「1日3分でうつをやめる。」書籍紹介
今日は書籍のご紹介です。
今日の対象者はこんな人です。
著者はうつ専門メンタルコーチの川本義巳(かわもと・よしみ先生)。先生自身も、うつ病と診断されて1年2ヵ月も休職。抗うつ剤を飲みながら騙しだまし復職をするのですが、根本的に良くなっているという感覚はなく、6年間再発を繰り返すという生活を送っていました。
しかし先生はこう宣言をします。
自分自身がうつと闘ってきた川本先生の話だからこそ、力強く感じますね。
そんな先生が一体どうやってうつをやめることができたのか。この動画では川本先生が開発したメンタル・リセット・プログラムをご紹介いたします。
メンタル・リセット・プログラムは、過去のトラウマにアプローチすることなく行うので、悪化する心配がありません。特別な器具や、特殊な場所を準備する必要はありません。1日3分で行うことができ、即効性があります。
つまり、無料でできて効果が早いと。最高ですね。
この記事は6640文字あります。
非常に長いので、長文が疲れる方は、ぜひ動画でお楽しみくださいませ。
メンタル・リセット・プログラムとは
メンタル・リセット・プログラムとは、ネガティブな状態の人をポジティブな状態にするために開発されたコーチングプログラムです。
実際のワークは3分くらいで終わるのですが、下準備が必要なので、準備からいきましょう。
下準備①自分ができることを書く
まずは「自分ができること」を最低30個書きます。
「私ができることは何もありません」って思った方、それは思い込みですね。できることは、「誰かと比べてできていること」ではありません。資格があるとか、経験があるとか、そんな大それたものでなくても大丈夫です。
例)朝起きることができる
座ることができる
ご飯が食べられる
歯を磨くことができる
トイレに行くことができる
文字が読める
等、なんでもいいです。
できることは質よりも量が大切ですので、できるだけ沢山あげてみましょう。
下準備②好きなことリストを作る
「自分の好きな○○」を4つの分野で書きます。
1.好きなこと(趣味・行動など)
2.好きなもの(食べもの・持ち物など)
3.好きな人(実在・架空を問わない)
4.好きな場所(日常的な場所・旅行先など)
ポイントは、全部埋めることです。好きなものはあるけど、好きな人は書けない等はNGです。
また、具体的であればあるほどいいです。具体的に書くことで、好きなものをよりリアルに感じることができ、それに伴いメンタルの状態も上向きます。
●好きなことリスト記入例 くのいちの場合
1)好きなこと(趣味、習慣、仕事、学習など)
・読書をすること。新しい考え方と出会えた時が面白い。
・資格の勉強をしている時、YouTubeで勉強をしている時。「成長している」と感じると将来への不安が薄れる。
・アニメを見ながら美酢を飲んでいる時。
・家に一人でいる時。
2)好きなもの(持ち物、食べ物、嗜好品など)
・八宝菜、エビチリ。中華料理店で食べるのも美味しいけど、スーパーの総菜でも満足できる。願わくば自分で理想の味を作れるようになりたい。
・とにかくエビとホタテが好き。
・美酢のざくろ味を炭酸で割って飲むこと。冷えてて炭酸が抜けてなかったら最高に美味しい。
3)好きな人(実在、架空を問わない)
・ヒロアカの爆豪。自分の弱さを認めて、常にトップであろうとする姿勢が最高にかっこいい。
・同じくヒロアカの相沢先生。よく人のことを見ていて、場に応じた最適な行動をとれるところがかっこいい。合理的な考えも好き。
・中田敦彦さん。新しいことにどんどん挑戦していく姿がかっこいい。
4)好きな場所(旅行先、日常的な場所、行ってみたい場所)
・ハウステンボス。もう駐車場から好き。ハウステンボスの空気を吸うだけで幸せな気持ちになれる。
・武雄図書館。仕事や勉強を頑張っている人が集まっているから、自分も頑張ろうと思えるパワースポット的な場所。
・ネットカフェ。
くのいちも実際に書いてみました。書く前は「え~。自分の好きなこととか浮かばない・・・」と思っていたのですが、実際に書き始めてみると思いの他筆が進みました。頭の中が整理された感じがします。「自分こんな風に思ってたんだ!」という発見にもなりました。(まだ下準備の段階なのにw)
下準備③「言い換えリスト」を作る
ネガティブなフレーズを、ポジティブに変換したリストを作ります。
例)気が弱い →優しい
考え過ぎる →慎重である
意見を言えない→奥ゆかしい
ポイントは、真逆に変えるのではなくて、ちょっとゆるい方向に変えるくらいがイメージが湧きやすいです。
