マガジンのカバー画像

國學院大学メディアnote

16
國學院大学メディアnoteで執筆した記事
運営しているクリエイター

記事一覧

ビキニパンツの「鬼」がいざなう歴史沼|蒐集、それは研究の始まり

ビキニパンツの「鬼」がいざなう歴史沼|蒐集、それは研究の始まり

中心に大きく描かれるのは、鬼にも悪魔にも見えるキャラクター。主に天台宗のお寺で頒布される「元三大師のお札」には、家の出入り口などに貼ることで、魔除けの効果があるという。ありがたいものでありながら、どこか親しみを感じさせるデザイン。収集したくなる気持ちもなんとなく分かる。

今回お話を聞いた比企貴之さん(國學院大學研究開発推進機構 校史・学術資産研究センター 助教)も、最初は「絵柄の面白さに惹かれて

もっとみる
研究と実践の往還こそ使命であり喜び|町田樹|私が学ぶ私的な理由

研究と実践の往還こそ使命であり喜び|町田樹|私が学ぶ私的な理由

2014年ソチ・オリンピックに出場した日本を代表するフィギュアスケーターの一人、町田樹さん。同年12月に競技者を引退し、セカンドキャリアとして選んだのは研究者の道でした。2020年10月に國學院大學人間開発学部に着任し、2024年4月からは准教授として活動しています。

フィギュアスケートや新体操といった芸術的側面を持つスポーツを「アーティスティックスポーツ」と名付け、経済学、法学、社会学、芸術学

もっとみる
勉強するために勉強してる|作業療法士・橋本和樹|私が学ぶ「私的な」理由

勉強するために勉強してる|作業療法士・橋本和樹|私が学ぶ「私的な」理由

2000年代のインディーズ音楽シーンを彩った京都発オルタナティブロックバンド「dOPPO」のボーカル・橋本和樹さん。バンドは2017年に惜しまれつつ解散しましたが、その後もソロアーティストとしてマイペースに活動を続けています。

橋本さんにはもう一つ、医療従事者としての顔があります。普段は作業療法士として患者のリハビリを行っており、その技術研鑽などを目的に、2022年9月に渡仏。現在はパリ第8大学

もっとみる
学問こそが一番のエンタメである|バラエティプロデューサー・角田陽一郎|私が学ぶ「私的な」理由

学問こそが一番のエンタメである|バラエティプロデューサー・角田陽一郎|私が学ぶ「私的な」理由

学問こそが一番のエンタメである——。そう言い切るのは、フリーランスの「バラエティプロデューサー」として多方面で活躍中の角田陽一郎さんです。

1994年に新卒でTBSに入社。バラエティ番組のプロデューサーとして『金スマ』『からくりTV』などの人気番組を手がけてきました。2016年の退社・独立後は、東京大学大学院に入学し、「文化資源学」という新しい学問を学んでいます。また、自身のnoteや著書など

もっとみる
コロナ禍を経て再燃した「海外で暮らしたい」欲求|編集者・立花実咲|私が学ぶ「私的な」理由

コロナ禍を経て再燃した「海外で暮らしたい」欲求|編集者・立花実咲|私が学ぶ「私的な」理由

立花実咲(たちばな・みさき)さんは静岡県出身の32歳。ウェブメディア「灯台もと暮らし」を運営する株式会社Waseiでキャリアをスタートさせた編集者です。2017年には、同社の編集業務に引き続き携わりながら、林業が盛んな北海道下川町に移住。地域おこし協力隊としてさまざまな形で同町の魅力を発信してきました。

3年間の任期を終えたあと1年のフリーランス期間を経て鹿児島県大崎町へと移り、環境問題の普及啓

もっとみる
「忘れ物」を回収し、人生を前に進める。漫画家・うえはらけいた|私が学ぶ「私的」な理由

「忘れ物」を回収し、人生を前に進める。漫画家・うえはらけいた|私が学ぶ「私的」な理由

とてつもない表現に触れると、感動を通り越して体中が「ゾワワ」と震える瞬間がある。漫画『ゾワワの神様』は、そんな「ゾワワ」な表現を作りたくて広告会社に入社した新人コピーライターの物語。さまざまな失敗や先輩クリエイターとのやりとりを経て、主人公は少しずつ成長していく——。

2021年にWeb連載を開始し、このほど単行本化された同作は、広告制作現場のリアルな描写も話題を呼びました。それもそのはず、作者

もっとみる
考えるより先に足が動いていた。元英語講師・長田恵理 | 私が学ぶ「私的」な理由

考えるより先に足が動いていた。元英語講師・長田恵理 | 私が学ぶ「私的」な理由

國學院大学人間開発学部の准教授・長田恵理さんは、もともと私設塾や小学校で子供たちに直接、英語を教えていました。それが現在では「英語をいかに教えるか」の理論を追究し、小学校の英語指導者を育成する立場へと身を転じています。

日本語、英語、イタリア語を操る自称「語学マニア」。趣味のK-POP好きが高じて、現在は韓国語を学習中だそう。常に言語に寄り添い、学び続けてきたように見えるそのキャリアはしかし、一

