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神様のカルテ

こんにちは!
とある後書き医大生です。

今日は、僕の一番の推し小説。

「神様のカルテ」

久しぶりにこちらを一気読みしましたので、感想等を述べたいと思います。
※今回は全てにおいてネタバレを含んでおりません。

作者紹介

神様のカルテの作者は、夏川草介さんです。
夏川草介さんは、大阪府の出身で、現在もなお、長野県で地域医療に従事していらっしゃる医師であります。
多忙を極める地域医療の最前線の医師と小説作家の両立をされているのが、夏川草介さんの凄いところであり、私が尊敬するところであります。
代表作としては、今回取り上げる「神様のカルテ」以外にも、先日感想を書きました「勿忘草の咲く町で」や、「本を守ろうとする猫の話」などがあります。

「神様のカルテ」シリーズ紹介

そんな素晴らしい作家、夏川草介さんの作品の数々ですが、やはり、一番の代表作と言っても過言ではないのが、「神様のカルテ」シリーズです。
「神様のカルテ」には以下のシリーズが存在します。
・神様のカルテ 0
・神様のカルテ
・神様のカルテ 2
・神様のカルテ 3
・神様のカルテ 最終章
おすすめの順番としては、「神様のカルテ」から読み、2巻まで読んだあたりで、0に戻るというものでしょう。その後、3→最終章が良いかと思います。

また、「神様のカルテ」は映画化もされました!
いつか見ようと思っていますが、なかなか小説から離れられません、、

全部を読んでの感想

何回も読んだ「神様のカルテ」ですが、何よりも思うことは、地域医療の困窮した現状です。
作中でも、主人公:栗原一止をはじめ、多くの医師が、何日も家に帰れない場面等があり、地域医療の抱える問題の深刻さを露わにしています。

何がそこまで地域医療を逼迫させるのか。
二つの側面が描かれていると思います。

一つ目は、医療の供給不足。
事実、医師の絶対数に加え、偏在も大きく、医師不足が謳われています。
また、地方病院には十分な資金がない上に、ほとんどが民間病院であるため、経営と現場が別となっている場合が多いです。
経営方針に、現場が追いついていないなんて現状も、この小説では多く見かけることになります。
単純に地方病院での、医療資源の不足が見受けられます。

二つ目は、医療の需要増大。
高齢者が増えていく地方では、その疾患の多さから、必然的に医療需要が増大していきます。
また、求められている医療の質も高いです。
作中では、「24時間365日診療」を謳われ、医師たちの深刻な労働環境が描かれています。

地域に求められている医療と、それを賄いきれない現場。
病院再建に必死な経営陣と、医療の維持に必死な現場。

それぞれの信念と価値観が交差する中で、地域医療を維持していかなければならない。どれも間違いではない。でも、どこかで折り合いをつける必要がある。

そんな複雑な地域医療の現状を、如実に書き著した小説だと思います。

他にも、私の一押しポイントとしては、助からない患者さんに何をしてあげられるか。ここを、主人公の栗原はじめ、様々な人が必死に考えるところです。

医療従事者にできるのは、医療だけ。
確かに、そうかもしれません。
ですが、本当に医療だけやってていいのでしょうか。
終末期の患者さんには、医療以外のケアが必要なのではないでしょうか。
例えば、最後に食べたかったものを食べさせてあげる。見たい景色を見せてあげる。患者さんが最後まで幸せに生きるために、医療従事者ができることは、医療以外のところにもたくさんあると思います。もちろん、プロフェッショナルとして、その判断はしなければなりませんが。

ただ、延命治療をすれば良いのか。
どうしたら患者さんが、少しでも最後まで幸せに生きられるのか。
患者さんの家族の思いはどうなのか。

こういったことに気を配って、医療を行っていくことが、今後の終末期医療だけでない医療全体に重要なのではないでしょうか。

この小説は、そう訴えているように見えます。

医師としてではなく、人間としての倫理観。
病気だけを診るのではなく、その人を診ること。

私自身も、大切にしていきたいと思います。

最後に

長くなりました。
「神様のカルテ」について、一部省略し、感想を述べさせていただきました。
皆さまも読んだら、色々考えさせられるでしょう。
色々考えてみてください。
私たちは、現場をあまりにも知らなすぎるのかもしれません。
現場を知り、私たちが考えることが、現状を変えていく一つの手だと思います。

春になり、花粉が舞う季節となってきました。
この機会に、お家にこもって、「神様のカルテ」を読んでみるのはいかがでしょうか。(二日に一回以上は外に出てくださいね)
僕は今回、1日で3冊読み、全てで涙を流してしまいました(涙腺ゲキ弱)

せっかくの春。読書の春にしてみてはいかがでしょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
またご覧いただくと幸いです。

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