HSP×作業療法士のための実習攻略方法
今回は作業療法士の実習に関する投稿です。
作業療法学生の実習、「楽勝だった」と答える人はほとんどいないと思います。それくらい、作業療法士の実習は鬼門です。私も学生の頃、実習でとても気疲れをして、憂鬱な気分で実習地に向かっていました。
今回は、作業療法士の実習について、実習で大変だったことや、どんな実習生が好かれるか、また、HSPという特性を持っている人が実習で気疲れをしないためにはどうすれば良いのか、この点についてお話をしていきたいと思います。HSPって何?というお話もしますので、HSPという言葉を初めて聞く方も安心してご覧ください。
この投稿も動画にまとめています。この投稿は6392文字の、読み応えのある記事ですので、目を休めて音声で楽しみたいという方は動画でお楽しみいただければと思います。
この動画を見ることで、作業療法士の学生の方、またその他の看護学生さんや医療系の学生さんは、実習に行く時にリラックスして行けるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。
過去の動画について、HSPという特性を持っている作業療法学生の方からコメントをいただきました。
にこさん、コメントありがとうございます。バイザーさんに気を遣い過ぎるの、めちゃくちゃよく分かります。そして頭の中では質問が浮かんでいるという時点で、にこさんはとても熱心な大学生さんですね。「実習にいかせていただく」という心構えも素晴らしいです。正直な感想として、悩んでいることのレベルがとても高いなと思いました。
くのいちの実習生活
・精神科作業療法士歴6年目
・HSS型のHSP
・学生時代、座学は3年間トップクラス、卒業時に日本作業療法士協会から
優秀学生賞をいただきました。
「さぞ輝かしい学生生活だったのでしょう!」と思いきや、実習では気疲れをし過ぎて病んでしまいました。バイザーの顔色を伺うあまり、身体の動かし方が分からなくなったり、「先生たち皆で自分のミスを共有し合っているんじゃないか」と被害的になったり。
患者さんと会話している場面をバイザーに見られると、会話が弾んでいないとコミュニケーション能力が低いと思われるんじゃないかと思って、大げさに笑ってみたり。
空回りの連続でした。
臨床実習の8週間のうち、6週間バイザーから無視されました。私の担当だったバイザーは男性だったのですが、後から聞いたら女性が苦手だったらしいです。他の先生たちがフォローに入ってくださっていたので、レポートは完成することができたのですが、レポートの提出や、見学について回るのはその無視するバイザーだったので、憂鬱でたまりませんでした。
もう作業療法士になるの諦めようかなと思ったこともありました。
私の場合は極端な例だと思うのですが、作業療法士の実習は一人か二人で行かなければいけないので、気疲れしやすいですよね。気疲れするし、睡眠不足になりやすいし、いくら経験になるとは言え、もう少し楽に過ごせたら良いのに、と思います。
当時の私はHSPという概念も知らなかったので、「どうして自分はこんなに空回るんだろう」「人間関係が下手なんだろう」「自分はなんでこんなにダメな人間なんだろう」と自己否定してしまっていたのですが、
HSPという言葉を知ってから、生きやすくなりました。
HSPとは
Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、人一倍繊細な気質をもって生まれた人という意味です。
病気ではなく、性格の特徴のことを言います。こうした気質を持つ人は職場や家庭など生活の中で気疲れしやすく、生きづらいと感じる方が多いです。
HSPの人にはこのような特徴があります↓
繊細過ぎるゆえに対人関係でもストレスを感じやすく、自己肯定感が低い人が多いです。他人に言われたことがずっと頭から離れなくなる人もいます。
また、5感が鋭いという特徴もあります。
このような特徴があるため、疲れやすいです。生まれ持った性格の特徴ですので、治すことはできません。生きにくいと感じる人も多く、自己肯定感が低くなり、ストレスを溜め込みやすいので、うつ病との関係性もあります。
私はココナラというアプリでお悩み相談を行っているのですが、よくHSPの方から「HSPを治したい」というご相談がきます。
自分たち自身が繊細過ぎる個性を厄介だと感じてしまっているため、HSPに対してマイナスなイメージを持っている方も多いなぁと感じています。しかし、この個性は長所として活かすことができます。
過去に繊細さんにおすすめの在宅ワークや、HSPが長所になる仕事をご紹介していますので、よろしければこちらも合わせてご覧ください。
どうして生きにくい思いをしているのか。
