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浅生鴨の短編Z

月に二本の短編を掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばな… もっと読む
僕は締切りがないとぜんぜん書かないので、短篇集の担当編集者から「noteで連載しろ!」と強制されて… もっと詳しく
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2024年3月の記事一覧

質問と回答

 薄暗い舞台袖で腕時計を見た補佐官は、もう一人の補佐官に頷きかけた。 「長官、お願いしま…

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浅生鴨
2か月前
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押し込む

 ふいに部屋の隅からガリッという耳障りな音が聞こえて、それまでソファに寝転んで本を読んで…

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浅生鴨
2か月前
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同じところで

 山合いのトンネルを抜けて緩いカーブを曲がり出したところで、前を行く車のハザードランプが…

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浅生鴨
2か月前
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食券

 さんざん苦労して現金を用意したのは向こうの世界へ行くためで、未だにあちらでは物資の交換…

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浅生鴨
2か月前
26

名簿の人

 目を覚ました中村河たかねは、ベッドに入ったままスマートフォンをチェックした。専用のアプ…

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浅生鴨
2か月前
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笑った理由

 照明を落として薄暗くなった会議室の中にいきなり大きな笑い声が響き渡った。 「わはははは…

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浅生鴨
2か月前
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青色のミニバン

 傅の耳に届いたのは、革の緩んだ大太鼓を叩いたときに鳴るようなブワワンという、どこか間の抜けた音だったが、思わず振り返った傅の目に映った光景は、けっして間の抜けたものではなかった。  花屋が配送に使っている青色のミニバンは激しいクラクションを馴らしながら急ブレーキを掛けて止まったものの、ボンネットにすくい上げられた隆の身体は二メートルも宙に舞い上がって、ダンダンダンと屋根を転がったあと、車の後ろへ落下した。アスファルトからぶわっと白い砂埃が立ったように見えた。  傅は自分の背

有料
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俺と布団

 いつもより数時間も早く目が覚めたのは、妙な寝苦しさのせいだった。窓の外はまだ暗く、表通…

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浅生鴨
3か月前
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割り込み

 深刻な雰囲気だった。店内に広がるコーヒーや焼き菓子の香りも、ゆったりとしたジャジーなB…

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浅生鴨
3か月前
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