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浅生鴨の短編Z

月に二本の短編を掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばな… もっと読む
僕は締切りがないとぜんぜん書かないので、短篇集の担当編集者から「noteで連載しろ!」と強制されて… もっと詳しく
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2022年10月の記事一覧

食べ物を投げないでください

 霜で薄らと白く染まった公園の隅に集められた男女には、それぞれ小さくて丸い透明の密閉容器…

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浅生鴨
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日乾し

 耳のすぐそばで誰かがコソコソ話をしているような気がして飯尾は飛び起きた。向かいのビルに…

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浅生鴨
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秘密のゲーム

 教室に戻って半袖短パンの体操着の上からジャージを着ると、さっきまでのみじめな自分の姿を…

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浅生鴨
1年前
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奴は修行が足りなかった

 ピタン。  暗がりに水滴の音が固く響いた。あきらかに深い洞窟の響き方である。  松明から…

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浅生鴨
1年前
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自称

 配膳を終えた給仕が音も立てず襖を閉じると個室内に妙な緊張感が宿った。舟盛りとは別に用意…

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浅生鴨
1年前
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転送

illustrated by スミタ2022 @good_god_gold  ピロと通知音が鳴ったので、拓也はベッドに寝転…

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浅生鴨
1年前
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今日の担当

illustrated by スミタ2022 @good_god_gold  深海魚を飼育している円柱水槽の掃除を終えると、八時を回っていた。チサは素早く掃除用具をかたづけてスタッフルームへ戻る。  開園の準備をする職員や飼育員たちがバタバタと忙しく動き回る中、壁に掛けられているシフト表を手に取った。 「えっ」  思わず声が出た。 「どうしたの?」  アネ先輩が後ろからチサの肩越しにひょいとシフト表を覗き込む。 「私、今日の午前中は回遊水槽だって。しかもクロマグロです」 「

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果たした約束

illustrated by スミタ2022 @good_god_gold  四月といえばすっかり春で、つい先日まで忍川を…

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浅生鴨
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寂しくないから

 夕食は六時からだと言われていたので、大浴場でひと風呂浴びたあと、木寺は火照った体を冷ま…

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浅生鴨
1年前
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