<男性育休のススメ>先輩パパである上司から、育休の提案をしてくれました。
厚生労働省が発表した最新のデータ(※1)によると、女性の育児休業取得率は80.2%。それに対し、男性の育児休業取得率は17.13%。「2025年までに50%」と政府が掲げる目標には、まだおよぶ数字でありません。
一方、男性の育児休業取得率のヒューマングループ平均は、2023年3月末実績で、20.59%。ここ数年で取得率は伸長傾向にありますが、まだまだ男性社員の育児休業取得率は決して高くありません。男性も育休を取ることがあたりまえの社風とするために、私たち一人ひとりに何ができるのでしょう。 今回は育休を取得した男性社員にお話を伺いました。
——戸田さんは、前職でも育休を取られたそうですね。
はい、前職はIT関連企業に常駐してヘルプデスクを担当していました。2018年に結婚し、2020年の1月に第一子が誕生。ちょうどコロナが始まった頃に、1カ月の育休を取りました。感染が心配ですから両方の実家にも頼りづらく、マスクやトイレットペーパーも入手困難で、とても不安な状況でした。
2021年に、さらなる成長を求めて経理簿記を学び、ヒューマンホールディングスに転職。2023年4月に第二子が誕生し、今回は1カ月半の育休を取得しました。
——申請は、いつ行いましたか?
出産予定の報告は妊娠がわかってすぐ、上長に行いました。と言うのも、妻の体調が優れず入院することになったんです。私が長男を保育園に送り迎えする必要があり、入院期間はテレワークに移行していました。
そうしたことがあったので、安定期に入った頃に、上司から育休の提案をしていただきました。気遣ってもらえ、とてもありがたかったです。実は、出産と経理の忙しい時期が重なっていたので、育休を取りたいと言い出しづらかったんです。妻にも「今回はタイミング的に難しいかも」と話していました。そんなとき上司から声をかけてくれたので、大変うれしかったですね。
——仕事の引き継ぎは、どのように行いましたか?
引き継ぎリストと手順書を作成し、仕事の見える化の徹底を行いました。私の仕事内容は上司も理解しており、「もしもチームメンバーがわからなかったら自分がカバーする」と仰ってくれたので、それもありがたかったです。
上司は私より少し年上で、二人のお子さんを育てる先輩パパでもあります。チームメンバーは女性が3人。みんなが祝福し、サポートしてくれました。とても恵まれた環境だったと思います。
——休暇中、仕事のことは気になりましたか?
いいえ、メンバーを信頼して安心して休むことができました。休暇中の問合せもほぼなかったですね。あまりに音沙汰がないので、会社に戻ったら自分の居場所がなくなっているのではと心配になるほどでした。(笑)
——1回目と2回目の育休で、何か変化はありましたか?
1回目は初めての育児でしたから、やはり大変でした。沐浴をするにも、赤ちゃんの体は細くて頭もぐらぐら、ドキドキしながらやっていましたね。おむつ交換もなかなかうまくできずにいたのですが、妻は保育士という職業柄、とても手際がいい。「こうすればいいよ」とアドバイスもしてくれて心強かったです。
2回目の今回はさすがに慣れてきましたね。皿洗いや風呂掃除など家事全般、おむつ交換や沐浴など赤ちゃんのお世話など、前回の経験があるのでかなりできるようになりました。料理は得意ではないため、魚を焼くなど簡単なもの中心でした。
——2回目は、上のお子さんのお世話もありますね。
そうなんです。夫婦が赤ちゃんのことにかかりきりになると、長男がやきもちを焼いて赤ちゃん返りをしてしまうこともあるそうです。そのため長男を保育園へ送っていくときは、妻からのアドバイスでスーツに着替えていました。自分ひとりだけ保育園に預けられ、パパとママは赤ちゃんと過ごしている。そんなふうに息子に悟られないために、普段通り会社へ行くふりをして送り届けていました。
——いちばん大変だったことは?
今回は、赤ちゃんの寝かしつけでした。3時間おきのミルクのあと、なかなか寝てくれない。抱っこしてあやしているうちに、またミルクの時間がやって来て……。換気扇の音を聞くと安心するみたいで、ようやく寝てくれたと思って布団におろすと、また起きて泣き出す。そんなことの繰り返しでした。でも、そのぶん妻が休めるわけですからね。
——育休を取ってよかったことは?
やはり、出産後の妻の体を少しでも休められたことです。そして長男のときも感じたのですが、赤ちゃんはどんどん成長していくので、新生児の時期に触れあえたことはとても貴重な時間となりました。
——育休を終えて、いまどのような状況ですか?
職場に復帰するとき、実は少し不安でした。仕事の負担をかけたことも心苦しかったし、居場所があるのだろうかと。けれどみんなが、おかえりと温かく迎え入れてくれたので、スムーズに復帰できました。復帰後は、メンバーに引き継いだ仕事はそのままに、新しい仕事を任されることになりました。私の育休を機に、誰が欠けても仕事が回るようにしたいという上司の考えがあったようです。
一方、家庭では妻が赤ちゃんにかかりきりになってしまうので、長男の赤ちゃん返りが始まってしまいました。なるべく早く帰宅して、また土日は子ども二人を私が見るようにして、妻がひとりの時間を持てるようにしていきたいと考えています。
——これから育休を取ろうと考えている男性にアドバイスをください。
育休のベストな期間やタイミングは、家庭によって事情が異なります。どうか夫婦でよく話し合ってください。また誰もが休暇を取得しやすくするには、職場の理解が欠かせません。日頃から上司や同僚とコミュニケーションを重ね、何でも話せて、相談しやすい環境を作るようにしましょう。
※2023年6月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。
部署名等は取材時のものとなります。
1 出典:厚生労働省「令和4年度(2022年度)雇用均等基本調査」
<ヒューマンホールディングス株式会社・会社概要>
ヒューマングループは、教育事業を中核に、人材、介護、保育、美容、スポーツ、ITと多岐にわたる事業を展開しています。1985年の創業以来「為世為人(いせいいじん)」を経営理念に掲げ、教育を中心とする各事業を通じて、労働力不足、高齢化社会、待機児童問題など、時代とともに変化するさまざまな社会課題の解決に取り組み、独自のビジネスモデルを展開してきました。
人と社会に向き合い続けてきたヒューマングループは、いま世界全体で達成すべき目標として掲げられたSDGs(持続可能な開発目標)にも積極的に取り組んでいきます。SDGsへの貢献を通じて、「為世為人」の実現を加速させ、より良い社会づくりに貢献していきます。