ここでリハーサルをしておきます。欠点と長所を、このセリフに当てはめて声に出してみましょう。
【ルール】「私は(欠点)。いや違う!(長所)なんだ!」
例)私は(気が弱い)。いや違う!(優しい)んだ!」
いや違う!と言う時に立ち上がります。
これで下準備が完成です。
下準備の、「自分ができること」「好きなことリスト」「言い換えリスト」は一回作っていれば大丈夫です。
本番
下準備ができたら、いよいよ本番です。
ネガティブな気持ちになったら、次の①~③の順でワークを行っていきます。
①(ネガティブを)止める
今自分の目の前にあるものを、五感を使ってチェックしていきます。
→これによって、ネガティブ思考をストップさせることができます。人がうつやネガティブ思考に陥ってしまう時、要因は「不安」と「後悔」です。
・「不安」は起きてもいない未来
・「後悔」は過ぎてしまった過去
どちらも今考えてもどうにもならないことです。自分の意識が過去や未来を行ったり来たりしているので、意識を「今ここ」に戻します。
可能であれば立ってから深呼吸をするとより良いそうです。深呼吸をしたあと、その場で見えるものを細かい部分まで見るようにします。コツとしては天井からスタートをして、壁際に視線を移していくのがいいです。
天井の色はどうか?
継ぎ目や汚れはどうか?
照明の形はどうか?
文字が書かれていれば、なんて書いているか?
と、虫眼鏡で見るようにじっくりと見て行きます。同時に、耳に入ってくる音と、体で感じる感覚をチェックしていきます。
この「止める」の工程は、落ち込んだ時に緊急対応としてやるのも良いですし、思いついた時にいつやっても良いです。習慣化することで落ち込んだ時に反射的にできるようになるので、うつが悪化するのを防げます。
ネガティブ思考に陥っている意識を「変える」のではなくて、「止める」だけなので抵抗なく実践できますね。
本書には書いていないですが、私は怒りが湧いた時にも習慣として意識を「今ここ」に集中するというのをやっていましたね。
家族間でイライラすることがあったら、テーブルに置いている花を見ます。花は何色か、花びらは何枚か、どんな匂いかを考えていると、怒りが少し落ち着きます。観葉植物とか花は、ディティールが複雑なので、意識を「今ここ」に集中させるのにもってこいですね。おすすめです。
②(ポジティブを)増やす
①の「止める」で、一瞬でもネガティブな心理状態から抜けることができたら、次はポジティブを「増やす」です。
先ほど下準備で「自分ができること」と「好きなことリスト」を作りましたね。それをここで使います。ネガティブから一瞬抜けることができたら、作っておいた「自分にできること」「好きなことリスト」を見ます。
うつ状態にある人は、「自分には何もできない」と思っています。精神状態としては八方塞がりですね。だから不安で仕方がないのです。
それを打破してくれるのが、この「増やす」です。
増やすを行うと、自分にできることに気がつきます。
うつになると、とにかく色んなことが怖くなります。
「自分が無防備で不安な状態=今、襲われたらヤバい」という感覚があるためです。
うつの人が周りの人の視線が気になったり、人の話し声が気になるようになるのはこのためです。
「自分ができること」に目を向けることは、心の安心材料を増やすことになります。心の安心材料が少ないと、必要以上に不安に追い込まれて、「なんでこんな自分になったんだろう」と後悔に襲われることになります。
ですから、毎日「できることリスト」を意識して安心材料を増やしましょう。
好きなことを意識すると、人はそれをやりたくなります。しかし、うつの人はまず初めに自分が「できること」を意識できていないと、やる前から「どうせ無理」と思ってしまいます。
自分にそれができない理由が無限に浮かんでくるんですね。
時間がない、お金がないと、元々人はできない理由を探すのが上手です。
しかし、「自分にはできることが沢山ある」と分かると、「どうせ無理」だと思っていたのが、「どうやったらできるんだろう」に変わります。
可能性を見出そうとする思考回路が生まれます。
この思考が、うつをやめるには非常に重要です。
うつの人はこれまでに沢山傷ついて、自信をなくして、行動にうつせなくなっています。ですから、「やりたい」と思ったことが少しでも上手くいくと、メンタルが上向きになります。
③(思考のクセを)変える
ここまでの工程を経ると、気分が「ちょっといい感じ」になりますが、その一方で、
「そうはいっても、やっぱりできないよ」
「こんなの本当に効くのかなあ?」
という気持ちが湧いてきませんか?