HSPの人は自己肯定感が低い人が多く、また、情報の処理が深く進むので、人から言われたことを忘れにくいです。気持ちの切り替えが苦手な人も沢山います。その結果ストレスに対して脆く、生きにくい思いをしています。
部分的にでも誰かに注意をされたり、否定されたりすると人格否定されたような気持ちになる人がいます。なにか部分的に注意されただけなのに、自分の全人格を否定された気持ちになります。
という特徴を持っているため、作業療法士の実習で、気疲れしないわけがないんですね。
どんな実習生が好かれるか
前提として、別にバイザーに好かれなくても良いのですが、気になる方が多いと思いますので、実習をスムーズにいかせるために、好かれる実習生の特徴を5つお伝えします。
①挨拶ができる
自分から挨拶ができる人は好かれます。実際に働き始めた時もそうですね。「自分から」というのが大事です。それだけでも相手に積極的な印象を与えることができますので、自分から「おはようございます」と挨拶しましょう。
病院内ですれ違う他の職員に対してもそうです。
バイザーにだけ「おはようございます!!」と元気良く挨拶できるのに、他の職員には挨拶しなかったら「この子バイザーにだけゴマすってるな~」と思われます(笑)
②体調管理ができている
体調管理は大事です。実習は基本的に、現場に出てからの練習ですので、体調管理ができない医療従事者だと患者さんからも他の職員からも信頼を得ることができません。
自分のためにも、体調管理は気をつけましょう。
バイザー側も、実習何週目でこれをしよう、とプログラムを組んでいるので、急に休まないというのは鉄則です。
どうしてもの時は仕方ないのですが、テレビやスマホを触る時間を少なくしてできるだけ早く寝たり、人が多い場所には出掛けないようにしたり、できる限りのことはしましょうね。
③修正部分はその日に直してくる
レポートを提出したら、修正があると思います。修正箇所はその日のうちに直しましょう。
面倒だとは思うのですが、修正をしないとまた同じ話の繰り返しになってお互いに時間が勿体ないです。その、同じ話をしている間に、別の話ができるかもしれないので、学びの機会を失っていることになります。
その日の訂正はその日のうちに。同じ話をされないように気をつけましょう。
④積極的
積極的に学ぼうとする学生さんは好かれます。
「質問ある?」と言われた時にすぐに質問ができれば良いのですが、私は「質問ある?」って言われるのが嫌いでした。緊張して。
別に何も質問が無い時は、必殺のセリフがあります。
「今は質問は無いのですが、一度自分の中で整理してからご質問させていただいても宜しいでしょうか」
こう言うと、「あぁ、自分でちゃんと考えようとしてるんだなぁ」と好印象を持ってもらうことができます。
ただ、
「質問ある?」→「ありません」
と答えるよりもはるかに印象が良くなりますので、良かったらお試しください。
質問をする時は、調べたら分かるようなことは聞かないほうが良いです。例えば、「統合失調症って何ですか」と聞くと、「調べたら分かるやん・・・」となるので、聞かないほうが良いです。上級生になってくると特にですね。教科書の目次をばーっと見て、目次にも書いてあるような病気のことは実習に行く前に頭に入れていたほうが良いかと思います。
良い質問の例をあげると、
「○○さんがあの時急に1人で大声を出されたのは、統合失調症の症状で幻聴が聞こえたのではないかと思いました。あのような場面で幻聴のある患者様への対応はどのようにすれば良いのかご教示ください」
こんなことが言えたら、怖いくらいできる学生ですね。
積極性が大事だというお話しをしていますが、
やってみたいことがあるなら、それが出来る・出来ないは置いておいて、一度バイザーに聞いてみましょう。
「レクリエーションのリーダーしてみたいです」
「○○さんと個別のリハで手芸をしてみたいです」
「ROM測ってみたいです」
患者さんやバイザーの日程の都合でできないこともあるかもしれませんが、もしできなかったとしても積極性は評価されると思いますので、やりたいことがあったらどんどん伝えてください。
⑤遊んでるって話はしないほうが良いかも・・・。
休日にどう過ごそうが自由なんですけどね。「土曜日USJ行って来たんですよ」と言った週に熱とか出したら最悪ですよ。もし休日に遊んだとしても、それは実習中は内緒にしておくのが無難です。誰が見ているか分からないので、SNSにも投稿しないほうが良いと思います。
バイザー側も「休みの日何してた?」って聞くなよって感じなんですけどね。学生さんにリラックスしてもらおうとして世間話として聞いただけの可能性もありますので、本当のことを答えなくても良いです。
HSPの作業療法学生が気疲れをしないためには
①困っていることは困っていると伝える
何か困っていることがあったら、遠慮せずにバイザーに相談をしましょう。現場のOTもそうしています。何か困ったことがあったらお互いによく相談をするようにしています。実習は現場で働く前の練習ですから、相談するということも練習できたら良いなと思います。
