Kathy

絵を描く人。 昔から作っていた創作ファンタジーを始め、分野ごった煮の文章を書く。 民俗…

Kathy

絵を描く人。 昔から作っていた創作ファンタジーを始め、分野ごった煮の文章を書く。 民俗学勉強中。 たまに山梨のこと。

最近の記事

山梨山小屋逗留日記 最終日

【五日目最終日】  朝七時起床。 ハムエッグ、ウインナーとピーマンの炒め物、レタスに白飯。今日もモリモリ食べる。  最終日である。家族はギリギリまで営繕作業を進めてから帰りたいということで、夕方帰路に着くことにし、その間に私はお土産の買い物をして回ることになった。  まずは山中湖方面に車を飛ばし、スーパーオギノへ向かう。オギノはきっかり10時開店なのだが、駐車場に着いた時間はちょうど開店10分前だった。実はここのところ目のかゆみと鼻水が滝のようにあふれ出ていた。アレルギー科で

    • 山梨山小屋逗留日記(四日目)

       朝七時起床。今日あたりから残り物食材を消費する朝ごはんになっている。  今日の予定は忍野八海が一番の目的で、そのあとはお土産を今日明日で買い終えること。  家族がプリントアウトしていた紙がずっとテーブルにあり、作業中や食事中も目には入っていた。聞いてみたところ、近隣の道の駅には温浴施設が併設されているところがあるのだが、その近くに住民票を置いている人たちだけが入浴権を持つ別の温浴施設があるらしい。 本来は住民だけだが、私たちがいる別荘地を利用している人間は管理事務所で許可証

      • 山梨山小屋逗留日記 三日目

         昨日より20分ほど遅く起床。家族はすでに屋外で作業している。私が起きたと気づいてクリームシチューの残りを温めて朝食。  日曜日なので今日までどこも混雑しているだろうということで、空いているところを適当に周ることを伝えると、灯油を買い足すおつかいと、夕食は各自なので自分が食べたいものを買ってくるようにとのお達しがあったので、車のトランクに灯油タンクを積み込みも忘れない。  起床時間の遅れを素早い化粧で取り戻し、九時過ぎには出発し、本日最初の目的地である地元ではヤマノカミサマと

        • 山梨山小屋逗留日記(二日目)

          【二日目】 翌朝、キッチンからの調理音に起こされ、起床。 病気や服薬の影響で昼夜逆転、不眠症、過眠症を何クールか繰り返した末、朝七時頃に起床できるようになったのは最近である。 一階に降りると家族が朝食を作ってくれていた。私は料理こそ出来るが取り合わせと見栄えの才能がないのでここにおいて料理は家族におんぶにだっこである。 朝食はスクランブルエッグ、ウインナー、スライスハム、レタス、トースト、自宅から持ってきた苺、瓶牛乳、コーヒー。 もしゃもしゃ食べる。 完食してシャワ

        山梨山小屋逗留日記 最終日

          山梨山小屋逗留日記 一日目

          【はじめに】  山梨県某所に別荘こと山小屋がある。 私が8歳の時に完成し、関係者一同で宿泊し集合写真を撮った記憶がある。 それからも夏休みに親戚家族と一緒にお泊りをして遊園地に行ったりもしたが、高校生を最後に足を運んでいない思い出の場所。  そんな私は数年前まで長らく社畜人生を送っていた。盆暮れ正月も土日もない生活に加え、直前までいつ休みが取れるかもわからない、勤労感謝の日は勤労できることに感謝する日だと言いながら仕事をしていた。『旅行』をするという概念を無理やりどこかに置い

          山梨山小屋逗留日記 一日目

          『Acropolis』読み切り短編小説

           アクロポリスの亡霊は、空軍特殊戦略科航空戦闘団のパイロット達の間でまことしやかに囁かれる都市伝説の一つだ。亡霊とは言え、彼らにとってはラッキーチャームのような存在で、姿を見た者は、その日の任務を必ず成功させて帰還すると言われている。  地上が海の底に沈んで久しい今日、人工的な建造物の建設は環境保全を謳う法律で厳しく統制されている。地上だった場所を覆う広大な海原に転々とそびえるアクロポリスは、小高い丘の意味通り海面から突きだし、海風で梳られて本来の形が判然としない岩の塊のよう

          『Acropolis』読み切り短編小説

          Acropolis 登場人物・設定

          [はじまり]  その世界は、海と空によって構成されている。 遠い昔、発達した文明を持った人間は、数々の蛮行の結果に全てを失った。  原子の矢が地上に降り注ぎ、津波が何もかもを飲み込んでいく、人々が暮らした形跡も、そして人までも、完全なる海の底に沈んでいった。  文明の崩壊の後、生き残ったわずかな人類は、新しい住処を開拓し、文明を築き始めた。海上を埋立て、新たな街を造り、生活が営まれる。それは崩壊以前と何も変わらないように見えるものの、原子の火に魅入られた人間は、再び同

          Acropolis 登場人物・設定

          『遊行草子・彼岸鬼』天身供儀

          牛車の車輪がうっすら湿った泥土を跳ね上げる。その度に水気を含んだ音が幌を汚した。戦禍がありのまま残存する土地は、市が軒を連ね、賑わいを見せていた頃が嘘のように静まりかえり、どこもかしこも黒く染まりきっていた。宵に差し迫った夕空の方がまだわずかに明るさを保っていると言えるほどの地を這う闇は、稜線との区切りを明確に映し出し、あまり多くの言葉を持たない子供心にもなにか感じ入らせるものがあった。 「冬太、遊んでないで少しは手伝ったらどうだい」  悪路で縦揺れの激しい牛車の中、蹄とぶ

          『遊行草子・彼岸鬼』天身供儀

          『天身供儀』登場人物・設定

          【登場人物】 津狩 槐(ツガル エンジュ)     産まれて間もなく山に捨てられ、栖軽と呼ばれる男達に育てられたとされる隻眼の赤子。童女になる頃、記憶を欠損した状態で孤児として、天籍を持つ武将・津狩時房の養女となる。武芸に優れ、隻眼でなおかつ女というハンデを負いながらも天帝領を守護する御陵眷属部隊の下部組織『天音』に選ばれる。 幼名は槐花(カイカ) 存在が明らかでない幻の民に育てられた稀有な経歴に、眼帯に本来どちらかしか持つことが出来ない干将・莫邪の二刀を扱う為、一見物々し

          『天身供儀』登場人物・設定