実はこれが、うつには典型的なものです。
うつの人はこれまで、ネガティブ思考を日々強化してきたネガティブのプロなので、一度いいほうに意識が向いても、すぐにそれを打ち消すネガティブ思考が浮かんできます。
そうならないために、
欠点とその言い換えを、次のルールに従い声に出して読み上げます。
【ルール】「私は(欠点)。いや違う!(長所)なんだ!」
例)私は(気が弱い)。いや違う!(優しい)んだ!」
いや違う!と言う時に立ち上がります。
「変える」のいいところは、やっていて楽しいということです。楽しいことは習慣化しやすいです。習慣化すると、自分を否定する言葉が浮かんだらすぐに「いや違う!」と思えるようになります。
おさらい
では、メンタル・リセット・プログラムの手順をおさらいします。
①「止める」で、意識を「今ここ」に向けます
②「増やす」で、自分ができることと好きなことリストを見ます
③「変える」で、浮かんできたネガティブ思考を言い換えます
ネガティブは悪いことではない
ネガティブを言い換える練習もしたので、「ネガティブは悪いこと、ポジティブにならないといけない」と感じた人もいるかもしれません。
しかし、ネガティブ思考自体は悪いことではありません。誰でも嫌なことがあればネガティブになります。問題なのは、ネガティブ思考が持続してしまうことです。
そして、なんでもネガティブに考えてしまうクセがつくことです。
以前川本さんは、コーチングの師匠からこんな言葉をかけられたそうです。
ネガティブな感情が襲ってきたら、がんばって打ち消そうとするのではなくて、「あ、私今ネガティブだ。」って客観視できるようになると良いですね。
さいごに
ここまで聞いても、いくら頑張っても意志の力じゃどうしようもできないよ!!
と思った方もいらっしゃいますよね。
私がこの本をご紹介しようと思ったのは、自分で治療の決定権を持つことが大事だという根本の考え方に強く共感したからです。
先生は本の最後のほうでこう記しています。
私は作業療法をする時も、カウンセリングをする時も、クライエントには「一緒に病気と戦うチーム」のような感覚を持ってほしいなと常々思っていました。
病気と向き合って、対策をしていく過程の中で、専門家とクライエント本人がお互いに意見を出し合いながら、より良い道を見つけていくのが理想なんですね。
専門家が一方的に「これはどう?」「これはどう?」と言うのは、ただ本を読んだりYouTubeを見たりするのと変わらないと思っています。せっかく一対一でお話しているんですから、オーダーメイドの、あなただけの作戦を立てたいですよね。
その、一緒に立てた作戦を実行できるのはクライエントだけなので、最後は専門家の力ではなく、自分の力なんです。なので「誰かになんとかしてもらいたい」と思っている人よりも、「できない部分だけ助けてもらって、自分でなんとかしていきたい」と思っている人の方がいい方に向かっていきます。
藁にもすがる思いで誰かに相談をした人がほとんどだと思うので、「最後は自分の力」って言われると酷だとは思いますが、その専門家が全てを担ってくれたとして、その人がいないと生きていけない人生なんて、自分の人生ではありませんよね。
専門家は自分に依存させることなんて望んでいません。クライエントが自分の力で立って、自分の力で歩けるようになるまでをサポートしたいと考えています。
この動画の中ではご紹介しきれなかったことが沢山あります。特に、本書の第三章「さらによくなるために実践したい9つのメソッド」は、ぜひうつで悩んでいる方や、気分が落ち込みやすいという方に届いてほしい内容でした。
9つもメソッドがあるのでこの動画の中では紹介しきれず、申し訳ないです。
ご興味を持っていただけましたら、この動画の概要欄に本書のリンクを貼っていますので、ぜひお手に取っていただけると幸いです。
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ありがとうございました!
記事を読んでくださりありがとうございました。辛い思いをしている人が少しでも楽になりますように。