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Business Network Lab

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Sansan株式会社のオウンドメディア「BNL」で執筆した記事。サイト閉鎖に伴い随時転載しています
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これからの企業は「人間性」が問われる──松島倫明が語った世界の針路

これからの企業は「人間性」が問われる──松島倫明が語った世界の針路

Business Network Lab(BNL)が主催する「Eight Fireside Chat」は、各界の第一線で活躍するゲストを招き、これからのビジネスネットワークについて語るトークイベントだ。

BNLが行った前回のインタビューで松島は、60年代後半の高度資本主義社会に対するカウンターカルチャーに端を発した、「テクノロジーによって、人間が個として持っているパワーを十全に発揮できることこそ

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時代を切り取る次のビッグアイデアは、PUBLICな領域から生まれる──松島倫明の仕事術

時代を切り取る次のビッグアイデアは、PUBLICな領域から生まれる──松島倫明の仕事術

BNLのインタビューシリーズ「ビジネスネットワークのものさし」は、こんな問いを掲げてスタートした。

今回登場してもらうのは、NHK出版の編集者、松島倫明。

彼は書籍編集者として、主に海外からの翻訳書を手がけている。ベストセラーになったクリス・アンダーソンの『FREE』から『SHARE』、『PUBLIC』と続く共有経済について論じた3部作をはじめ、デジタル時代のパラダイムシフトとなるような印象的

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『進撃の巨人』の編集者と音楽史上No.1のプロデューサーに学ぶ、Think Differentのフレームワーク

『進撃の巨人』の編集者と音楽史上No.1のプロデューサーに学ぶ、Think Differentのフレームワーク

新進気鋭の若手研究者3人が「Think Differentとは何か?」をテーマに考察を重ねたセッション。レポート最終回となる今回は、法政大・永山晋のパートをお届けする。

前・中編で紹介した石川善樹、西田貴紀の話から、Think Differentするためには、①アップグレードの前にアップデートする必要があること、②アップデートする際には一人(または少人数)で考えるプロセスを踏む必要があること──

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「とりあえずブレスト」の前に。Think Differentは孤独を受け入れるところから

「とりあえずブレスト」の前に。Think Differentは孤独を受け入れるところから

昨日公開した前編に続き、「Sansan Innovation Project 2019」内のセッション「Think Differentとは何か?」のレポートをお届けする。

前編で石川善樹は、歴史上もっとも偉大な日本人である松尾芭蕉から抽出した「日本的Think Different」のフレームワークを、①まずアップデートし、②その後アップグレードする──という2段階のモデルとして表現した。

しか

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芭蕉に学べ。「日本的Think Different」の方法

芭蕉に学べ。「日本的Think Different」の方法

あらゆるビジネスはコモディティ化の道を進み、やがて激しい競争に巻き込まれる運命にある。ライバルと同じことを考えていてもそこからは抜け出せない。そこではいかに「人と違うことを考える」かが重要になる。

しかし、そのためには「人と違うことを考える」とはそもそもどういうことかを知っていなければならない。「Sansan Innovation Project 2019」内のセッション「Think Diffe

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どんな肩書きにも負けない。凡人だからこそできる、ストーリー型自己紹介

どんな肩書きにも負けない。凡人だからこそできる、ストーリー型自己紹介

前編に続いて「Sansan Innovation Project 2019」内のセッション「自己紹介のイノベーション」のレポートをお届けする。

一人目の登壇者である横石崇が扱ったのは、他人から「あなたは何をしているのか?」「あなたは何者か?」と問われて始まる自己紹介。このような質問に対してどう返せば、自らの人生の目的を自然な形で相手に伝えることができるかを考えた。

一方、二人目の福井康介が取り

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問われているのは役職ではなく存在理由。パーパスの時代における究極の自己紹介とは?

問われているのは役職ではなく存在理由。パーパスの時代における究極の自己紹介とは?

3月14日、15日に都内で開催されたカンファレンス「Sansan Innovation Project 2019」から今回は「自己紹介のイノベーション」と題されたセッションの内容を前後編でお届けする。

自己紹介になぜイノベーションが必要なのか。誰もが当たり前に行う自己紹介という行為だが、「実はそんなに簡単なものではない」と登壇者の一人・横石崇は言う。

そもそも人はなぜ自己紹介をするのか。古今東

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楽天大学学長・仲山進也に学ぶ、組織の境界にとらわれない「際者(キワモノ)」としての働き方