もっとみる
報道と幸せな職場は両立できるのか。元新聞記者・辻 和洋 | 私が学ぶ「私的」な理由

報道と幸せな職場は両立できるのか。元新聞記者・辻 和洋 | 私が学ぶ「私的」な理由

國學院大学経済学部の助教として組織の人材育成、マネジメントを研究する辻和洋さん。全学部の教員を対象に学生が選ぶ「ベストティーチング賞」を2度受賞するなど、指導に定評があり、NPO法人「Tansa」でジャーナリストの育成事業にも携っています。

もともとは新聞記者という異色の経歴を持ち、全国を揺るがす大きなスクープの実績も。そのまま志高く報道の道を歩むはずだった辻さんが5年で記者を辞め、再び学びの道

もっとみる
「ワカサギ釣りはメディテーション」。アウトドアがもたらす生活の新視点【國學院教授対談・後編】

「ワカサギ釣りはメディテーション」。アウトドアがもたらす生活の新視点【國學院教授対談・後編】

國學院教授陣が誇るアウトドア通の2人による、冬キャンプをめぐる対談。前編では、短大キャンパス内に設置したサウナテントで、冬キャンプの楽しさや、それを阻む要因について議論を交わしました。

お二人が共通して問題視するのは、体験機会の少なさや、ちょっとしたコツを教えてくれる身近な大人がいないこと。そこで後編では、「毎日がアウトドア」な田中一徳教授の案内で、実際に氷上のワカサギ釣りを体験してみることにし

もっとみる
必要なのは答えじゃなくて体験。自然の「わからなさ」が育む子供の感性【國學院教授対談・前編】

必要なのは答えじゃなくて体験。自然の「わからなさ」が育む子供の感性【國學院教授対談・前編】

世は空前のキャンプブーム。でも、冬キャンプに限ると盛り上がりはさほどでもない。その背景には「そもそも多くの人が冬キャンプの楽しさ、楽しみ方を知らない」ことが一因となっているのかもしれません。

國學院が誇る教授陣が、アカデミックにキャンプを考察する本連載。今回は、たまプラーザキャンパスで教鞭をとる青木康太朗准教授が海を渡り、國學院大學北海道短期大学部を訪問。

現地でアウトドアライフが日常化した田

もっとみる
心地よさの源泉は「単純作業」にあり?AI時代に際立つ瞑想空間としてのキャンプ

心地よさの源泉は「単純作業」にあり?AI時代に際立つ瞑想空間としてのキャンプ

広大な北海道キャンパス内にみずから野外教育のためのフィールドを切り開き、プライベートでも渓流釣りや山菜採り、キノコ狩り、バックカントリースキーなど一年を通して野山を歩く。國學院大學北海道短期大学部・田中一徳教授が「北海道の冒険王」と称されるゆえんです。

そんな田中教授に今回語ってもらうテーマは「野外活動における瞑想」について。

自然の中でさまざまなアクティビティに取り組んでいると、時間を忘れて

もっとみる
親元を離れてしか学べないことがある。いま伝えたい「組織キャンプ」の教育的価値

親元を離れてしか学べないことがある。いま伝えたい「組織キャンプ」の教育的価値

世は空前のキャンプブーム。ですが、私たちはまだキャンプの恩恵を十分に享受できていないのかもしれません。

昨今のブームの中心にあるのは、家族や友人などと、主に楽しむために行うキャンプ。一般的に「レジャーキャンプ」などと呼ばれるものです。

これに対して「組織キャンプ」と呼ばれるジャンルがあります。組織キャンプは、環境意識の啓発やスキルや知識の向上など、必ず楽しむこと以上の目的・ねらいをもって行われ

もっとみる
まちをおこさず、残す。キャンプから紐解く、脱成長時代の地域振興論

まちをおこさず、残す。キャンプから紐解く、脱成長時代の地域振興論

いま、日本に何度目かのアウトドアブーム、キャンプブームが訪れています。

このキャンプをアカデミックな視点から考え、発信しているのが、國學院大学のランタントークという試みです。國學院の教授陣が教育、歴史、考古学などそれぞれの専門分野から、縦横無尽にキャンプを語っています。

このnoteは、より広い方々に「キャンプ×アカデミア」のおもしろさに触れてもらうことを意図した、いわば出張版。ランタントーク

もっとみる
「人間が火を発明した」は本当か。人類史上の“改ざん”とその時失ったもの

「人間が火を発明した」は本当か。人類史上の“改ざん”とその時失ったもの

いま、日本に何度目かのアウトドアブーム、キャンプブームが訪れています。

このキャンプをアカデミックな視点から考え、発信しているのが、國學院大学のランタントークという試みです。國學院の教授陣が教育、歴史、考古学などそれぞれの専門分野から、縦横無尽にキャンプを語っています。

このnoteは、より広い方々に「キャンプ×アカデミア」のおもしろさに触れてもらうことを意図した、いわば出張版。ランタントーク

もっとみる