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浅生鴨の短編Z

月に二本の短編を掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばな… もっと読む
僕は締切りがないとぜんぜん書かないので、短篇集の担当編集者から「noteで連載しろ!」と強制されて… もっと詳しく
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2023年10月の記事一覧

海へ行こうよ

 夏休みも半ばをすぎて、学生会館のロビーを行き来する学生の数もずいぶんと少なかった。幅広…

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浅生鴨
7か月前
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確認

 今の季節、緯度の高いこの国では夜の十時近くになってもまだ空は明るく、街にも人が溢れかえ…

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浅生鴨
7か月前
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硬かったから

「痛ててて」 「どうしたの?」 「お昼を食べてたら、歯が欠けちゃってさ」 「ええっ!? た…

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浅生鴨
7か月前
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太陽の時間

 国立天文台で電波干渉計のリアルタイムデータを観測していた宅羽は、画面上のグラフにこれま…

浅生鴨
7か月前
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他人の意見

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浅生鴨
8か月前
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男たちは強制する

 駅前のバスターミナルで自分をぐるりと取り囲んだのは、まちがいなくその筋の男たちだと井間…

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浅生鴨
8か月前
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抜く人

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 席に着くとすぐに店員がやって来た。 「お飲み物のご注文からお願いします」 「じゃあ、ビール」 「僕もビール」 「私はレモンサワー」 「俺は烏龍茶。あったかいやつ」  みんな口々に好きなものを注文していく。大学の同期だから互いに気を遣うこともない。 「うーん、どうしようかなあ」  木寺はメニューを覗き込みながら首を捻った。 「何? 木寺はビールじゃないの?」 「うん。オレ炭酸が苦手なんだよね。ここがシュワシュワって痛くなるじゃん」  木寺は喉のあたりを指先で摘まむような仕草を

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留守番電話

 里桜と連絡がつかなくなって半年近くになる。匡はベッドに転がってしばらくぼんやりと天井を…

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浅生鴨
8か月前
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権限

――課長? どうしたんですか?―― ――ほら、あれ見ろよ。あいつ営業ルームに勝手に入って…

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浅生鴨
8か月前
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亀の背中

 昼間はまだ人の気配があった浜も、影が長く伸びる刻になれば、誰の姿も見えなくなる。  男…

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浅生鴨
8か月前
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