楽天大学学長・仲山進也に学ぶ、組織の境界にとらわれない「際者(キワモノ)」としての働き方

「名刺とはアイデアであり、名刺交換はアイデアの交換である」と、昨年取材した医学博士の石川善樹は言った。

名刺交換が発生するのは異なる組織と組織の間にある「際」であるから、新たなアイデアが欲しいと思ったら、組織の外へと赴き、際に立つ必要があるだろう。

楽天の正社員でありながら自身の会社も経営し、Jリーグの横浜F・マリノスともプロ契約している仲山進也は、際に立ち続けてきた人物である。出社の義務もな

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緑や花は仕事のパフォーマンスにどう影響するか? 世界からも注目を集める「森林浴」の大家、宮崎良文教授に訊く

緑や花は仕事のパフォーマンスにどう影響するか? 世界からも注目を集める「森林浴」の大家、宮崎良文教授に訊く

オフィスや住居には観葉植物があるし、街には街路樹や公園がある。都市の人工環境にもいたるところに「緑」はある。緑を見てなんとなく気持ちが落ち着くとか癒やされるといった感覚は、多くの人が共通して持つところではないだろうか。

けれどもこの「なんとなく」は、長い間「なんとなく」のまま放置されてきた。緑が人間にもたらすこうした効果を科学的に検証した研究がなかったのだ。それを世界で初めて行ったのが、千葉大学

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人は習慣なしでは生きられない━━極地建築家・村上祐資が「火星」で見つけた、暮らしに本当に必要なもの

人は習慣なしでは生きられない━━極地建築家・村上祐資が「火星」で見つけた、暮らしに本当に必要なもの

極地建築家・村上祐資は「暮らすとはどういうことか?」という問いを解きたい人である。南極観測隊やエベレスト登山隊、あるいは模擬火星生活実験の国際プロジェクトなどに参加し、いわゆる極地と呼ばれる環境で暮らしてみることを通じて、ぼくらの暮らしに「本当に必要なもの」を探し続けている。

村上の極地生活が始まったのは2008年。第50次日本南極地域観測隊に帯同し、約15カ月にわたってミッションスペシャリスト

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創業440年 京都の料亭「山ばな平八茶屋」がずっと変わらないと言われるのは、常に変わり続けてきたから

創業440年 京都の料亭「山ばな平八茶屋」がずっと変わらないと言われるのは、常に変わり続けてきたから

文化的であることは一般的に良いこととされるが、その価値は見えにくい。ビジネスパーソンが伝統文化に触れることにはどんな意味があるのか。教養を身につけることで商談がうまくいく? インバウンド需要を見込んだ事業のアイデアにつながる? 確かにそういう話もあるかもしれないが、文化に触れることにはもっと本質的な価値があるはずだ。

園部晋吾は400年以上続く京都の老舗料亭・山ばな平八茶屋の21代目当主。伝統あ

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音楽を聴くことで集中力は上がるのか? 「無意識」をハックする脳神経科学者・藤井直敬の企て

音楽を聴くことで集中力は上がるのか? 「無意識」をハックする脳神経科学者・藤井直敬の企て

突然だが、読者の方々は普段どんな時に音楽を聴いているだろうか。

朝、満員電車に揺られながら? 仕事に集中すべく外界の音を遮断する時? あるいは心地よい眠りにつくための"入眠剤"として? 目的やシチュエーションはさまざまでも、あらためて振り返ってみると、音楽を聴くためだけに時間をとるケースは実はあまりないことに気づく。多くの場合、ぼくらは「●●しながら」「●● × 音楽」という形で音楽を視聴してい

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いけばなは、最先端の経営学に通じる━━華道家・山崎繭加の仕事は、ビジネスと日本の叡智をつなぐこと

いけばなは、最先端の経営学に通じる━━華道家・山崎繭加の仕事は、ビジネスと日本の叡智をつなぐこと

華道家・山崎繭加が主宰するいけばなコミュニティ「IKERU」には、経営学や教育の専門家、ビジネスパーソンらが多く集う。生徒の3割は男性で、一番多いのは20代だという。

いけばなは戦後、女性のたしなみ、花嫁修行として広まった経緯があり、一般的ないけばな教室の生徒はほとんどが女性だ。また、多くのほかの伝統文化と同じく高齢化が進んでいる。そんななかにあってIKERUは極めて異色の存在といえるだろう。

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あなたの仕事に、愛と尊敬はありますか? 原野守弘が行き着いた、人の心を揺さぶる根本原理

あなたの仕事に、愛と尊敬はありますか? 原野守弘が行き着いた、人の心を揺さぶる根本原理

世界的な広告賞の常連である原野守弘は先日のBNLのインタビューで、「広告とは見る人の感性を信じて、愛と尊敬でつながるためにコミュニケーションすることである」と語った。

仕事をする上で「愛と尊敬が大切である」と言われれば、「それはその通りだ」と多くの人が答えるだろう。あるいは「その通りだ」と思いつつも「愛と尊敬」以外のもの、例えば数値目標の達成が優先される日々に、忸怩たる思いを抱いている人もいるか

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