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トランジット木星アセンダント通過時のチャートから12年間のテーマを探る

木星とは


トランジット木星がもたらすのは、増幅、開拓、そして新たな可能性である。

「増幅」とは、木星が入ったハウスに関するテーマの強調や、そのハウスが持つポジティブ的な要素とネガティブ要素の両方を広げること。例えば、4ハウスに木星が来たら、住居や家庭の意識が向かうと同時に、家族関係の課題が強調されることがある。

「開拓」とは、木星が入ったハウスに関するテーマが自分にとってどういう意味を持つか?あるいは、他に新たな切り口や方法はないのか?知ろうとすること。

私の経験上、トランジット木星は滞在するハウスに意識を向けさせる効果があると考えている。冥王星のように全てをぶち壊す強制力はないけど、「これ、畑耕してたら見つけたから、ここ置いておくね~\(  ˆ ˆ  )/」と、あっけらかんと地雷を掘り当て、地面に置きっぱなしにしていく。

良いも悪いもなく(ある意味では寛容に)、そのハウスに関する強みも弱みも教えてくれる─木星はそんな天体だと思う。



トランジット木星がアセンダントを通過した時の星回りがネイタルに与えた影響


当時起きた出来事

やはり、どの天体であろうとも(たとえ一番エネルギーが弱い月でも)、自分のアセンダントを通過するときは、意識の切り替わりが起きやすい。

それが「開拓の木星」ともなれば、そこから先の約12年を占うことになる訳で、実際に振り返ってみても、「トランジット木星がアセンダントを通過した瞬間のチャート」の影響はかなり大きいだろう。

トランジット木星が私のアセンダントを通過したのは、2014年6月のこと。2024年5月現在、木星は11ハウスにいて、あと2年で再びアセンダントに戻ろうとしている。MCという山を超えて、なんとなく人生を振り返りたくなったのは、ここから来ているのかもしれない。

2016年に会社を辞めるすこし前、2014年秋頃から、私は自分探しの旅を始めた(ちなみにこのときは占星術はまだやっていない)。

それまでもあらゆる方法を駆使して、本当の自分や生きやすさを探し求めてはいたが(変なスピリチュアルに片足を突っ込んだこともあった)、この頃を境にして、その方法も方向性も大きく変わり、見た目を変えることで本来の魅力を引き出し、自己肯定感をあげようとしたのがちょうど2014年後半~15年前半だった。

アセンダントから始まる1ハウスはその人の外見や印象をあらわす。まさに、自分の外見に新たな可能性を見出して、本当の自分を探そうとしたのである。

このように、私の新たな自分探しの旅が見た目チェンジから始まった理由は、当時の星回りを自分のネイタルに重ねてみるとよくわかる。

トランジット木星&リリスとネイタル金星のオポジション(女性性の解放)

2014年6月 トランジット木星がアセンダント通過

まずは、そもそも私の金星が6ハウスと7ハウスの間にいることも大きく影響している。私の金星は山羊座で、人に見せるものは質が高く、美しくなければならない意識が元から備わっている。

トランジット木星がアセンダントを通過するとき、同時に他者へ見せるための美意識も引き出され、さらに当時はリリスもトランジット木星のすぐ近くにいた(オレンジ色)。

リリスは人を惹きつけようとする魅力、貪欲な女性性、もしくは抑圧した女性的魅力をあらわす。金星との親和性も高いため、「外見を魅力的にする」という方向へ走りやすかったのではないかと推測できる。



トランジットキロンとネイタルリリス合(内なる女性性の傷や絶望)

さらにこの時期は私のリリスにもトランジットキロンが重なっている(ピンク色)。

キロン(心の傷)の影響により、抑圧された女性性(リリス)が抱える痛み・悲しみが刺激されたのだろうか。当時の私は、「人類はみんな敵」と言わんばかりに、世の中(男性社会)に対する敵視や失望の気持ちを隠し持っていた(あまりに強烈すぎて誰にも言った事はないが)。

トランジット木星&リリスと、ネイタルリリスに直接的なアスペクトはないのだが、アセンダントというターニングポイントを通過したことで、リリス同士も呼応したのかもしれない。

実際にこの数年後から今に至るまで、私は自分の女性性が抱くあらゆる願望に直面し続けている。このチャートが示すように、私の自己探求は、自分の女性性と向き合うことなしでは語れないのである。(余談だが、私はリリス=この世にどんな楽園を望むか?をあらわすと考えている)


