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フジロック及び波物語についての一考察

フジロックに対し、国から1億5千万円支払われたとニュースで報じていましたが、そのことについて内容を整理し、また波物語というお話にならないフェスについて書いていきたいと思います。

フジロックについて

フジロックは1997年から開催されている国内最大級の野外ロックフェスで、毎年8月下旬に新潟県湯沢町の苗場スキー場で開催されています。今年はコロナ禍の中で、 8月20日から22日にかけて有観客で実施されました。
今年の公演の中で、複数のアーティストが政府を批判していましたが、政府からフジロックが補助金をもらっていたことがわかり、賛否について議論が起きています。

補助金について

フジロックが申請した補助金は「コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金」というものです。
この補助金は国内外の新型コロナウイルス感染拡大により日本初のコンテンツの海外展開
のプロモーション機会が失われていることを受け、 音楽、 演劇等の国内における講演および当該公演を収録した動画の全部または一部の海外向けのデジタル配信の実施によって日本発のコンテンツのプロモーションを行う事業に係る経費について、その費用負担を軽減するため、当該事業を主体となって実施する企業団体に必要経費の一部(半額 上限5000万円)を補助し、日本発のコンテンツの海外展開を促進し、日本ブーム創出を通じた関連産業の海外展開の拡大及び訪日外国人等の促進につなげることを目的にしています。 この補助金の対象範囲は出演料、舞台スタッフ費、交通費や保険料の多岐にわたって対象となっています。
簡単に言うと、新型コロナの影響で、日本の魅力を発信できていないでいるので、 何らかの形で海外に魅力カを発信してくれる事業には補助金をつけるよ、 というもの。
まあ、これは建前で、実際はとりあえず海外に発信すれば、補助金をつけるよという、 いわばバラマキのようなものだと私は考えています。 まあ、そこは置いておきます。
この補助金を受け取るにはコンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金交付規定に従う必要があります。 この規定の第28条に、「新型コロナウイルス感染症対策の基本対処処方針」等の政府若しくは地方公共団体等またはこれらの関係機関の方針その他新型コロナウイルス感染症への対策に関する重要事項に反する事業を行わないことについて補助金申
請時契約することになっています。
つまり、新型コロナウイルス感染症対策の基本対処方針にのっとり事業を実施してくださいねということです。 逆に言うと、従わない場合は補助対象としませんよということです。

新型コロナウイルス感染症対策の基本対処方針

新型コロナウイルス感染症対策の基本処方針とはなんぞやということになりますが、これは国民の生命を新型コロナウイルスから守るため、感染者数を抑えること及び医療体制や社会機能を維持するために必要なことを方針として定めたものです。つまり、 経済活動しながらも感染拡大させないためにやらなきゃならないことをまとめたものだと思ってくださ
い。手洗いやマスク着用についての必要性を説いています。
この基本対処方針の中にイベントを開催する場合は、「業種別ガイドライン」の遂守を徹底することや、三密を回避するための方策を徹底するよう主催者に求めることとなっています。

業種別ガイドライン

では「業種別ガイドライン」って何ってことになりますが、先ほど述べた基本対処方針の中で各関係団体は業種や施設の種類毎にガイドラインを作成するなど、自主的な感染予防のための取組を進めることとされています。 その中で音楽コンサートにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインというものがあり、特に三つの密のある場所は感染を拡大させるリスクが高いとして、これを避けることで感染させないように徹底することを旨としています。

