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応接のソファに腰を下ろし、青谷凪亮子は静かに原稿を読み進めていた。開け放たれた窓から流…
キーボードに指を置いたままシュンヤは何かを考え込んでいた。パソコンの画面には自分が担当…
港の外れにある突堤には、真上からギラギラとした夏の日が照りつけているだけで、人影はほと…
昔々、あるところに住んでいたおじいさんとおばあさんは笠をつくって売るという微妙な仕事を…
突然のできごとだった。 すれ違いざまにその男は手を伸ばし、彩が肩からかけていたバッグ…
印鑑証明書を受け取った甲斐寺に窓口の男性がすっと顔を近づけてきた。小さな街だから役所の…
ベルドラン宙域から離脱した円錐形の小型スパソーロフは、量子コアから排出されるエドロムを二度噴射させて転針し、アルタミラへ向けて超次元航行に入った。次元層を越えるときの薄気味悪いグロールが船内に響き渡ると、その直後にあらゆる物質が消えた。船室の壁も目の前にあったコンソールも計器パネルも、それを操作する自分自身の手も消えていた。 何もなかった。光さえない次元の中を意識だけが移動していく。 超次元航行に於いてはアウムの秩序が崩壊する。漆黒には過去と現在と未来が同時に存在したが
店内に充満する肉の香りが飯尾の胃を鳴らした。 地下にあるそのステーキ店は最近できたば…