マガジンのカバー画像

浅生鴨の短編Z

月に二本の短編を掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばな… もっと読む
僕は締切りがないとぜんぜん書かないので、短篇集の担当編集者から「noteで連載しろ!」と強制されて… もっと詳しく
¥640 / 月 初月無料
運営しているクリエイター

2021年10月の記事一覧

新人研修

 本社ビルのあるはずの場所には小さな住宅が一軒建っているだけだった。住宅そのものはごく一…

100
浅生鴨
2年前
42

区画

 ウミガメの産卵場所は、ああ見えて実はきっちりと区分けされている。治夫もみんなと一緒に産…

100
浅生鴨
2年前
35

足しかやろうとしない

 玄関から一歩出ると左右に伸びている長い坂道は、山側へ向かえば寺の境内に、坂を下れば小さ…

100
浅生鴨
2年前
43

幻影街

 フィンランドの首都ヘルシンキとエストニアのタリンとはバルト海を挟んでちょうど対面に位置…

100
浅生鴨
2年前
48

ポテトサラダ

 食べ終わったあとに残ったポテトサラダの種を、特に考えもせずベランダのプランターに撒いた…

100
浅生鴨
2年前
60

ヤップ虫

 校門の前にある古い巨木に、ヤップ虫の蛹がブドウの房のように大量にぶら下がっているのが目…

100
浅生鴨
2年前
52

出口

 暖簾をくぐってカウンターの席につくと、紙を丸めて皺くちゃにしたような顔をした大将がちらりとこちらに目を向け、軽く頭を下げる。ちょうど茹で上がった蕎麦を笊にあけて水を切っているところだった。キビキビとした動きが気持ちいい。 「いやいや、どうも丸古さん、久しぶりじゃないすか。ほい、これ三番さんの蒸籠ね。大盛だから」  そう言って、たっぷりと蕎麦を盛った竹簾を載せた皿をアルバイトらしき若者に渡すと、すぐに洗い物を始めた。話をしながらも無駄な動きは一つもない。 「私、しばらく出張し

有料
100

モの二九

 見覚えのない顔だった。ふらりと店に入ってきたその男は、店内をしげしげと見回しながら半開…

100
浅生鴨
2年前
41

箱船

 長年の研究成果が実り、ついに人類は冷凍睡眠技術を確立した。人体を超低温で長期間保存し、…

100
浅生鴨
2年前
42