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大病を機に介護業界へ転職して15年、優秀社員賞を受賞した所長の想い

 2022年度の優秀社員賞を受賞したヒューマンライフケア株式会社の岡田 誠一郎さんは、人の役に立つ仕事がしたいという想いで介護業界への転職を決意したといいます。かつては自分本位の考え方が多かったそうですが、いまは利用者さまの笑顔を見ることが仕事のやりがいだと語ってくれました。

ヒューマンライフケア 甲子園の湯デイサービス所長  岡田 誠一郎さん

——どうして介護業界で働こうと思ったのですか?

 前職では、飲食店を経営していました。35歳の時に、不摂生な生活がたたり脳出血で倒れたんです。8カ月間も入院し、110キロもあった体重は65キロまで減りました。その間に、医師や看護師をはじめとする多くの人のやさしさに触れたことがきっかけで、これからは人の役に立つ仕事をしたいと考えるようになりました。ハローワークに通って介護業界で働きたいと相談し、ヒューマンライフケアに入社したという経緯です。

——現在は、どのような仕事をされているのですか?

 日帰り介護施設「甲子園の湯デイサービス」の所長を務めています。主に、利用者さまのファイル作成や、保険書類の作成などを担当しています。他施設の所長は介護現場と事務を兼務していると思いますが、私は病気の後遺症で右手右足が不自由なため、利用者さまの介護ができません。そのぶん、介護士、ドライバー、調理担当など、約20名のスタッフをまとめる仕事に力を注いでいます。

——このたび、優秀社員賞を受賞されましたが、その要因は何だと思われますか?

 当施設の稼働率が評価されたのでしょうが、それは私一人の力で達成できたわけではありません。現場のスタッフ一人ひとりが力を合わせたおかげです。私はみんなの代表として賞を受け取っただけです。授賞式のスピーチでも、スタッフへの感謝を述べました。

表彰式でのスピーチの様子

——仕事において工夫されていることはありますか?

 常に心がけているのは、利用者さまに笑顔で帰宅してもらうことです。そのことをスタッフ一人ひとりが意識していれば、サービスの質も高まると考えています。どの会社の介護サービスを受けるかは利用者さまが決めることなので、私たちにできることは目の前の仕事に全力を尽くすだけです。

——スタッフをまとめるために行っていることはありますか?

 当施設には、いろいろな仕事を経験してきたスタッフが多くそろっています。誰しも、何かしらいいところを持っているので、そんな長所を伸ばすことが大事だと考えています。
 また、悩み事や心配事があれば気楽に相談してほしいと、いつも声をかけています。おかげで所長就任後、離職する人も減りました。スタッフの働きやすい環境をつくることが、利用者さまの笑顔につながると私は信じています。

——最近、仕事でうれしかったことを教えてください。

 何かな……、うれしいことがちょくちょくあるので(笑)。40〜50代のスタッフが多い中、最近20代のスタッフを採用したことでしょうか。面接の際、介護経験のない若者にこの仕事は難しいのではないかという声もあったんですが、「おじいちゃん、おばあちゃんと触れあうのが好き」と本人が言うので採用に踏み切りました。そうした気持ちは、この仕事をする人にとって大切なことだからです。
 若い人が加わったことで施設の雰囲気が明るくなり、利用者さまからも孫のようだと評判がいい。入社半年で介護の資格も取得し、がんばって働いてくれています。

——大変なことはありますか?

 やはりコロナが感染拡大した初期は大変でしたね。施設を閉めた期間もありましたが、利用者さまのために可能な限り早く再開したいと考えていました。いったん減った利用者さまも再開して3カ月くらいで元に戻り、現在は以前と同じようにできています。
 ここの利用者さまは、甲子園の湯を自分の居場所、あるいは第二の家のように思ってくれているんですね。それがとてもありがたい。私にとっても利用者さまは家族のような存在です。

——岡田さんご自身の、お仕事のやりがいを教えてください。

 飲食業から転職して15年、所長に就任して2年が経ちました。前職までは5年くらいで転職を繰り返していたので、こんなに続くとは自分でも驚きです。続けてこられたのは、介護業界で働くのが好きだからですね。
 かつての私は自分本位の考えしかできず、どうすれば儲かるかとか、そんなことばかり気にして仕事をしていました。いまはそんなことは一切考えません。目指しているのは、とにかく利用者さまを笑顔にすることだけ。それが叶うことが、私にとっての仕事のやりがいです。

——今後の目標を教えてください。

 デイサービスには宿泊がなく、利用者さまはその日のうちにご自宅へ帰られます。ご自宅には、日々の介護をしているご家族がいらっしゃいます。そうしたご家族からも、ありがとうと感謝されることがあるんですね。
 ときには大変なこともありますが、この仕事にはそんなふうに自分たちのがんばりが報われることもたくさんある。だから私はずっとこの業界で働いていくつもりです。そして、これまで以上に「ヒューマンライフケア甲子園の湯」を、地域の皆さんに愛される場所としていきたいですね。


<プロフィール>
1966年生まれ、大阪府出身。飲食店経営などを経て、2008年にヒューマンライフケア入社。日帰りで通う利用者に、入浴・食事・機能訓練・レクリエーションなどの介護サービスを提供する「甲子園の湯デイサービス」に勤務。2021年より現職。


<ヒューマンライフケア株式会社・会社概要>
ヒューマンライフケアは介護保険法施行前の1999年より介護事業を展開、現在では全国でデイサービスやグループホームなど各種介護事業所を展開しています。


※2023年4月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。
 肩書き・役職等は取材時のものとなります。