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浅生鴨の短編Z

月に二本の短編を掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばな… もっと読む
僕は締切りがないとぜんぜん書かないので、短篇集の担当編集者から「noteで連載しろ!」と強制されて… もっと詳しく
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2023年8月の記事一覧

よい木はなかなか見つからない

 朝からずっと雑木林の中を探し回っているのだが、なかなか手ごろな木は見つからなかった。気…

浅生鴨
9か月前
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せーの

 本社ビルに入った甲斐寺はネクタイを締め直し、立ち上がって深く頭を下げる受付の社員たちに…

浅生鴨
9か月前
22

口笛

 ピンと電子音が鳴って、壁の大きな電光掲示板の表示が変わった。青い背景に白い文字で書かれ…

浅生鴨
9か月前
23

豆電球

 町の電球大会が終わったあと、モロコは家に向かう山道を一人でトボトボと歩いていた。  涙…

100
浅生鴨
9か月前
27

共同作業なんです

 可児治夫は脱いだばかりの上着とカバンをダイニングテーブルへ無造作に投げだし、キッチンの…

100
浅生鴨
9か月前
25

ごまかす男

 電話を切った砂原茂禄子は険しい顔でゆっくり立ち上がり、オフィスの中を見回した。 「みん…

100
浅生鴨
9か月前
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レンズを透せば

 玄関から一歩外へ出たところで夏の強い日差しが彩の目を直撃した。あまりの眩しさに思わずキュッと目を細めたが、すぐに電子コンタクトレンズが反応して適切な光量に調整してくれた。この機能があるので夏もサングラスをかける必要がない。  とっておきのバッグを肩にかけ直し、彩は颯爽と通りを歩き始めた。久しぶりの休日をどう過ごそうかと昨夜はあれこれ考えていたのだが、とりあえず買い物に出かけることに決めたのだ。  歩きながら彩はくるりと回転して通り全体を眺めた。この辺りは住宅も商業ビルも白い

有料
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試験官

 慣れてくると試験官もそれほどたいへんではない。もちろん教員になったばかりのころは試験の…

浅生鴨
10か月前
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そのとき誰が

 工場長の飯尾が磨りガラスの填め込まれた大きなサッシを横に引き開けると、室内から冷気が流…

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浅生鴨
10か月前
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