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CS-21工法 施工事例 / 浮桟橋 コンクリート床版 補修工事

工事概要

工事名称 :長崎地区水産物供給基盤機能保全工事(浮桟橋)
工事場所 :長崎県長崎市
発 注 者 :長崎県 長崎振興局 長崎港湾漁港事務所
工  期 :2019年(平成31年)1月~2月
施工部位 :浮桟橋コンクリート床版上面
使用材料 :CS-21ビルダー(NETIS:CG-170009-A)
塗 布 量 :混合液*300g/m2(200g/m2+100g/m2の2回塗布)
     *標準配合>主剤:助剤=5:1[重量比]
     塗布量(主剤)中の乾燥固形分量>78.8g/m2
施工面積 :793m2

CS-21ビルダー 荷姿:主剤5㎏缶[左]・助剤4kg缶[右]

工法選定の経緯

 本工事は、長崎市に位置する水産物供給基盤施設(浮桟橋)の補修工事である。
 当該浮桟橋は、竣工から20年以上が経過し、経年劣化により床版コンクリートにひび割れなどの変状が発生しており、機能保全のための補修工事が発注された。
 当初の設計では、既設床版コンクリートの打ち換えとなっていたが、営業を継続したまま工事することが求められ、代替案が検討された。

 詳細調査の結果、一部のひび割れは鉄筋付近にまで到達しているものの、全体的に鉄筋の発錆程度は比較的軽微であり、部分補修および表面含浸工法により、海水等の劣化因子侵入を抑制することで、長寿命化は可能と判断されたことをうけ、設計の変更が提案され、了承された。

そこで、
コンクリート工学会の
コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針
土木学会の
表面保護工法 設計施工指針(案)
けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)
に準拠し、工法を検討した結果、
幅0.3mm以上のひび割れについては有機系注入工法、
その他の箇所については反応型けい酸塩系表面含浸工法が選定された。

使用材料の概要

 反応型けい酸塩系表面含浸材は、塗布・浸透後、コンクリート中の水酸化カルシウムと継続的に反応し、既存および施工後新たに発生する微細空隙を充填することで、水や各種劣化因子の侵入を長期にわたり抑制する材料である。
 そのため、中性化の進行した既設コンクリート(表層部の水酸化カルシウム量が極めて少ない状態)では、材齢の若いコンクリート(表層部の水酸化カルシウム量が比較的多い状態)に比べ、反応し難いと考えられている。

 当該工事で使用した反応型けい酸塩系表面含浸材CS-21ビルダー)は、水酸化カルシウムを主成分とする助剤と、反応型けい酸塩系表面含浸材である主剤の混合液を塗布する2液混合型である。
 助剤により水酸化カルシウムを補給できるため、表層部の中性化した既設コンクリートにおける反応性に優れている。また、混合液は、塗布・浸透後にゲル化・乾燥固化した状態でも水分の供給により溶解し、中性化したコンクリートとも反応することが、実験により確認されている。
 このように、中性化の進んだ既設コンクリートに対応した特徴のある材料であることから表面保護材として採用した。

技術提案書(例):既設コンクリート構造物の表面保護
CS-21ビルダー(NETIS:CG-170009-A)

施工概要【表面含浸工法】

① 高圧洗浄
② CS-21ビルダー≪混合液≫塗布:1回目(200g/m2)
③ CS-21ビルダー≪混合液≫塗布:2回目(100g/m2)
④ 湿潤散水(水散布)
※混合液>主剤:助剤=5:1[重量比]

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CS-21ビルダー、主剤と助剤の混合状況
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浮桟橋上面:下向き塗布

工事上の留意事項

 営業を継続した状態で工事を行うため、施工範囲を2分割し、部分補修(ひび割れ注入,断面修復)および表面含浸工法の施工を行い、施工中も船が接岸し荷卸できるスペースを確保した。
 また、施工箇所を早期に開放するため、当該反応型表面含浸材の標準工法では、省略している材料塗布後の湿潤散水(水の散布・塗布)工程を追加し、材料の浸透促進を図り、養生期間を短縮した。

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まとめ および 今後の展望

 当該工事は、前述の対策により、部分補修および表面含浸工法を実施し、工期内に工事を完了した。
 今後も、既設コンクリート構造物の耐久性向上対策に有効な当該工法を活用し、コンクリート構造物の予防保全による長寿命化に貢献していきたい。

                   アストン協会会員(株)計測技研


最後までご覧いただきありがとうございました。
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