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『天使の翼』第13章~吟遊詩人デイテの冒険~

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マウンテンデビルの背にまたがって『空白地帯』の村や町に降り立つ『風のデイテ』となったデイテの次の一手とは?
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記事一覧

『天使の翼』第13章(15)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、わたしの顔とSSIPの方を交互に見比べて戸惑う子らに、目顔と手のひらの動きで親御…

武田敦
11日前

『天使の翼』第13章(14)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 その場の空気、音の世界にそぐわない不協和音が、ようやくわたしの意識の壁を突き破ってきた…

武田敦
12日前

『天使の翼』第13章(13)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「大好き、Eliza!」、最後にわたしがシャウトして曲を終えた後、Elizaはグイと鎌首をもたげ…

武田敦
13日前

『天使の翼』第13章(12)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 自慢のギターで長めの前奏をかなで、いつもより少し高めの音域で歌い始める。  

武田敦
1か月前

『天使の翼』第13章(11)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 エリザの利き足である左前脚の爪先まで戻ったわたしは、ギターをケースから取り出し、エリザ…

武田敦
1か月前
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『天使の翼』第13章(10)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 公園まではアッという間だった。ビルとビルの間をすり抜け、最後に大きく羽ばたいて、わたし…

武田敦
1か月前

『天使の翼』第13章(9)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 マウンテンデビルは生来の飛行生物ではない。羽ばたいたってあの巨体が空に浮かび上がる訳ではない。どこか高所から飛び降りてグライダー飛行に移る必要があった。  『まさか殺しやしないでしょ。人間たちに稜線の縁まで運んでもらうわ』  確かにそうだが、相当に勇気のいる、覚悟の行動だ……エリザは、わたしのために最高のステージを用意しようとしている。  「エリザ!」  『泣かないでよ‼』  わたしは、エリザの逞しい首にギュッとしがみつくことでそれに答えた。

『天使の翼』第13章(8)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 急降下の風圧に耐えて、エリザの鱗の隙間から何とか前方を確認したわたしは、エリザが盆地中…

武田敦
2か月前

『天使の翼』第13章(7)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 『そうね、遥か昔この盆地に私たちデビルが住んでいたとは、私も聞いたことがあるわ』   …

武田敦
2か月前
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『天使の翼』第13章(6)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 下ばかり見ていたわたしは、エリザの急激な方向転換、その急な遠心力にハッと我に返った。金…

武田敦
2か月前
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『天使の翼』第13章(5)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 盆地の中に、盆地の上空に入った瞬間、エリザの巨体がフッと軽くなり、わたし達は、風のない…

武田敦
2か月前
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『天使の翼』第13章(4)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしが、ゴーグルを上げて、顔に張り付いた無数の雨滴を手の甲でぬぐおうとした時だった。…

武田敦
2か月前

『天使の翼』第13章(3)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 エリザによれば、ハイアンコーナへの飛行は気流の状態にもよるが標準時で2時間ほどの行程だ…

武田敦
2か月前
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『天使の翼』第13章(2)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、高原地帯の村々をエリザの背に乗って旅しながら――エリザとのチャーター契約は、無期限で延長してあった。彼女は、わたしの寝ている間に、風を得て一度故郷に帰り、仲間や家族に状況を説明したようだ――、この降って湧いたようなわたしの新境地を存分に楽しみ、修練を積みながらも、心ひそかに、SSIPが逮捕にくる等々の状況の変化を待っていた。そこから、シャルルやローラの消息、そして、グランサンスへの道が見えてくるのではないか、と考えたのだ。わたしの今の本道は、使命の達成にある……