本題

さてここからが本題、フジロックが補助金を受け取るためにはコンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金交付規定にしたがわなくてはなりません。規定には新型コロナウイルス感染症対策の基本対処方針にのっとる必要がある旨が書いてあり、その方針の中で業種別ガイドラインを遵守することが求められています。
そしてそのガイドラインには三密を避けることが求められているわけで、最低1m以上のソーシャルディスタンスを保ちなさいと書いてあるわけです。
しかし今回のフジロックでは一部の会場の最前列付近で隣との距離1m未満の密が発生していました。また飲酒抑止もできていないところもありました。つまり、補助金の申請の契約を遵守できていないことにあるわけです。 ただ、 ここには反論の余地もあって、運営側は
あくまで感染対策に逆行するような事業を行わないことについて契約をさせられているわけで、例えば、マスクを外すよう促すとか、モッシュするように客をあおるとかそういう行為を行わないように契約していると解することもできます。 ただ、 実際問題として、開催したことで不特定多数のひとが会場に押し寄せ、密ができていたことも事実なわけです。
そんななかでフジロックの一件がかすむようなことが起きました。 それが愛知県常滑市で実施された波物語という音楽フェスです。 このフェスではソーシャルディスタンスは守られず、マスクをしていない観客がいることが指摘されていますし、会場内で酒類の販売も行っていたことが報道されています。 このフェスについては、 感染予防対策をしっかりとることがアナウンスされており、マスクの着用、 アルコール類の持ち込み禁止、検温の実施もしていたようです。しかし、 実際は、 ガイドラインは守られていなかったようで、常滑市長が公式に「国や県のガイドラインを遵守することを勧告していたが、 まったく守られていない悪質なイベントだった。」 とコメントを出しています。
そもそも守る気があったのかどうかははっきり言ってわかりませんし、あとで、守る気はあったけど客が言うこと聞かず…、とか何とでもいえると思っています。問題は、きちんと感染症対策がとれていたかどうかだと私は思っております。
そう考えるとフジロックは適切に感染症予防対策がとれていたといえるか。ガイドラインを遵守していたといえるのか。守ろうとしていたところは垣間見えますよ。しかし、ソーシャルディスタンスが保たれていなかったことは明らかなわけですよ。 物理的にソーシャルディスタンスを保てるような方策をしなかったわけです (というかできなかった)。私はフジロックがガイドラインを遵守していたとはいえないと思っています。
感染症対策は取ります。ソーシャルディスタンスを保つようアナウンスもしました。しかし、観客がいうこと聞かず、密ができてしまいました。
という言い訳がフジロックにも波物語にもできちゃうわけです。
まあ、波物語は5000人以下の観客にするという愛知県の要請を無視しているし酒類を販売しているという点でアウトですけど。
つまり何が言いたいかというと、有観客でかつ、フェスのような座席の指定されていないような場合は感染予防対策には限界があって、ソーシャルディスタンスをたもつことが非常に困難なわけです。その状況で、ガイドランを遵守してソーシャルディスタンスは保ちますので補助金ください。といって補助金もらって、 結果ソーシャルディスタンスは保てませんでしたってなったときに、補助金を取り消さ無いと意味がないと思うんですよ。一応規程の18条第1項には取り消しの基準も書いてありますし。
ある意味、ヤルヤル詐欺みたいなものでやったもん勝ちみたいなところがあるのではないかと。それで1億5千万円の税金が投入されるっていかがなものかと思うのです。
しっかりガイドラインに沿ってソーシャルディスタンスが保たれているなら問題ないのですよ。さらに言ったら税金から補助が出てなければそれも問題ない。 しかしガイドラインどおりのソーシャルディスタンスが保たれていないのに税金から補助金を受け取ったことは果たして問題ではないのか。逆に言ったら、ソーシャルディスタンス保たなくても補助金もらえるってことになりかねないわけで、感染拡大させたイベントに対しても補助を出すみたいなカオスな状況にもなりかねないんですよね。そういう点からも、紙面上の対策だけではなく、実際のイベントでの対応をみて補助の取り消しができるような仕組みが求められていくんだと思います。 そうでないと、補助金そのもののあり方に対して疑問が出てくるし、まじめに対策しているところに対して風当たりが強くなり、 補助の廃止ってところまでつながってしまいます。それゆえに厳格に対処してほしいなと思った次第でございます。経産省は問題ないと言っているみたいですけど、おそらくこんな細かいところまでみんな見てないでしょうし、重箱の隅つつけばほこりは出るとは思いますけど、誰もそんなことしない
でしょうしね。

波物語について

波物語は officekeef 株式会社(代表鄭基換)が2005年から運営する日本最大級の hip-hop、 R&Bビーチ野外フェスです。 今回のイベントでは般若、ak69 紙達麻、zeebra、badhonなど人気アーティストも多数参加していました。 この波物語では、 酒類の提供、 マスクの未着用、大声禁止を無視するなど感染が拡大しかねない行動が目立ちました。さらに5000人以下の収容人数にしなくてはならないところを1万人で実施たことでかなりの密が発生していました。

まとめ

一人一人が感染対策を行っている中で、このようなことが起きたのは非常に残念です。愛知県が所有する愛知県国際展示場であったため、愛知県知事が主催者に抗議しています。誰が見ても悪質なので、世間から批判が出ています。そして、この波物語にも「コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金」の交付決定していることがわかりました。
先にも述べたとおり、ガイドラインに沿っていないことはあきらかで、会場のキャパの問題、そして酒類販売していたことは、あきらかにルールを守る気がなかったとされて、おそらくは補助金を取り消されるでしょう。規程の第18条第1項の、(3)間接補助事業者が、間接補助事業に関して、不正、怠慢、その他不適当な行為をした場合に該当すると推測されるからです。
一方フジロックは悪質ではないと思いますが、しっかり感染対策をとっていたか微妙なところがあり、そこに税金が使われているので、我々一般人が批判する理由はあるかなという所感です。フジロックの場合は若干ソーシャルディスタンスが取れてなかった部分はあるが、それ以外はガイドライン通りだから軽微のルール違反として目をつぶってる感じでしょう。まぁソーシャルディスタンスが保ててなかったとして、怠慢とまではいえないってところかな。
ポイントはソーシャルディスタンス云々ではなく、運営側の意図した明らかなルール違反という点での補助取り消しにするんだろうと思います。そうであれば、フジロックと波物語を区別できますから。
以上長々書きましたが、私はロックや hip-hop· R&Bは好きですし、音楽フェスも感染対策をとったうえで実施すべきだと思っております。しかし、今回の2つのフェスはそれが十分に取れていたとは言い難く、それにより音楽業界に向かい風になりかねないわけで、それによってほかの音楽イベントが対策しても実施できないことにもなりかねないと思います。
この記事が皆さんのなにかしらの参考になれば幸いです。

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