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地方都市「チカラン」の新生活...素朴な毎日をねぎらうすっきりラガービール「PROST」【Love! Indonesia Crafr Beer】vol.4

のほほんとジャカルタのシティライフを楽しんでいた私ですが、渡航翌月になんと妊婦に。ビールを飲む習慣がないインドネシアで、ビールを飲めない日々を過ごすことは、むしろウェルカム!不慣れな土地でのマタニティライフは不便なことも多かったですが、ことビールライフに関して言えばこのタイミングでよかったとにんまり。

しかし程なくして、2020年3月にコロナウィルスのパンデミックがやってきた。私は妊娠5か月の状態で、3日後のチケットを握り締め、どうなるかわからないまま日本への飛行機に飛び乗った。

夫はそのままインドネシアで単身赴任となり、私は日本で出産と育児に勤しんだ。一時帰国のはずだった私が再度インドネシアに渡航したのは、その2年後だった。

息子くんが1歳の誕生日から、私のビールライフは解禁。インドネシアで働く夫を尻目に、日本クオリティのクラフトビールを大満喫していた。再度渡航にあたり、またしても立ちはだかるインドネシアのビールクオリティの壁。

でも、ジャカルタならドンとこい!妊婦で飲めないながらも調べていたビアスポットのリストがあるぞ。しめしめ…。

地方都市「チカラン」での生活の幕開け

コロナ前は首都ジャカルタでシティライフをエンジョイ!ところがどっこい、コロナ後は何とジャカルタから車で1時間ほどの地方都市「チカラン」に住むことになった。私のジャカルタビアリストは、もはや効力がない。

ジャカルタの人口集中は、国を挙げてその問題解消に力を入れていた。目下、カリマンタン島のヌサンタラという都市にインドネシアの首都移転をする動きが進行中である。日本企業にも当然その波は押し寄せ、私がいた2019年にはすでにチカランに日本人学校開講準備が整っていた。

チカランは日本の製造メーカーの工場が集中する地方都市。夫の勤務先ももれなくチカラン。ジャカルタにしかなかった日本人学校がチカランにもできるとあれば、家族がジャカルタに住む理由なんてない。

嫌な予感がする…。

当時でさえ、いつ引っ越しの話が出てもおかしくなかった。あの人もこの人もチカランへ引っ越していく。

あぁ、嫌な予感がする…。

そして、もちろん予感的中!コロナ禍の業績不振も相まって、私の第2のインドネシアライフはチカランでの生活となった。

地味な「海外子育て」の壁

かくして、世にいう「魔の2歳児」の息子くんとのチカランでの子育てライフがスタート。「海外子育て」に世の中がどんなイメージを持つかはさておき、私の初めての海外子育てはかなり地味なもの。

土地勘なし

チカランは素朴で穏やかな街。車で10分ほどのところにある日本食品スーパー「Papaya(パパイヤ)」が、唯一の安心安全なライフライン。病院や薬局などもあるから生活には困らないけれど、娯楽と言えるような場所は少ない。そもそもどこに何があるかわからない。

移動手段なし

地下鉄やバスもなく、移動は基本は車。日本人が運転できるほど安心な交通ルールではないため、自分での運転は不可。舗装されていない道路も多いので、徒歩での子連れ移動は特に危険。

友達なし

引っ越したばかりで友達もゼロ。話し相手は2歳の息子くんのみ。夫は平日私たちが起きる前に出勤(インドネシアの朝は早い)し、私たちが寝てから帰宅(社風は日本式)。

「どうする、俺!?」

これは、、まずい!!

渡航後3日で、早くも危機感盛りだくさんだった。土地勘のない場所で、移動手段もなく、友達もいないワンオペが確定。マンションに半ば軟禁状態の私と息子くん。

頭の中には「どうする、俺!?」のライフカードのCMのオダギリジョーの冷や汗で歪んだ顔でいっぱいだった。

インドネシア産ビールのニューカマー「 PROST」

そんな私に夫が毎日の気晴らしにと勧めてくれたビールが、「PROST(プロスト)」だった。2015年ごろから発売された比較的新しいインドネシアの国産ビールで、日本でもお馴染みのクリアなラガービール。

インドネシアのビールといえば赤いひとつ星のビンタンビールやバリハイ。でも私にとっては、苦味がとても控えめなビールで少し物足りない。ところが、このPROSTはもう少しホップの苦味が強くて、日本でよく飲む大手ビールメーカーのビールによく似ている。

コップに注げば、すき通った薄い黄金色。クセが少なくて飲みやすい。変な甘さや雑味もなく、すっきり爽やか。

個人的には、昔の缶コーヒーを思わせるスリム缶がツボ。昭和世代のハートをやわらかくくすぐる。

そして何より、PROSTはドイツ語で「乾杯」という意味なのだ。学生時代にドイツビールでビール好きとなった私にとって、これ以上ないポイントをゲットしたPROST。

毎日の晩酌はこれで確定。そして私たち夫婦の生命線であるこのPROSTは、車で10分の日本食スーパーのパパイヤでしか買えない。毎週パパイヤでビールの爆買いをするようになった。

「あのビール夫婦」と後ろ指を刺されていたかもしれない。「でも、そんなの関係ねぇ!」と海パンいっちょの小島よしおさんが、いつも私の背中を押してくれた。心強い。

今日もビールがうまい!

日本にいても、インドネシアにいても、そんな毎日であれば幸せ♡


ぷしゅ!乾杯!


と、言えている嫁なら、きっと夫も気楽だっただろうなぁ…。
この生活は1か月も持たずに、次のステージに向かうことになる。




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