トランジット金星とネイタル太陽スクエア(美意識が人生の方向性を変える)

さらにダメ押しとして、トランジット金星牡牛座が私の太陽とスクエアを形成している(赤色)。

すこし離れているが、私のキロンとも緩く重なり、自分の感性や感覚に対するコンプレックスを和らげる手段として、服装やヘアメイクを選び、私の太陽=人生の方向性や個性表現、仕事に変化をもたらそうとした。

トランジット金星とネイタル太陽のスクエアは毎年起きるので特に珍しくはないが、やはり大きなターニングポイントと同時に起き、かつ私の金星も関わっていたことから、相乗効果で大きな意味を持ったようである。

ここからしばらく、見た目チェンジで新たな自分探しは続いたが、とあるプログラムに参加した際に、「帰国子女風のファッション」を提案された私は、なんとその翌日に会社で異動命令がくだり、それが決定打となって、長年の夢だった留学を決意。それから紆余曲折ありすぎて(笑)、占星術家になった。

今の私は当時提案されたファッションとは全然違うテイストの服を好んでいるし、留学経験も全く活かしていないが、元を辿ってみれば、「今の自分像」へたどり着いたのは、間違いなく2014年後半の見た目チェンジからなのである。


トランジット木星がアセンダントを通過した瞬間のチャートを見ると、12年の傾向がわかる

だいぶ話が長くなっているが、ここからは別の視点のお話し。私のアセンダントにトランジット木星が通過した日時のチャート(以降、トランジットチャートと呼ぶ)を見てみたら、なんと面白いことに、この12年の自己探求の傾向が見事にあらわれていた。

ちなみにこれは私だけじゃなく、友人とも検証したが、やはり彼女の12年の歩みが1つのチャートに凝縮されていた(各ハウスに入った瞬間のチャートを出せばもっと詳しくわかるかもしれない)。

T木星がNアセンダント通過/2014年6月16日 10時30分


木星とリリスは11ハウス(勇気を出して心を開示して個性を出す)

まず、主役の木星とリリスは、トランジットチャート上だと11ハウスにいる(オレンジ色)。

会社を辞めて海外留学し、その後はSNSの出会いを通じて、自己探求や内観を知り、占星術を学び始め、やがて自分もSNSで発信するようになった、今日までの歩みと見事に合致する。
 
2014年~15年当時、あれほど見た目チェンジで自分らしさを求めたのも、木星が11ハウス(=個性が試される)なら納得感しかない。


土星蠍座3ハウスと金星牡牛座9ハウス(学びや言語表現はストイックと楽しさ半々)

さらに当時サターンリターンを迎えたばかりの土星蠍座は3ハウスにいて、9ハウスの金星牡牛座とオポジション(水色)。

土星蠍座=ストイックに物事を突き詰めて整理する力を情報収集や言語表現(ブログやSNSの執筆)に活かすため、金星は9ハウスで専門的な知識(占星術)を学ぶことを楽しむ。

金星は牡牛座なので、知的好奇心よりも、自分の感性がキュンと来るものに向かう傾向にあり、それが結果として、昔から眺めることが好きだった月の満ち欠け(月相)を探求することに繋がったのかもしれない。

占星術を始めてからの知的探求は本当に楽しく、まさに牡牛座✕蠍座らしく貪欲におこなってきたが、単に楽しいだけじゃなく、「人に伝わるもの」「役立つもの」を求めたのは土星の影響も大きかったのだろう。

そして、土星-金星オポジションを発展させるのが、木星蟹座11ハウス。つまり、蟹座的に人の心を考慮して発信することで、知的探求したものはより広がっていく─。

正直、水星水瓶座の私にそれが出来ていたかはやや疑問だが、蟹座=こまごまとお世話を焼くと解釈するならば、読む相手のことを考えて情報をなるべく丁寧に綴ることで、ギリギリ蟹座をクリアできたかもしれない(笑)。

さらにトランジットチャートで目立つ天体がいくつかあるので見てみよう。

海王星とディセンダント合(神秘的な印象/人との関わり方を癒やす)

