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浅生鴨の短編Z

月に二本の短編を掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばな… もっと読む
僕は締切りがないとぜんぜん書かないので、短篇集の担当編集者から「noteで連載しろ!」と強制されて… もっと詳しく
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2023年12月の記事一覧

密林

 デスクの前を通り掛かった上司が井塚を見て奇妙な顔つきになった。 「お前、ヒゲ伸ばしてた…

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浅生鴨
5か月前
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バスを待つ

 木でつくられた小屋の周囲はすっかり雪に埋もれて、夏の間は茶色かった木壁が雨水に塗れて黒…

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浅生鴨
5か月前
23

よろしい

 ようやく捕まえたタクシーに乗り込み、天豊はホッと息を吐いた。これでなんとかまにあいそう…

100
浅生鴨
5か月前
26

もうすぐ小学校が取り壊される

 しっかり昼は食べたはずなのに、三時を過ぎたあたりから妙に小腹が空いてきて、木寺は仕事が…

浅生鴨
5か月前
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黒い車と雨の朝

 小学校は小さな丘の向こうにあるので、彩たちは毎朝丘の上に集まってから登校する。  丘か…

浅生鴨
5か月前
26

脱力・伊勢物語

むかし、男ありけり。 蹴られたアリ、潰れし。

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浅生鴨
5か月前
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空の若葉

 ボーディング・ブリッジの窓から見える機体はちょうど陽の光を反射して、眩しいほどの銀色に輝いていた。 「あれって初心者マークじゃないですか?」  前を行く天豊が指差した方向へ伊福も視線を送る。  機首の横に貼られているのは、たしかに初心者マークだった。黄色と緑に塗り分けられた若葉形のステッカーである。 「もしかしてパイロットが初心者ってことですかね?」  ゆるゆると足を進めながら天豊は不安げな顔でこちらを振り返った。 「そう言うけど、誰だって最初ってものはあるだろう。いきなり

海風

 朝、目が覚めると自分が別の何かに変わっていた、なんて話はゴロゴロしている。昔話や童話だ…

浅生鴨
6か月前
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紙はまだか

 官房長官の定例発表が終わると一人の記者がさっと手を挙げた。シノブ日報の街野だ。 「はい…

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浅生鴨
6か月前
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