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発達障がいとHSPの違い

発達障がいとHSPは共通点が多いので、混同されている方もよく見かけますね。

はい。ご質問ありがとうございます。

・発達障がい、HSPについてもっと詳しく知りたい
・自分の特性を知りたい

そんな方はぜひ最後までご覧ください。

個人的には「発達障がい」よりも「発達特性」という言い方のほうが好きなんですけど、一般的によく知られている呼び方で統一したほうが、視聴者さまの混乱を防げるかと思いますので、ここでは発達障がいと呼ばせていただきます。


発達障がいとは

自閉症スペクトラム障がい(ASD)

自閉症スペクトラム障がいは、自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障がいなどが統合されてできた診断名です。よくASDと略されます。

主な特徴として
①コミュニケーションや対人関係が苦手
②限定された行動、興味、繰り返し行動

などがあり、感覚に関する過敏性や、逆に鈍感性を伴うこともあります。

ASDの症状は程度や年齢などによって非常に多様です。

などで気づかれることが多いです。その後成長に伴って「一人遊びが多い」「指さしをしない」「人のまねをしない」「名前を呼んでも振り向かない」「表情が乏しい」「落ち着きがない」「かんしゃくが強い」などもよく見られるようになります。

感覚の鈍さや敏感さなどがある場合もあるので


などの傾向が見られることもあります。

また学生になると
・友だちができにくい
・関わりが一方的で、友達が嫌がっても話し続けてしまう

など、感情を共有したり、対人的な相互関係を築くことが難しい傾向が見られます。この頃から対人関係も複雑化してくるので、コミュニケーションにすれ違いが生じたり、社会的なマナーが理解できずにトラブルになったりすることがあります。

大人では仕事関係でつまづくこともあり


という傾向が見られます。


注意欠如・多動性障害(ADHD)

ADHDは、注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害とも呼ばれ、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(思いつくと行動してしまう)といった症状が見られる障害です。

ADHDで、不注意が優勢か、多動性・衝動性が優勢か、そのどちらも混合しているかは人によって異なります。

専門学校時代の授業で、先生がドラえもんを例え話にしていたんですけど、
のび太くんは不注意優勢型・忘れ物が多くて集中力もない
ジャイアンは多動性・衝動性優勢型・カッとなったらすぐお友達を殴る
という話をしていました。

幼児期から「落ち着きがない」「かんしゃくが強い」「非常に活発である」など見られますが、学校に入ってからは「授業に集中できない」「忘れ物が多い」「時間の管理が苦手」「すぐに気が散ってしまう」などの特徴からADHDではないかと疑われることが多いです。

大人は仕事関係の場面で「ケアレスミスが多い」「〆切や約束ごとが守れない」「物事を順序だてて取り組むことが苦手」「長時間机に座って事務作業をおこなうことができない」などの傾向が見られることがあります。

また生活面でも

などの特徴が見られます。


学習障害(LD)

学習障害(LD)は、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力に困難が生じる発達障害のことです。
書くのだけできない、読むのだけできない、読み・書きだけできない、と、苦手なことがすごく限局的です。

困難さを感じる特徴によって読字障害、書字障害、算数障害と呼ばれることもあります。DSM-5の中では「限局性学習症/限局性学習障害」という名称になっています。

教科学習がはじまる小学生年代で学習障害を疑われることが多く、国語や算数を学んでいる際に「読むのが遅い」「読んでも内容が理解できていない」「誤字、脱字が多い」「数の概念が理解できなかったり、計算が遅い」などの特徴から見られます。

ただ、学校に入る前から

などの傾向が見られることもあります。

成人期の場合でもメモを取ったり、マニュアルを読んだりすることが苦手で仕事に支障が出たり、計算が苦手で仕事の経理や家計簿をつけることが難しかったりする場合もあります。

発達障がいのグレーゾーン

発達障がいかどうかは数値のような明確な基準がないので、はっきりと見極めづらい状態にある人もいます。ASD、ADHD、LDは必ずしも知的障がいを伴うわけではありません。

グレーゾーンは診断基準を満たす場合と比べ困難は少ないと思われがちですが、理解や支援が得られにくいなど、グレーゾーンならではの悩みもあります。

最近は、発達が気になるお子さまへの早期療育を行う例が増えてきています。早期から介入し、子どもに合った環境の中で学ぶことで、必要なスキルを身につけやすくなります。また、抑うつなど二次的な問題をが起きるのを予防できるとも言われています。



HSPとは

Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、人一倍繊細な気質をもって生まれた人という意味です。

病気ではなく、生まれ持った気質のことを言います。こうした気質を持つ人は職場や家庭など生活の中で気疲れしやすく、生きづらいと感じる方が多いです。

人口の20%。5人に1人がHSPだと言われています。

1990年代にアメリカのエレイン・アーロン博士という女性の心理学者の方が提唱をされました。ですからHSPという概念がうまれてまだ30年も経っていないので、歴史としては非常に浅いですし、まだまだ研究段階な部分があります。

例えば遺伝するか、家庭環境が関係するかなのですが、これはまだよく分かっていないそうです。分かっていないと言っても、育った家庭環境によってHSPという個性がどう作用してくるかは必ず変わってきますし、本人の生きやすさ・生きにくさも変わってくるでしょうね。