まず1つめがディセンダントと重なる海王星である(緑色)。

ディセンダント=人に見せる顔/人との接点。そこに海王星が乗ることで=占い師などの神秘的な印象を人に与えたかもしれない。あるいは、SNSを中心にした日々を送ったため、リアルに会わない実態のない(=海王星)人との関わり方。それか、私自身が占星術を通して人と関わることで、対人関係(=ディセンダント)へのしこりを癒やした(=海王星)のかもしれない。


火星天秤座2ハウス・天王星牡羊座8ハウス・冥王星山羊座5ハウスのTスクエア(相手の影響を刷新し、我が理想に生きる)

その次に目立つのは、2ハウス火星天秤座と8ハウス天王星牡羊座、そして5ハウス冥王星山羊座のTスクエア(赤色)。

火星&天王星=変革への意欲は冥王星によって徹底的に骨の髄までやらされる。さらに活動宮同士のTスクエアのため、どれか1つで諦めることはなく、全ての理想を叶えようと動き続ける傾向が見られる。

天王星牡羊座8ハウス=相手の価値観に影響された自分を変えるべく、火星天秤座2ハウス=自分が理想とする誰が見ても良いものを作ろうと情熱を燃やす。これだけでも、だいぶ正義感強めだが、さらに冥王星山羊座5ハウスを落とし所とし、「これが正しい方法である!」と強烈に見せつけようとする。自分を自分らしく輝かせる手段をまったく異なるものにしたい絶対的な意志もあったかもしれない。

現にそれまでは、演劇や習い事、あるいは仕事を頑張ることで、なんとか自分を見てもらおうとして来たが、2014年の少し前に演劇はスッパリ辞め、さらにその後会社まで辞めて、自分らしさを追い求めた結果、占星術や内観の発信に行き着いた訳だから、まさに自己表現方法はガラッと変化を遂げている(山羊座=役立つものを…という考えは変わっていないが)。


12年の総合テーマを表すもの(必死に理想を追求した結果、突出した個性を手に入れた)

そして最後に、「これこそが12年のテーマを一言で言い表しているのでは?」と感じたのが、トランジットチャートのアセンダントだ(オレンジ色)。

先程のトランジットチャートだと度数が載っていないが、二重円だと確認することができる。チャート上だとASC乙女座10度。サビアン度数だと乙女座11度だ。

乙女座11度のサビアンシンボルは「母親の期待の鋳型にはまる少年」─理想の形通りのものを作る・完璧を求めて常に考え続ける

ここまで書いてきた、占星術の知的探求、ブログやインスタグラムの発信、鑑定書や星読みレターのこだわりなど、もうこのシンボルが全て言い尽くしていると言っても良い(笑)。

ちなみに乙女座11度は私のネイタルだと3ハウスカスプに近く、天王星/ノード軸とスクエアを形成する。

2014年以降、完璧を求めた言語表現や緻密な星読みを通して、一味違う個性(天王星)を発揮し、関わる人たち(ノード軸)も大きく変化することで、新たな自分像を探求してきた。

もともとネイタルホロスコープでは、山羊座6ハウスに3つも天体が集まるため、ストイックな奉仕に走りがちで、特に占星術活動を始めてからずっと悩みの種でもあったが、こうして読んでみると、その行動は必ずしもネイタルの影響だけではなく、また直すべき欠点というよりは、自己探求のために、ある一定のラインまでは必要な行動だったことがわかる。

最初は、見た目チェンジから始まって、内に秘めた女性性の解放が促され、それは占星術というツールを途中で手に入れたことでさらに加速した。占星術や発信を追求しすぎるあまり、女性性どころかおじさん化しそうな日々を送っていたこともあったが(笑)、実はここに来て再び、金星や女性性がクローズアップし始めている。

おそらくそれは、あと数年で私のネイタルを一周しそうな木星が天王星と重なり、私の金星とトラインを形成したからだろう。

4月21日 木星天王星合がおきたとき

ついでにトランジットキロンが私の金星とスクエアで、金星年齢域(16歳~25歳)の心の傷をグイグイえぐってきてもいる…。

タイミングから考えて、これらの出来事はまもなくやって来る、ミドルクライシス(中年の危機)─冥王星同士/海王星同士のスクエアへの布石になりそうだ。

もともと冥王星蠍座と海王星山羊座を使いすぎる私にとって、いったい何が取り払われるのか…今から戦々恐々としているのだが、これらのイベントも今回と同じ要領で見たら、新しい発見が得られ、何か備えることができるかもしれない…っ!ここ数日はそんな淡すぎる期待を抱いている。



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