くと中々に残酷なシーン描いているようだが襞の曲線と繊細な浮き彫りにより残酷な描写が軽やかな温かみのあるシーンになっているようにみえる。
またそれぞれの女性が異なる動き、ポーズをしている事により彼女らの心理的な情報はもちろんその場の雰囲気も伝わってくる。
台所でしめられた動物を食す為のみを目的に談笑しながら解体している光景と似たものを感じる。
また余白のバランスで観ると向かって左側の人物の前が少し広く見えるがそこがあまり気にならないのは中心の人物の頭、右手の力感から胴体、脚を通して足先まで貫いている強烈な軸の強さのおかげに見える。
中心軸の主張が技巧のいやらしさを感じさせずに自然な力を主張している。
アルテンプス宮にある和辻哲郎が言及していたヴィーナスの誕生のレリーフ彫刻は特に有名だが、この無料の美術館にもそれに匹敵するほどのレリーフがあることが信じられなかった。
人物やドレープの繊細さを強めるために襞の下部に強めの彫りを加えてバランスを取っているように観えるのだが、その技法を感じさせないのにも素晴らしい技術力を感じる。
他にも素晴らしいレリーフ彫刻があった。
どれも極上のレリーフである。
幸いローマに留学中なので、1日に1つだけじっくり眺めるという贅沢な時間の使い方をしてみてもいいように感じる。
そうすることで自分の作品に対する考察力、観察力が養われることを期待する。
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