ですから、どうしたら良いかわからなくなった時はその悩みを家に持ち帰らずに、その日のうちにスッキリさせましょう。
困っていることは困っている、分からないことは分からないと伝えてください。「こんなことも分からないの?」と言われそうで怖いかもしれませんが、聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥です。そもそも、バイザー側も、実習生さんが何でも分かっているなんて思っていないので、素直に聞いて大丈夫だと思いますよ。
②完璧なレポートを目指さない
完璧を目指さなくて良いです。「パレートの法則」という法則があります。これは、80点を取るためには20%のことを頑張る必要がある。100点を取るために残りの80%の努力が必要である。というものです。
たった20点を上げるために80%も努力しないといけないんですね。コスパで考えるとかなり非効率的なので、100点を目指す必要はありません。80点とれれば充分です。
評価も、Aを貰えたら嬉しいですが、Aを目指さなくて良いです。別に卒業はできますし、「A」を貰えるのは「働き始めたら即戦力になりそう」と思われた学生だけですので、Aじゃなかったからと落ち込む必要はありません。
7年前のくのいちさん、聞いていますか、Bで落ち込むんじゃないよ、完璧主義を手離したら楽になるよ
③クッション言葉を用意しておく
繊細さんは相手が忙しそうにしていたら話しかけにくいと思うので、クッション言葉をいくつか準備しておくと良いですね。
「お忙しいところ申し訳ありません」
「今お話しよろしいですか」
「今お手隙でしょうか」
「ご相談なんですが、後でお時間よろしいですか」
など、本題に入る前のセリフをいくつか自分の中に持っておくと、バイザーに話しかけやすくなると思います。
④できるだけアルバイトをする
先ほどのようなクッション言葉の勉強になるので、アルバイトをおすすめします。また、メンタルを安定させるために、できるだけアルバイトをしましょう。
社会人経験が少しでもあるほうが、その経験が実習地でも役に立ちます。
バイザーって、作業療法士の先輩でもあるんですが社会人の先輩でもあるんですね。ですから社会人の先輩と対峙する前に社会経験を積んでおくことをおすすめします。
作業療法士になったら作業療法士という仕事しか知らなくなりますからね、学生のうちに沢山色んなお仕事をしてみてください。
また、私は心のゆとりに経済的なゆとりは関係していると考えています。経済的なゆとりが産まれたら、ストレス発散に使えるお金も増えますし、栄養のあるものを食べれます。
アルバイトはメリットだらけですので、学生さんにはぜひアルバイトをおすすめします。もちろん学業優先ですよ。
さいごに
やることやってれば嫌われても良い!!
実習は経験を積んだり、自分の作業療法士としての質を高める場ですので、自分がやるべきことさえやっていれば、最悪バイザーから嫌われても良いです。
バイザーも、あなたより早く生まれただけのただの人間ですので、人として未熟な部分もあると思います。伝え方が未熟なバイザーもいると思います。
バイザーが怖いな、嫌だなと思うこともあるでしょうが、バイザー側は少しでも多くのことを学んで欲しいと思っているし、良い作業療法士になってほしいと思っているので、時には厳しいことを言うかもしれません。あなたを否定したいわけではないので、そこは学生さんも分かってほしいなと思います。(6、7年前のくのいちに聞かせたい)
実習で学んだことが、実際に現場に出てからも役に立ちます。実習中に少しでも多くのことを吸収するために、分からないことは分からない、困っていることは困っている、「こういうことをやってみたい」とその都度バイザーに伝えてみてください。
今はコロナで実習に行けない学生さんもいます。実習に行く機会が少なく現場で働き始めた人は、それは自分が悪いわけではないので、分からないことはどんどん先輩に聞いてくださいね。
にこさん、素敵なご質問ありがとうございました!
どうかリラックスして実習に行ってください(^^)応援しています。
活動報告
CAMPFIREコミュニティ
病院内だけでなく、地域で作業療法を行っていくために、切り絵作家として独立したいと思っています。精神障がいや発達障がいのグレーゾーンの方を支援していきたいと思っています。この活動を応援してくださる方がいらっしゃいましたら、詳細をご覧いただけると嬉しいです。↓
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ありがとうございました!
記事を読んでくださりありがとうございました。辛い思いをしている人が少しでも楽になりますように。