高校2年 春⑤誰かのオススメは蜜の味
僕は選択科目で美術を専攻していたのだけれども、
そこで、1年の時に一瞬だけ演劇部だったショコラと一緒になった。
ショコラは、パッと見は普通の可愛らしい女の子だけど
なんというかぶっ飛んでいた。
普通が一番こわい。
僕がそれを実感するようになったのは
演劇部の、見た目が普通でめちゃくちゃ真面目そうなのに中身が真性の変態だった"あそうたまきこーじ"と
そしてこのショコラがいたからである。
ショコラはかわいい見た目なのに、ナチュラルにサイコパスみたいな言動を突然発するから、あそうたまきこーじとは違う意味で怖かった。
そして、彼女はその性格もあって学年でもめちゃくちゃ浮いていたのだが
元演劇部だし、ちょっと発想がぶっ飛んでるだけで普通やん。と、僕はあまり気にせず話しかけていたせいか
普通に仲良くなって美術の時間によく一緒に絵を描いたり
作品を作ったりしながら話していた。
そしてそんな日が続いてしばらくしたのち、ショコラはCHARAというアーティストがいかにかっこいいかを毎週僕に語るようになってきた。
歌手としてめちゃくちゃいい曲歌ってて
いろんな映画にも出ていて
浅野忠信の旦那さんで
母でもあるのに
あんなにかっこよくてかわいい人はいないんだ!と。
CHARAと言ったら囁くような歌い方の独特な人、くらいのイメージしかなかった僕は正直そこまで心揺さぶられることはなかったけど
スワロウテイルという映画は絶対に観るべき。という言葉だけはなぜか頭にこびりついていて
いつか必ず観てやろうと思っていた。
とりあえず、TSUTAYAで"やさしい気持ち"というCDを借りた。
めちゃくちゃかっこよくて、ショコラありがとうと心から思った。
そしてこの出会いが、後の人生に大きな影響を与えることを、この時の僕はまだ知らない。
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