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お仕事お疲れ様です。

お仕事お疲れ様です。

連休に挟まれた1週間が終わり、
明日から通勤・通学が始まることに
複雑な気持ちになっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
(カレンダーは関係なく働かれていた方もいるでしょうか。
 ありがとうございます。お疲れ様です。)

私には、何か追い込まれた時に
いつも支えてくれる言葉があります。

大学生の頃、従業員20人ほどのとある会社で事務職のアルバイトをしていました。

配管材を取り扱う手堅い会社で、本当は学生のバイトなんか雇っていなかったけれど、
父の知人の紹介で何故か雇ってもらうことになった経緯がありました。
そして、全くキラキラした雰囲気でもなければ、学校の授業と結びついているわけでもなかったけれど、
少し時給がいいということで入ることにした私。

仕事とは何なのか知りもせずただただ言われるがままに作業をこなすシフト勤務。

アルバイトの学生ができる作業はたかが知れていて、
当時の専務の補助で納品書をお客様の名前毎に振り分け、商品と一緒に段ボールに入れる単純作業でした。

主体性のかけらもなかった私は
「〇〇関西」とか、「関西〇〇」、のように
似た名前の会社があることに全く気を止めず
とにかく言われたまま進めました。

数日後、

「おっくー、こないだの納品書まちがえてたよ。
 危うく取引停止になるとこだった。」

「え」

「同じ業界の、ライバル関係になるような別の会社の納品書なんか入ってたら
 取引関係がバレて普通に取引なんか停止になっちゃうから。
 今回は、役職が上の人に見つかる前に仲のいい人が先に連絡してきてくれたから良かったけど危なかった。
 俺もおっくーに頼む仕事気を付けるわ〜。」

そんなの聞いてない、じゃ済まないレベルのことが一瞬で起きてしまうのだと理解。

簡単な作業=重要じゃない、ではない。

学生ながら初めて大人の「仕事」の世界の厳しさと容赦のなさに触れ
とても怖くなりました。

凍りついた私の表情を察してくれたのか、
専務は続けます。

「大丈夫やから。お金で解決できるうちはミスじゃないから。

 本当にやばいのは、お金で買い戻せないものやから。」


その言葉が、当時の私にどれほど安心感を与えたでしょうか。

就活、仕事、その他もろもろ、あらゆるタイミングで振り返ることになりました。

そして今も、何か追い込まれるたびに専務の言葉を思い出します。
ちょっとした覚悟を決める時、「腹をくくる」ための呪文みたいに。


「正直、お金やったらな、俺がいくらでも営業して持ってきたらええんやし

おっくーに頼んでる仕事の中で取り返しのつかないレベルのことなんてないから大丈夫よ。

でもな、今までお付き合いのある会社さんやと、新規開拓した人の努力とか、それまで担当を繋いできた人の気持ちとか、色んなものがあるから、そういうことが白紙に戻るようなことは、なるべくない方がいいかな笑。」


社会に出てから、その「お金」を稼ぐことも簡単ではないことを痛感し
さらにその言葉の意味の深さと専務の超えてきたものの大きさを知ることになりました。

あなたにとって、
「お金で解決できること」と
「お金で買い戻せないもの」はなんでしょうか。

きっとそこに、
複雑な気持ちになりながらも毎日働いて、
嫌なことがあっても頑張って、
少し面倒でもあと一手間を加えようと思える「何か」が隠されているとお察しします。

何も知らなかった私にとって
社会の厳しさと、その中にあって持つべき軸みたいなものを教えてくれた当時の専務は、とてもカッコ良い大人でした。

いつもお忙しそうだから、ということにして
かなり疎遠になってしまっているのを猛省しつつ
今は社長になったあの日の専務に問いかけます。

私もあと数年で、出会った頃のあなたと同じ年です。
でも、背負える責任の大きさも、考えていることも、
まだまだ敵いそうにありません。

そして、私がいる業界は
配管材や営業成績のような目に見える評価軸の世界ではなくて
手応えのないことばかりです。


1人で生きていくにはあまりにも不確かで不安になりもします。


だからこそ、あなたのくれた言葉に支えられて生きています。


私にとっては全部、お金で買い戻せないものだから。


連休が明ける。
ちょっとピリピリした、冷たい世の中かも知れませんが、
それは皆がそれぞれの理想のために動いているからで。
真剣勝負。

各々が挑むピッチなのかも知れませんし、
はたまたバッターボックス、マウンドなのかも知れない。

そう思うと怖いし疲れるけれど
私の目にはカッコ良い大人に映ったあの日の専務の姿と
今の自分を重ねて思います。


「働くのも、悪くないな。」


皆さん、お仕事お疲れ様です。

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