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思考に休息を ―お散歩ふりかけ―

思考に休息を与えたことがあるだろうか。

生きている限り何をしていようとも思考は我々の身から離れることはなく、常に付きまとっている。
楽しくなるような、心躍るような前向きな考えだけで頭の中をを満たすことができれば苦労しないが、それはなかなかに困難なことだ。

次の仕事がうまくいかなかったらどうしよう。春からの新生活が不安で仕方がない。過去のあの失敗はどうすればよかったのだろうか......
考えれば考えるほど深く沈んでいく思考を止めるために、YouTubeなど簡単に消費できるコンテンツに埋もれていく。

一人部屋の中にいると、あまりにも自分と向き合うことになる。締め切った室内で私たちに情報を与えてくれるものは、電子機器を除けばほとんどない。

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しかし、ひとたび外へ足を踏み出せば、情報がそこかしこにあふれかえり、自分を世界のひとつの要素としてくれる。

足の裏に伝わる感触、風の音や太陽の光、どこかの家庭の夜ごはんの香りなど、外の情報量は部屋の中に比べとても多く、少し歩けばそれらは変化し続ける。
さらに「歩く」という動作は深い思考から我々をときはなってくれるように思う。

眠る前に暗い感情が顔をのぞかせるのはなぜだろう。私は思考以外にリソースを割いていないからではないかと思う。考えれば考えるほど、思考は海の底のように光の届かない場所へ沈んで行ってしまう。

その点、歩くという行為はいい。
2足の足を使って歩くためには、当然バランスを保たねばならないし、周囲の情報を取り込んで安全に進む必要がある。
適度に脳のリソースを分散させることができ、暗い海の底へと思考を落とすこともない。

歩いていたら突然ひらめいた、という経験をしたことがある人も多いのではないだろうか。アーティストなどアイデアを探している人たちからもときどき聞く話だ。
私は歩くことによって普段と違う思考パターンを得ているのではないかと考えている。

このように健康な身体だけでなく、健康な思考のために「歩く」という動作はとても有効だと考えている。そこで、我々は散歩はとても素敵なことだと考えている。
もちろん自由気ままに歩くことも素晴らしいことなのだが、せっかくなので少し遊び心を加えてみる。

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ダンゴムシの有名かつユニークな生態を知っているだろうか。
彼らはT字路で左右交互に曲がって進む習性がある(交替性転向反応というらしい)(詳しくは検索してほしい)。
我々もダンゴムシに倣って道を歩いてみようではないか!
提案する実際の手順は以下の通りだ。

①スタート地点でタイマーを15分にセットする
②歩き始め、交差点に遭遇するたびに左右交互に曲がる。
③15分経ったら今来た道を戻る

これでおおよそ30分の散歩になるだろう。左右交互に曲がってきているので、道にも迷いにくい。
行きと帰りで同じ道を通るが、見る方向が違うと全く違う景色に見えるのがこれまた面白い。
散歩の最中に写真を3枚撮る、などと決めて歩くこともおすすめだ。
写真を撮ろう、と思って景色を見るだけで、普段の景色も違って見えてくる。

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立ち止まって空を見上げながら考えてみたはいいものの、考えに考えているうちに顔が下を向き、座り込んでしまい再び歩き出せなくなってしまう。

座り込む前に、再び立ち上がるために、外へ一歩足を踏み出し歩いてみるのはいかがでしょうか。

text : paul
鳥と幾何学模様が好き。


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