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自己紹介|atriumについて

人々の行き交う混雑した場所では、その場で立ち止まってしまうと人とぶつかる。

お互いを華麗に避けながら、みなせかせかと歩いてゆく。そんなに急いでどこへゆくのだ、などと思いつつ、私も、同じように人混みを足早に潜り抜けてゆく。

自分の足音などは聞こえない。なんだか、自分の心まで足音のようにかき消されてしまいそうだ。
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ある美術館の展示に行った時、一部のエリアだけ天井が高い吹き抜けの空間だった。

そのエリアに足を踏み入れた人はみな、ふと立ち止まり、上を見上げていた。

音が頭上に分散されて、雑音が少ない静かな空間である一方で、自分の手に持ったパンフレットの紙の音、床を擦る靴の音などはよく響いて聞こえた。

吹き抜けの空間では、混雑した場所とは対照的に、自分自身の音だけがよく聞こえる。

立ち止まって、上を見上げると、自分の心の輪郭がはっきりした気がした。




世の中は、あまりにも忙しなく進んでゆく。スピーディーに仮説を立て、暫定の答えを出し続けなければならない。

しかし実際は、モノ・コト、そしてヒトは、想像よりもはるかに曖昧で複雑なものである。そのことを心に留めておかないと、知らない間に何かが四捨五入されてしまう気がする。とても大事なことなのに、世界の速度に慣れてしまって、ついつい忘れてしまう。

答えを急がずに、どこまでも考え続けることを肯定したい。自然と立ち止まって、上を見上げて、思考を巡らすことができるような、空の高い場所を作りたい。

そうして生まれたのが、小さなメディア「atrium」(アトリウム)です。

atriumとは、吹き抜け空間のこと。色々な情報が交錯しているけれど、あなたが少し手を伸ばした先も、実は、空の一部。自分だけの”atrium”を見上げてみませんか。

これから毎週金曜日の夜に、曖昧なことを曖昧なまま考えた軌跡を皆さんにお届けします。

ふと立ち止まるきっかけになれば幸いです。

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text:keina
コーヒーとフィルムカメラが好き。


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