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ウルトラマン モーションキャプチャラボを制作しました - 自由視点と体験設計について -

XR業界のバズワード、”メタバース”。
メタバース=Metaverseとは”meta=超越する”と”universe = 宇宙”を組み合わせた言葉です。
現実世界に自分の体がありながら仮想空間でも行動できる、その仮想空間やサービスのことを指します。

さまざまなメタバースが増えていますが、その魅力の一つに現実世界で味わえないようなバーチャルな世界を体感できること、そして自由視点で動き回れることがありますね!

今回アタリでは、メタバースでウルトラマンを楽しめるコンテンツを作りました。

本コンテンツは「DOOR」で行われたバーチャル展示docomo Open House ‘22 にて公開されました。


イベント期間 2022.01.17-19
※一部コンテンツを除くアーカイブ展示が3月末まで公開予定

このバーチャル展示会の注目コンテンツとして「ウルトラマン リアルタイムモーションキャプチャーラボ」を制作しています。このコンテンツは「VIRTUAL TOKYO」「リアルタイムモーションキャプチャラボ」の2つのブースに分かれています。

「VIRTUAL TOKYO」
バーチャルヒーローとウルトラマンVSゼットンの大迫力の戦いを
自由視点で体験できる展示ブース
「リアルタイムモーションキャプチャラボ」
ヒーローや怪獣たちの展示や、技術解説、
イベント期間中、怪獣たちのライブデモを実施した展示ブース

そのほかにも、docomo Open House'22におけるイベント全体のバーチャル空間の制作や一部のブースを制作しています。

「VIRTUAL TOKYO」 について

「VIRTUAL TOKYO」を制作するのに、とくにこだわったポイントが4つあります。

街の空間づくり
「VIRTUALTOKYO」
は、東京っぽさを持ちつつもバーチャルな世界らしさにこだわっています。
少し先の未来のようなサイバー的現実にはあまりないような建築物でありつつも、ウルトラマンの世界観を大事にしています。

道路の形状など演出上で少し変わったりしていますが、このコンセプトアートを中心にモデリングしました。

画像1
「VIRTUAL TOKYO」コンセプトアート
黄色い人間は参加者の背の高さを表す

キャラクターのアニメーションにはdocomoXRスタジオによるVICONを使用したモーションキャプチャシステムを使っています。

今回は事前に空間モデルを配置して撮影をするバーチャルスタジオの撮影手法を使いませんでした。その理由としてキャラクターたちのアクションを優先したかったからです。
収録時点ではそれぞれのビルのモデルパーツは移動可能なものとしながら、アクションの撮影後にこの空間を調整できるようにしています
このイテレーティブな空間設計によりダイナミックなアクションに合わせた空間を作ることができました。

■自由視点を活かす体験設計
ウルトラマンとゼットンの身長はコンセプトアートからもわかるとおり、全長約40mほどあります。とても大きいですよね!
この巨大なキャラクターを人間の視点で見ると、下記画像右のようにかなりの迫力があります。
しかしどうしても首をぐっと上にした見上げる体験が続いていると、全体像が見えなかったり、首も疲れてしまったりというデメリットもあります。
そしてせっかくのメタバース、足元だけじゃなくさまざまな視点に自由に移動して楽しんでいただきたいです。

上から全体がみえる視点(左)  |  足元から迫力ある視点(右)


そのため、最初にまず案内人としてロボットキャラクターが登場し、自然とスロープを登る演出を設計しました。
スロープ上では画像の左のように、見やすい距離と高さで視聴できます。
大迫力の足元からの視点も、全体像が見やすい少し高い視点も、どちらも自由に移動して見れる体験の幅広さは、メタバース空間ならではの楽しみ方です!

VFXへのこだわり
今回はゼットンとウルトラマン、そしてバーチャルヒーローの戦いです。
ゼットンとウルトラマンの戦いといえば、なんといっても初代ウルトラマンの最終回。
ウルトラマンシリーズのさまざまな世代の中でも今回は初代最終回の戦いを基調として、この「VIRTUAL TOKYO」に馴染むスタイルを監修元の円谷プロダクションさまと仕上げていきました。

すべてのデバイスで音を合わせる
このdocomo Open House’22はQuest 2, Android, iOS, PCでのマルチプラットフォーム体験が可能です。
それらすべてのデバイスで同じ体験を求める時に大切なことの一つが音のタイミング
アクションのあるコンテンツでは、音のタイミングがズレることはかなり目立つため、必ず合わせる必要があります。
技術的には様々な手法がありますが、今回は各デバイスごとにタイミングを変えたり音の鳴る設計自体を変更したりしています。
地道な検証の末、最終的にほぼすべてのデバイスで音がピッタリ合った時は感動してしました。

リアルタイムモーションキャプチャラボについて

「リアルタイムモーションキャプチャラボ」では、ウルトラセブンやレッドキングなどの「VIRTUAL TOKYO」に出てこないキャラクターたちも展示していました。
とくにリアルタイムモーションキャプチャのデモにおいては、CGモデルもモーションキャプチャに合うように様々な調整を施しています。
例えばウルトラマンベリアル猫背のような背骨の骨格をしています。
本来の静止用の3Dモデルそのままでモーションキャプチャをすると、アクターの姿勢が反映されたときに猫背がさらに猫背になってしまうという不具合を起こします。
そこで骨格や形状をモーションキャプチャ用に調整してきれいに見えるようにしました。バルタン星人の手もまた特殊形状なので、実は細部を調整しています。

リアルタイムモーションキャプチャライブの様子
(左からベリアル・バーチャルヒーロー・バルタン星人)

バーチャルイベント空間の設計について

今回Space&UXDesignとしてsabakichiさんにデザインいただきました。
自然と見上げて広さを感じられるように天井を開けた空間設計など、VRの設計ならではのこだわりが細部にデザインされています。

自然を天井を見上げる・リラックスできる空間の設計

展示会場はとても広いため、空間を歩いていて飽きないような配慮、迷子になりにくい配慮などにこだわって作られています。
ビジネス展示会でありながらも、角をなるべく排除することで柔らかな空間表現にしていて、リラックスして展示会を楽しむことができます。

まとめ

今回はビジネス展示会として、マルチデバイスへの対応要件がありました。
対応デバイスが増えれば増えるほど、リッチなコンテンツを創ることは難しくなります。そこをテクニカルな最適化だけでなく、体験設計や空間設計にこだわることで、どんなデバイスでも体験価値が高いものにしました。

アタリではグラフィックや企画にこだわるのはもちろんのこと、マルチデバイスでもコンテンツ体験や空間の設計、演出にこだわった制作ができます。

Facebookが社名をMetaに変更したことをきっかけに、メタバースのブームがどんどん加速しています。
仮想空間でのさまざまなコンテンツの需要も高まっているかと思いますので、ぜひお気軽にアタリへご相談ください!