HSPの人にはこのような特徴があります↓

繊細過ぎるゆえに対人関係でもストレスを感じやすく、自己肯定感が低い人が多いです。他人に言われたことがずっと頭から離れなくなる人もいます。

また、5感が鋭いという特徴もあります。

・冷蔵庫の機械音や時計の音が気になるほど聴覚が敏感
・強い光や日光のまぶしさなどが苦手
・人の口臭やタバコの臭いで気分が悪くなる
・カフェインや添加物に敏感に反応してしまう
・肌着のタグなどチクチクする素材が我慢できない

このような特徴があるため、疲れやすいです。


HSPの型

「とても繊細で内向的で大人しい人」というイメージを持たれることが多いHSPですが、HSPにも種類があります。

HSPのうち、内向的なのは70%です。

残りの30%は刺激追求型(HSS型)と呼ばれる、一見するとあまり繊細なように見えない人がいます。刺激追求型は人口で言うと6%です。100人に6人は、一見HSPに見えないHSPなんですね。

HSS型の人も特徴は内向型のHSPと同じなのですが、「疲れやすいくせに自分で刺激を求めにいく」という矛盾した性格の特徴を持っています。

ちなみに私もHSS型のHSPです。YouTubeをしているのも、刺激を求めた結果ではないかと思っています。

他には、繊細なHSPの子どもたちのことを、Highly Sensitive Child(HSC)と言ったり、外向的なHSPのことをHighly Sensitive Extroverted(HSE)と言ったりします。



もちろん特性なので個体差はあります。全員が同じ刺激の受け取り方というわけではありません。こんな特性があるHSPなのですが、生まれ持った気質ですので、治すことはできません。

対人関係でも、生活環境でも、刺激をフルに受け取ってしまうので、非常に疲れやすいです。この疲れやすさや、あまりにも色んなことに気付いてしまうことから、対人関係でもストレスを感じやすく、適応障がいやうつ病、不安障がいなどの他の病気が乗っかってきやすいです。

でも決してHSPは病気ではありません。

SNSを見ていると、HSPの人たち自身が繊細過ぎる個性を厄介だと感じてしまっているため、HSPに対してマイナスなイメージを持っている方も多いなぁと感じています。しかし、この個性は長所として活かすことができます。

でも、子どもの頃から生きにくさを抱えてきているので、なかなか「長所」だと脳内変換できない人のほうが多いように感じます。



発達障がいとHSPの共通点と違い

共通点が多い発達障がいとHSPでしたが、まとめるとこのようになります。

もっと細かく言うと、どちらもマルチタスクが苦手だったり、二次障がいとしてうつ病や適応障がいを持つ場合もあります。

発達もHSPも、どちらも「特性」であることに変わりはありませんが、発達障がいは脳の機能発達に偏りがあるから情報処理が難しくなっているのに対し、HSPは脳の構造上、刺激を受け取り過ぎるから、情報処理が難しくなっています。

同じ特性が見られたとしても、元を辿れば原因が違います。

ですから、特性だけ見ると共通点は多いのですが、その原因となっていることが違います。

発達障がいにも自閉症スペクトラム障がい、注意欠如・多動性障がい・学習障がいなど色々あるので、一括りに「発達障がい」と言うと幅広過ぎるのですが、発達障がいの中にはコミュニケーションに著しい困難が生じるものもありますね。

対してHSPは、コミュニケーションに苦手を感じている人は多いですが、それは空気を読めないのではなく、読め過ぎたが故に気疲れを起こしてしまうので性質が違いますね。

最近私のところに「自分はHSPなんです」と相談に来られる方の中にも、文章を拝見した感じ、あまりにも衝動性が高かったり、注意力があまりにも散漫だったりすると、「HSPではないなにかが隠れている気がする・・・」と思うこともよくあります。

HSPというのがメジャーになるというのを同時に、発達の人たちも自己判断で「自分はHSP」と決めつけているパターンも多くなってきたなと感じることもあります。

発達だとしたら服薬治療も行っていけるので、自己判断は避けたいところなのですが、HSP自体がセルフチェックなので、その判断というのは難しい部分がありますね。

そして一番大きな違いは、疾患として認定をされているかどうかです。

発達障がいはDSM-5にも、国際疾病分類にも記載がありますが、HSPは病気ではないので、診断はつきません。

病院に行ったからと言って、「HSPですね」と言われることはありません。

ですから、SNSでもよく見る「私はHSPです」と言っている人は全員自称HSPですね。くのいちも自称HSPです。

発達障がいは診断がつくもの・HSPは診断がつかないものです。


まとめ

今回は発達障がいとHSPの共通点と違いについてみてきました。

分かりやすく表でみるとこうなります。

発達障がいとHSPで同じ特徴がみられたとしても、その特徴が出る理由が異なります。

また、診断がつくものであるかどうかも大きな違いです。
発達障がいは診断がつくもの・HSPは診断がつかないものです。

診断がつく・つかないは別問題として、もしもこれをご覧の方の中に、耐えがたい生きにくさを感じている方がいらっしゃいましたら、すでに二次障がいが起きている可能性もありますから、専門機関への相談も視野に入れて良いと思います。

私としては診断がつくかどうかというのはオマケでしかなくて、大事なのはあなたがどんな思いを抱えて毎日を過ごしているかだと思うので、どんどん社会的資源を活用してください。

社会的資源は家族、友達、会社の人、行政のサービス、病院など色々あります。最近はココナラみたいに、アプリ経由で・匿名で専門家に相談できるサービスもありますので、あなたが相談しやすいものを選んでください。


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ありがとうございました!

記事を読んでくださりありがとうございました。辛い思いをしている人が少しでも楽になりますように。